職も住処もなくした私が訳ありアパートの管理人にスカウトされました。何やら事情があるようです。

ピヨピヨ

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業務開始

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「これは……」

 部屋にはずらりと人形が並んでいた。リビングの中央にガラスケースがありそこにも陳列されている。
 好事家にとってはたまらない代物なのだろうが、素人から見れば不気味なだけだ。古今東西の古い人形が部屋全体にびっしりと並べられている。

 なんとも言えない圧迫感。人形に見つめられている感が半端ない。


「これはすごい。ご趣味ですか?」

 瀧崎が聞く。

「まあ、趣味半分、商売半分といったところでしょうか」
「そういえば、オークションをされているのでしたね」
「ええ、そちらの方がサラリーマンの月収よりいいくらいです。だからこんな部屋にも住める」
「これだけの種類の人形の目利きが出来るとはすごい」

「いえ、全部というわけではありません。僕の専門はビスクドールです。あとはここへ直接商品を見に来た人へのこけおどしみたいなものです」

 そう言って神経質そうに笑う。

 社長と川本がそんな話をしている横で、葵は早くも気持ちが悪くなってきた。ここには怨念が籠っている。ただし人形の数が多すぎてどれが悪いものなのかはわからない。多分複数ある。

 これで川本はよく元気でいられたものだと感心した。敏感な人ならば、体調を崩すだろう。やはり生きていくには霊感など邪魔なだけで必要ないと改めて思った。


 三部屋すべて見せてもらったが、そのなかでも寝室が最悪だった。

「では、僕はこれで失礼します」

 そう言うと川本は家を出た。今日は彼はホテルに泊まる。この部屋の調査の為に社長がそうしてもらったのだ。

「水原さん、ぼっとしない。さっさとカメラの設置をしますよ」

 今回はどの人形が悪さをしているか特定するためにカメラを設置するらしい。

「今日は、お札は貼らないのですか?」
「ああ、どれが悪さをしてるのか特定して排除するだけだからね」
「社長でも特定できないんですか?」

「君の方が敏感だと思うけどな。今ここで君が特定できれば早いのだが」

 葵はふるふると首をふる。そんなこと無理だ。

「でも、社長は祓えるじゃないですか」
「祓える力と視る力は違う。極端な場合だと視えないのに祓えるものもいる」
「なんですかそれ、私も祓えるだけの方がいいです」

 アイスのハズレどころでないハズレ能力っぷりに落ち込みそうになる。人形のあるリビング三台、三部屋それぞれに二台ずつ小型カメラを設置する。

「さてとこんなものかな。後は頼みましたよ」
「はい? 社長はどうされるんです」
「僕がここにいたら、霊障がおきないから帰ります。君は寝ずの番ね。それで見つけてくれたら祓いにきますよ」

 さらっと鬼のようなことを言う。それにカメラ必要?
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