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第五十四章 結衣の妊娠
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「文哉、生理がもう1ケ月以上ないのよ。もしかして妊娠したかも(笑い)」
「そうなのか!妊娠したんだよ。きっと(笑い)」
文哉は嬉しさのあまり、結衣を優しく抱擁した。
結衣は前回の生理から1か月が経ち、本来ならばそろそろ次の生理が来る時期なのに
訪れない月経に「もしかして…」と思い始めたのであった。
結衣には実は体に異変があったのだ。
この時期、怠くなったり疲れやすくなったり胸が張ったりと、微妙な身体の変化が起こり始めていた。考えてみるとここ一週間、微熱や倦怠感など、風邪のような症状が出ていたのだ。結衣はもしや「妊娠ではないか」と思い常備薬の風邪薬を飲まなかったのである。結衣のこの判断が良かった。
翌日、結衣と文哉はかかりつけ医である町田産婦人科に行った。
主治医は女医の山本恵子である。
「先生、こんにちは。」
「どうか、されましたか?」
「はい。生理がもう1ケ月以上ないんです。」
結衣は山本医師にそう言った。
山本医師は、結衣が受付で記入した問診票に目を通した。
「分かりました。診察しましょう。」
結衣の問診票には、最終月経日、月経周期、月経の状況、妊娠・出産経験の有無、持病やアレルギーの有無などが記入されていた。結衣は準備が良かった。最終月経日や月経周期などをスムーズに記入することが出来たのだ。結衣は普段からメモにまとめておいたからだ。
山本医師が結衣に言った。
「それでは、尿検査と血液検査を受けて下さい。立花さん、検査室にご案内してあげて。」
看護師の立花が結衣を検査室に案内した。
妊娠判定のために尿検査と血液検査を行うのだ。血液検査は、妊娠すると血中に排出されるホルモンが検出されるかどうかを調べるものだ。尿検査は妊娠検査薬と同様の仕組みで尿中のホルモンを調べるが血液検査よりは検出感度が低い。
結衣は検査を終えて、待合室で文哉と一緒に待機した。
暫くして、立花看護師が結衣のところへやって来た。
「診察室へご案内します。」
「はい。」
結衣は立花看護師に案内されて、診察室に入った。
「それでは、今から経腟エコー検査をします。この経腟エコー検査は、腟内に超音波検査用の医療機器を入れて検査するものです。この検査では、赤ちゃんの入っている胎嚢があるか、心拍があるかなどを確認します。
心拍があれば妊娠の確定診断が出ますが、「胎嚢がよく見えない」「心拍が確認できない」といった場合には、1、2週間後に再検査をします。」
山本医師は結衣に説明すると、結衣を検査室へ案内し、検査ベッドに仰向けにねかせた。そして検査を始めたのである。
「結衣さん。やりましたね。妊娠していますよ(笑い)。」
「先生。本当ですか!良かったわ(笑顔)。」
結衣は、大層喜んだ。
結衣は、山下医師より妊娠期間中の注意事項を聞き、妊娠の冊子を貰って、会計で支払いをして、文哉と一緒にマイカーで家路についたのであった。
「結衣、おめでとう。これからは無理をしないで、なんでも僕に言ってよね。」
「文哉、ありがとう。」
二人は待望の妊娠に、喜びを噛み締めていたのであった、
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