夢の橋

夢人

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夜明け前13

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 黒田清隆参軍率いる1箇大隊半と警視隊500名余が日奈久に上陸したと新聞に出ている。今日は伯爵は執事を連れて枢密院に出かけていて、珍しく書斎にたかが下りてきて蜘蛛と酒を飲んでいる。
「黒田はどうだ?」
「精力は抜群だけど我儘よ」
 蜘蛛もたかが黒田の女だったことを知っている。
「帰ってきたら黒田と会うのか?」
「会わないよ。あれは私の仕事だった」
 総司の目が私を見ている。
「鼠手伝ってよ?」
「いや用事がある」
「たか手伝うぜ」
 蜘蛛が笑いながら声をかける。
「十分よ」
 たかは書斎を飛び出していく。
「鼠、昨日はどこに行ってたの?」
「いやぶらぶらと」
「斎藤一に会っていた?」
「なぜ分かる?」
「つけたのか?」
「・・・」
「次会うとき私も連れて行くと約束して?」
「嫌だ」
 私は立ち上がると書斎を飛び出した。なぜ嫌かは自分でも説明できない。博打場に行くと最近は新聞社の壮士の顔がある。その横にたかが座ってお金を張っている。そのうちにたかが壮士を連れて2階の階段を上っている。まるで東のような女だと思った。
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