夢の橋

夢人

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夜明け前16

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 博士が源内の実験室に来ている。初めに総司が呼ばれて1刻半して私が呼ばれた。定期的に検査をされるのだ。
「総司も向こうで夢を覚えているようになったと言っていたが?」
「はい。向こうでも時々話をします」
 源内の娘が裸になった私を色々と調べている。わざと私のものを抓んでいる。心とば別に立ち上がっている。
「元気だね?」
 博士が笑っている。
「そろそろ実験を始めるころだな?伯爵はなぜ延期を言っているのだろうな?君は向こうでは独身か?」
「はい。会社員をしています」
「どんな仕事を?」
「会社の整理をしています」
「やりがいがある仕事か?」
「いえ」
「そうだろうな。概して希望をなくしたものがよく夢を見る。総司もそうだ」
「希望を見つけると夢を見なくなるのですか?」
「その傾向が強い」
 急に外が騒がしくなって伯爵がたかを抱えて入っている。源内はベットに寝かせると血に染まった服を脱がせる。
「舞踏会で急に撃たれたのだ」
「弾は左胸の肋骨で止まっているな?」
 私はそれで書斎に戻った。
「どうしたのですか?」
 今回は執事が同行していた。
「あれはプロの仕業です。踊っていた女が小型短銃を使った。岩倉のスパイが使うものです。明らかにたかを狙っていました」




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