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だけど天狗は居るんだって
しおりを挟む「種族ですと天狗ですかね」
天狗居るんかい!
狐魔族が居ないのに天狗かい!
大体狐も天狗も魔族でなくて妖怪だろ!
それに天狗なら、団扇を使って風を操るんでしょ!
火魔法じゃないでしょーー!
…………口には出さなかったけど、心の中で突っ込み入れまくりですよ……。
「天狗ならアタシの居た山の西側辺りに居るわよ。
二人で行ってみちゃう?」
んー、やっぱり天狗だと、火魔法とつながりにくあんだけどなぁ。
「アタシの得意な魔法は、加速と水、後はとっても珍しく氷魔法よ。
ダーリンの熱く燃える私への想いには、氷魔法も負けちゃうかも~」
後天狗のイメージなら、強いて言うなら土か?
こう、土を隆起させたりとか、岩で囲って閉じ込めたりとか。
「ちょっと!聞いてるの、ダーリン」
うん、俺は何も聞こえない。
うんうん、その方が絶対に平和だよね。
「加速の魔法ですって?
それならあの勝負は余計に無効ですね。
進みやすい木の上を進んだ上魔法なんて反則です」
あ……サクラさん、突っ込んじゃダメだって、ややこしくなるし面倒だよ。
「ふふん、何とでもお言い。
そんな事よりダーリン、アタシなら今日中に連れて来てあげるわよ、天狗を」
「何だって!」
あ、ヤバイ、反応しちゃった。
「あら、やっとこっち向いたわね。
仲間になるかどうかはわかんないけど、連れて来るだけなら出来るわよ」
んー、火魔法の使い手、今僕が計画している事には絶対に必要なんだよね。
うーん、どうしよう……でも特別種でなくて魔族ならら純血種の人居るだろうし、会っておいた方が良いかな。
「天狗の純血種は居るの?」
「ええ、ご近所さんだったから顔見知りよ。
アタシが頼めば来てくれるの間違いなしよ」
「うーん…うーん……じゃあ任せるから一度来てもらう様伝えてくれるかな?」
「オーホホホホホ、ダーリンの頼みなら、何だって叶えてあげちゃう!
アタシに任せなさい」
座って話し合っていたのにわざわざ立ち上がってポージングした後、
「ちょっくら行って来るわよ」
と小屋を出て行った。
何だか急に静かになったけど、静かな事よりどっと押し寄せた疲れに一旦解散した。
……後悔の役立たず………昼ご飯の時の自分の口を塞いで来たい…………
昼食後、湖のほとりで考え事をしているオニギリを見つけ、少し迷ったけど話しかけた。
「今話しても大丈夫?」
「ん?ああ、コーか、大丈夫だぞ。
ちょっと町づくりについて妄想してただけだからな」
……自分で妄想って言うのは………
「えっと、オニギリって土魔法で家の土台?基礎?作るよね?
これって雨が降っても壊れないの?」
土だから雨で形が崩れて壊れるのでは?と思ったんだけど、
「ははは、雨くらいで崩れてたら家の意味ないだろ。
形作ったら硬化する様な魔法かけてるからな」
「硬化魔法も使えるの?」
「いや、硬化魔法ではなく、トンソクの風魔法と火魔法の応用との合わせ技だな。
風魔法で水分含有量を減らし火魔法で変質させるんだ。
焼き物みたいな感じかな?
そうすると多少の雨では崩れないぞ。
まあ土の質にも寄るがな」
ふむふむ、成る程。なら計画実行出来そうかな。
「じゃあほんの短時間、土が水に溶け出さなくするくらいならオニギリ一人でも出来るの?」
「長時間持たなくて良いなら出来るぞ」
「ふむふむふむふむ。
それならさ…………」
計画第一段階クリア。
そして日暮れ間近にやって来たのは、猫オネエに連れられた天狗の純血種……。
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