夢の橋

夢人

文字の大きさ
142 / 182

日清戦争4

しおりを挟む
 たかは私達を忘れているわけではないようだが、故意に避けている。あの夜も荒くれたちを鎮めるとあの警備隊長と2階席の上がってしまった。
「総司は?」
 今日は李に案内してもらって漢城の周りの市場に出かけた。野菜や果物が積み上げられている。その片側に小屋が無数並んでいる。李は顔見知りか朝鮮語で話しながら屋台の一つに入った。
「この白い酒は?」
「マッコリです」
 飲みにくい。
「あの総司さんは?」
「今日は漢城に迎えに出かけた。総司はあれで剣の達人で恐ろしい奴だ。今回は伯爵の警護を任されている。調べてくれたか?」
「はい。関係のある新聞記事と話を纏めてます」
 私はマッコリを注いで読み漁る。ホークはたかが3か月の間に7件もの事件を起こしている。このクラブの持ち主を襲撃して殺し、朝鮮の親日派の摂政の側近を襲って殺している。やはり清の要請を受けて朝鮮に来たのだ。アジトはあのクラブの2階以上の娼婦部屋らしい。
「ホークには30人の部下がいる。日本人も5人ほど混じっている。この人たちは日本刀を使う」
「君は飲まないのか?」
「私は飲まない。父さんを見ているから嫌」
「お父さんは何をしている?」
「博打ばかりしている。母はホテルの調理場の洗い担当よ。弟はホテルの部屋に新聞を届けて後は前で靴磨きをしている」
 たかと戦うことになるのか。嫌な予感がする。もし左でも昔のような腕なら私の短銃など相手にならない。
「今日も行く?」
「いや今日は伯爵と夕食を食べるように言われている。ここは近いのかな?」
「漢城の近くよ。朝鮮では一番格式のある料亭よ」
 伯爵はずいぶん仕事をこなしているように思う。私は昨日現地報告のようなものを送ったきりだ。私は伯爵から貰ったお金からいくばくかをテーブルに置いた。
「これは気持ちだ?」
「こんなにたくさん?」











しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...