夢の橋

日清戦争5

　おばさんのビルを買い取った。この際建物の補強や店のリホームをしようと言うことになった。今日は午前中に建設会社が打ち合わせに来ている。総司が今回は自分にまかせてくれと気合を入れている。残りは1000万ある。
　室長は体調が悪くまだ休んでいる。それで今回の不良債権の清算で私が本社の検査部長に代わりに来るように言われている。
「また直帰？」
　まるで室長代行になったようにお局が聞く。
「本社に行く」
とそれだけ言うと鞄を持って出かける。新橋から歩いて有楽町の本社ビルに行く。受付に行くと会議室に案内される。私一人に対して5人も相手は座っている。
「調査書を室長から貰っているが君が書いたのか？」
「はい」
「銀行と按分する債権の区分けも君が？」
　室長は指示するだけで自分ですることはない。不良債権の調査は死んだ最年長の彼がした。約2時間のやり取りがあってこの案ですることになった。終わると4人が去り検査部長だけが残る。
「これは室長と進めていたのだが、君が替われ」
と分厚いファイルを渡した。私は30分黙って読んだ。この調査は会長の関与に関する調査だ。依頼は息子の社長だ。
「次はまず君の意見を纏めてくること」
　また厄介ごとが増えた。
　暖簾を潜ると総司が目をキラキラさせてビールとウインナー2本を出す。
「後で図面を見て？」
「楽しそうだな？」
「これは夢じゃないから」
「そうか？夢じゃないか」
　だが今二人は朝鮮に渡っている。