潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第十五章 晩餐にて

譲とおじ様 1

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 譲が席を立って、テーブルの上の空いた皿を持ってキッチンの方へ片付けに行くと、おじ様が、譲の後を追うようにキッチンの戸の向こうへと消えた。
 少しして、
「なにすんだよ、やめろよ」
と譲の声が聞こえてきた。
 犬のジョンである、床に這いつくばっていた潤が、後ろ足で立ち上がって歩き、キッチンとダイニングの間の戸の前まで行ってすきまからのぞきはじめた。ジョンである潤は、瑶を前足で手招きした。瑶が、潤のそばにいくと、潤が戸の隙間を手でさした。のぞいてみろということだろう。潤は、四つん這いの犬のかっこうにもどり、戸の下の方のすきまからのぞいていた。
 瑶は、どきどきしながら戸のすきまに顔をつけ、キッチンを覗いた。おじ様が、譲の身体を服の上から触っていた。
「なんなんだよ」
と、譲は、とまどっているようだった。
「なっ、なに覗いてるんだよっ、お前ら」
譲が瑶たちが覗いているのに気づいて、瑶たちの方を見てとがめた。
「ほら、みんな見たがってるよ。譲と私が絡むのを」
おじ様が、笑みを浮かべた。
「やめろよ」
譲が、壁の方へ後ずさった。
「やめろったら」
譲は、すぐに壁ぎわへ追いつめられた。
「いいじゃないか」
おじ様は、譲の肩を壁に押しつけた。
「だめだよ」
譲は、弱々しくあらがった。
「大丈夫だよ」
おじ様は、やさしい口調で譲を説得するように言った。
「無理だって」
譲は、おじ様から顔をそむけて向こう側を向いた。
「昔、兄さんに、よくかわいがってもらったんだろう?」
おじ様は、なじるかのように譲に聞いた。
「お前は、私と兄さんが、寝ているのも、よく見ていたね」
おじ様が、譲ののどもとを手でつかんで言った。
「しらないよ、覚えてない」
譲は、おびえたように首を振った。
「最近のお前は、兄さんに似てきたよ」
おじ様は、譲の髪をなでた。
「俺は、似てないよ……」
譲は、おじ様の視線から逃れようとしているようだった。
「いや、面影がある」
「潤のが似てるって」
譲は、おじ様の腕をのがれようとしているようにみえた。
「潤は、まだ高校生だ」
そう言って、おじ様は、譲ののどに両手をかけた。
「もう少し待てば潤だって成長するよ」
譲は、おじ様の両手首をつかんで説得するかのように言った。
「このあいだは、本当によかったよ」
おじ様は、不気味な笑顔を浮かべていた。
「なんのこと?」
譲は、のどをつかまれて苦しげにたずねた。
「鎖で繋がれて、ずいぶん快感を得ていたようだったじゃないか」
おじ様は、譲ののどをしめあげながら笑っていた。
「やめろって」
譲が、おじ様に体当たりして、おじ様の腕を逃れた。おじ様が、逃げようとする譲の後を追った。
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