積もるのは嘘と気持ちと

どんころ

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体力も回復してきたから、学校が始まる前にと蓮くんと何度かお出かけをした。
蓮くんの母方のおじいさん、おばあさんにも会いに行った。
もう身内なんだからと、みんなのことをお父さまとかさま付けをしないでお父さんと呼んであげてとお母さんにお願いされてそう呼ぶことになった。
なんだか少し恥ずかしいけど、そのうち慣れるかな…。
みんなと距離がグッと近づいて、絵に描いたようにあたたかい家族像がすぐそばにあることの嬉しさが言葉にならず胸がじんとする。

今日も本当は蓮くんの入学祝いをすべきなのに、僕の回復祝いと言って、兄から蓮くんの母方の祖父母までよんでみんなで夜ご飯を食べることになっている。
ケーキまで準備されていたけど、そこにも蓮くんの入学おめでとうじゃなくて、澪音くん入学おめでとうになってしまっている。
申し訳なさすぎて蓮くんに言うと、
「俺がそうしたいって言ってお願いしたの。それにこんな図体でかい子供なんてもう可愛くもなんともないから、みんな澪のこと可愛がりたいんだよ。」
とぎゅっとしてくれた。

ご飯の時もどれが美味しい?とかおかわりする?とか優しく話しかけてくれて、本当の家族ってこんな感じなのかなって思うとすごく嬉しい。
兄も蓮くんの家族とすごく馴染んでいて、おじいさんと仕事の話をしたり、杏ちゃんの話を目線を合わせて聞いたりしていた。
兄まで家族の一員として迎えいれてくれる蓮くんの家族の懐の大きさが、僕と兄に家族のあたたかさを与えてくれる。
あっという間にお開きになって、みんなが帰るのを見送ってから部屋に戻った。
寝る準備をしてベッドに転がっていると、蓮くんが隣に入ってきた。
実は僕が回復しても蓮くんは心配だからと隣で一緒に寝るのが続いている。
ベッドは広いから困ることはないし、僕も一緒に寝るとよく眠れるから嬉しい。

「緊張する?明日から久しぶりに外出るでしょ?」
「…うん。ちょっと、緊張してるかも。でも明日は蓮くん一緒だし、蓮くんも行っていた学校に行けるのは楽しみかも。」
「後輩が同じ学年になるから、もう連絡はしておいたんだ。澪が困らないようにしてくれると思う。」
そこまで気を回してくれていたとは知らず、びっくりする。
「そんなことまで…ありがとう蓮くん。」
「俺が心配だからした事だから気にしないで。国立高校に通っていた友達に一個下の後輩と付き合ってる子がいて、その後輩が男のΩですごくいい子だから、きっと澪も仲良くできると思うよ。また澪も慣れてきたらみんなでご飯とか行こうって誘われてるからいつか行こうね。」
「うん。仲良くできるように頑張るね。」
「澪なら大丈夫だよ。明日も早いし、寝ようか。」
そう言っていつものようにぎゅっと僕を抱きしめてくれた。
この体勢で寝るのが僕もすごく安心できてよく寝れる。
蓮くんの背中に手を回して
「おやすみなさい」
というと、
「おやすみ」
と言ってから蓮くんはおでこにキスしてくれた。
満たされた気持ちで僕は眠りについた。
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