夢の橋

夢人

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出会う19

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 伯爵は大久保にたかが逃げたと報告した。だが大久保は西郷軍に対する征伐軍を率いて九州に向かった。
 大胆にも岩倉が暗殺団を送り込んできた。その日の夕刻から伯爵邸を警察が取り囲み始めたのだ。出入りもままならない。それで賭場も閉めた。
「塀の周りに2百ほどの警官を配置しています」
と蜘蛛が戻ってくる。
「岩倉が腹いせに川路を動かしたのだ」
「屋敷の鍵はすべて閉めました。力の強い博徒を30人残しています」
 たかと総司が戻ってくる。
「警官は攻めてくることはないだろう。暗殺団を送り込み片が着いたら踏み込むだろうな。だがこのことも考えて新聞記者を張りこませている」
 表扉に博徒をすべて張り付けた。裏の通用口から蜘蛛と総司と食客5人が植え込みに身を潜める。私とたかは2階の窓から短銃を構える。一番低い裏の塀を影が飛び越えた。私が電灯で合図を送る。私は総司のことが心配でならない。やはり予想通り裏門が開けられた。
 蜘蛛が1人を切った。開いた門から黒服の男がさらに10人ほどが出てくる。これに食客が相手をする。その後をさらに10人が押し寄せてくる。総司がこれを受ける形となった。
「鼠撃つな。あなたの腕では総司を撃ちかねない」
 引き金を引こうとしてたかの声で私は止めた。総司は駈けこんできた男を2人切ると押し返した。蜘蛛が屋敷に向かっている男達に手裏剣を投げる。茂みで光が走った。たかが同時に引き金を引いた。総司は向きを変えて通用口に低く沈んだ。
「ほらね玉を避けたわ」
 たかの銃弾は茂みにいた自足の隊長に命中した。







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