夢の橋

生活11

　岩倉が亡くなった。これに付いて玄道編集長が社説を書いた。私が編集長と伊藤博文に会い談話も乗せた。私は翌日岩倉の暗殺団の拠点にも足を運んだが、すでにもぬけの殻った。その路地に見た顔の男がいた。義足の足を引きづるようにして反対側に歩いていく。
「鼠か？」
「隊長だな？」
「いや。すでに首を切られてただの乞食だ」
「飲むか？」
「いただく」
　路地の奥に赤提灯がぶら下がっている。この男とは色々あった。向かい合うと徳利を頼んだ。
「暗殺団は？」
「残ったものは大陸に渡るそうだ。大陸浪人と言われちょっとしたはやりだ」
「隊長も行くのか？」
「もう指が震えて短銃も使えないさ。蜘蛛はどうしている？」
「伊藤博文の執事をやっているよ」
「いい仕事に付いたな？儂の足を切り落とした総司は？」
「恨んでいるか？」
「ああいう時代だった。恨んでないさ」
「剣道の先生だ」
「強かったからな？」
　旨そうに酒を飲む。私はもう1本を頼む。
「これは仲間の噂だがな、大陸には左効きの日本人の女の殺し屋がいるそうだ。鼠も短銃を使うそうだな？」
「ある人に教えてもらったのだ」