夢の橋

日清戦争9

　工事が始まり店は当分閉める。私と総司とおばさんは同じアパートの部屋に暮らすことになった。もちろん抱くことはできない。総司は朝から工事現場に行くのが日課になっている。
　検査部長から任された資料を再度検証している。室長のファイルに妙な鍵のかかったのがある。私は高校の時からパソコンには凝っていた。それで３日掛けてこのファイルを開いた。やばいものが出てきた。室長はすでに会長の不正融資の係わりを見つけていたのだ。それもファイルの日からすると１か月半前にだ。
　スケジュール表を見るとＫと会うが５度出ている。始めの１度を覗いてそのうち４度が銀座のクラブだ。その日付の後ろに数字がある。４度で３00になるか。会長に懐柔されたのだ。私は部屋に戻ると室長のパソコンを初期化して線を外した。
　調査を検査部長に報告すると室長のことも話さないといけない。会長と話すのはもっとやばい。どうしてこんなところに足を突っ込んだのか。とことん行くところまで行けと言うことか。
　夕方に東をあのカフェに呼び出した。
「ますます美しくなったな？」
　入ってきた洋装の東に声をかけた。
「それは商売だもの。それで調査出来た？」
「・・・」
　まだ迷っている。
「まだ悪人にはなれないのね？悪いことは私に被せれば？」
「会長はやばい親父だ。今でも裏金を作っては政治家に渡している。社長の息子が調査をしている」
と言って持って来た室長の報告書の一部を渡す。
「これを見せて交渉をすればいい？」
「殺されたら線香をあげてね？」