夢の橋

夜明け前11

　久しぶりに私は総司と行動を共にすることになった。暗殺団さまさまだ。新聞社の事務所の入り口に机を出して出入りを見張っている。蜘蛛は大通りで見張っている。たかは伯爵と部屋に籠っている。でも私は不満ではない。
「そんなに口がききたくないのか？」
「違う」
「ならいろいろ話してくれ？」
「考え事をしているの」
「向こうの総司は元気になってきているよ」
「なぜ私は向こうとこちらで鼠に縛られるの？」
とやり取りしている時にまたもや暴漢が入ってきた。警察が姿を変えてやってくるのだから訴えるところがない。今回は完全に印刷機を壊すつもりだ。剣を使えないから木刀を持っている。一応市民として反対して飛び込んでくるからだ。近くにはすでに警官が待って入るとのことだ。私は木刀はからっきしだ。
　5人が総司を取り囲み、私は2人を相手にする。その後ろから3人が来ているが蜘蛛が相手をしている。総司は見事に3人を打ち倒す。私は1人と戦っているときに後ろから殴られて床に蹲る。その男がさらに私に一撃を与えようとしている。どういうことか総司が危険を冒して飛び込んで来る。その後ろの男が抜き身を抜いた。こちらが真剣を抜けば警官は飛び込んでくるが。
　その一撃が総司の背中を切ったように見えた。
「危ない！」
　だが総司は後ろに目があるようだ。私の目の前の男の木刀を飛ばして、そのまま真剣の男の胴を打った。その時笛の音がして警官が入ってきた。
「その真剣の男を縛れ」
と言ったのは斎藤一だ。
「此奴らの実力では総司にはかなわないさ」