夢の橋

夢人

文字の大きさ
上 下
10 / 182

伯爵10

しおりを挟む
 今日は朝から頭痛が酷い。夢の記憶が消えていくのだ。
 新しいグループの1員として地下室の一室の集められた。5グループから残された12人だ。顔見知りは一人もいない。またもや机にファイルが積み上げられたが、今度はそれぞれが違ったファイルだ。私のファイルはバブル期に買った不動産ですでに分類が終わっている。これは2社の不動産から不良とされるものを選別され集められた。
 もう一人私の横に座った女性がこの処分を具体的に行っていくのだ。彼女の履歴書をパソコンで覗く。不動産開発部の生え抜きで次長まで上がった猛者だ。今年で30歳になる。独身のようだ。
 新しいチームになってもみんな6時には一斉に立ち上がる。
「どこまで帰るの?」
 声をかけられたのに吃驚して振り返った。
「蒲田です」
「よくあんな街に住んでるのね?」
「あそこは家賃が安いですから」
「銀座で少し飲むから付き合いなさい」
 半ば強制的にタクシーで銀座のビルまで走った。常連らしくカウンターに皿が運ばれてきてワインのボトルが届く。
「どうして?」
「仕事が繋がっている。それとパソコンでは私は分からない」
 人のことを気にせず飲み続ける。
「私はね、合併が決まった日に不動産部の部長と自殺をしたの。彼はその日の朝に解雇通告を受けた。私は新人の時から彼の下で働いていて不倫相手になっていた。彼はここ10年で5億のバックを貰っていた。それで2千億以上の負債を作った。それで自殺相手に選ばれたけど、私は生き残った」
 淡々と話す。
「彼は3人の子持ち。すでに50歳になっていた。でも体が合うの。あなたは彼女がいて?」
「まだ童貞です」
「化け物ね?だからこのチームに入ったのよ。あなたはなぜこのチームに呼ばれたの?」




しおりを挟む

処理中です...