夢の橋

夢人

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生活2

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 源内も娘も私の精を貰ったと思い込んでいる。総司は精を受けるとそのまま部屋を出て行った。私は床に寝かされていた娘をベットに戻してその膣に唾を流し込んだ。総司はあれから何もなかったようにしている。爆弾騒ぎがあってからは総司は伯爵の付き人になっている。伯爵は伊藤博文らと憲法案を通そうとしている。
 岩倉は昔ほどの力がなくなっている。その分強引な行動が増えている。爆弾騒ぎの他に立会演説会の襲撃や新聞社の立ち入り調査といろいろやってくる。だが遂に明治憲法は制定された。
 私は連続小説を任されていて暇があったら樋口一葉を訪ねている。私は彼女の部屋で彼女の処女作を初めすべて読んだ。とくに闇桜が気に入って編集長に内緒で写本を作って文庫会社を回っている。
「向こうでは鼠は何をしているの?」
 一葉は私の話を全く疑っていない。
「会社の清算をしています。自殺者の調査をしたり…」
「なぜそんな仕事を選んだの?」
「いつの間にかそこにいたのです」
「そうねよく分かるわ。今も同じだわ。でもそこから抜け出したいともがくのよ」
 一葉と話していると心が洗われる。
 夕刻そこを辞して斎藤一の学校の道場に行く。久しぶりに飲もうと総司からの伝言を貰っているのだ。地図を見て道場にたどり着く。まさに防具を付けた試合をしていて学生が並んでいる。一の前にいるのは総司だ。一が上段から振り下ろす。総司は首を振っただけでそれを躱し横から払う。一はそれを予想していて飛び上がると総司の肩に寸止めする。だが総司も一の腹で寸止めをしている。
 それから学生も入れて15人ほどが近くの食堂に雪崩れ込む。
「板に付いてきましたね?」
「警察よりずっといいさ。総司が最近は女らしくなったぞ」
と耳元で囁く。






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