夢の橋

夢人

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夜明け前17

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 執事の孫六が舞踏会の出席者を調べてきた。記録されているカップルとは別人が混じっていた。紹介は岩倉となっている。たかは2階で一人寝ている。伯爵は蜘蛛を連れて板垣に会いに行っている。私は孫六に似顔絵を描いてもらった。この際しっかりと岩倉のスパイを調べておくべきだと考えた。それを持って総司に声をかけて警視庁に向かう。
 一の机にメモを残して居酒屋に総司と入る。
「総司は一が好きか?」
「好きよ。でも恋人とは違う好き。父の温かさみたいなものを感じる」
「一は好きだよ」
 そんな話をして1刻も飲んでいると一が入ってきた。
「早々すいません。一さんは岩倉のスパイを知っていますか?」
「たかが撃たれたようだな?」
 よく知っている。
「大きな事件があると岩倉のスパイが絡んでいることが多い。それで警視庁も調べている。逮捕は出来んがな。正式には内閣調査室と呼ばれている。立派な公務員だ」
 私は孫六の描いた似顔絵を出す。
「ああ、知ってるよ。内閣調査室の女だ。たかの前の岩倉の女だった。これは私怨だな。これは噂だが岩倉がたかの抹殺を命令しないようだ。裏切り者だからな」
「岩倉に未練があると?」
 総司が口を開いた。
「色恋は怖いものだ。総司も昔新選組の先輩に襲われた。あの頃は念者は多かったのだ。芹沢鴨は酒の戯れで総司を襲った。私も調査したから間違いない。それが土方の芹沢鴨暗殺の下敷きになった」
「内閣調査室にはどれほどの人数がいるのですか?」
「ここは岩倉の執務室の隣にある。死ぬと追加されて百人くらい登録されているようだ。警察でも事件になった20人くらいしか把握していない。ここはな、伯爵が管理していたのだ。追い出されたのだ」
 一と別れると今日は総司が酔っている。それで珍しく私が肩を貸した。





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