夢の橋

夢人

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生活20

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 室長は体調不良で休んでいる。それで室長のパソコンからUSBで彼の調査の一部を抜き取った。ここには本社の役員の個人情報が集められている。もちろん代取会長のファイルもある。72歳の会長は今は独身で5か所の女性のマンションを地球のように回っている。だが今更女性ネタでは駄目だ。
 これだと思ってこのファイルを選んだ。彼は今でも政治担当を統括している。今回の不良債権を作ったのは͡この会長の指示だ。分からなかったはずだ。彼はこういう金を作っては歴代の総理大臣を作ってきた。このUSBを3日掛けて分析した。この金が10億ほど前回の総裁選に流れていた。だがまだ東に渡す気にならない。
「今日も?」
 お局が室長の代わりになったように言う。
「不良債権の調査だよ」
と言って時計を気にして外に出る。
 2時に銀行前でおばさんと待ち合わせだ。おばさんは珍しく化粧をしている。銀行の玄関に入るとあの担当が応接室に案内する。すぐにあの課長が来て、
「確認をしましたよ。ご本人ですね?」
「はい」
 おばさんが緊張して答える。
「彼は?」
「娘の婚約者です」
 後は用紙にサインとハンコをたくさん押して銀行を出る。
「夢のようだわ」
 それだけ言って店に戻る。総司がビールの空き瓶を運んでいる。おばさんは急いで中に入ってく。
「今度朝鮮に行くことになったんだよ」
「私も一緒?」
「もちろんだ」





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