夢の橋

夢人

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夢の橋11

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「戻れたな?」
「うん」
 こくりと総司が頷いた。
 会社に出たら検査部長が来ていてお局の室長代行を解いて直轄することを伝えて帰っていた。やはりもう過去の役員には何の力もないようだ。携帯に会長室に11時に来るようにとメールが入っていた。スケジュールに会長訪問として直帰と記録した。
 会長室の前のソファーで15分待たされる。年配の男が鞄を持って出てくる。テレビで見た顔だ。総理の秘書だ。
「入れ」
と会長の声がして中に入った。
「室長が昨夜ママのクラブに行って夜マンションに泊まった」
 まるで張り込んでいたような調査だ。
「やはり、室長はママに資金の絡繰りを教えている。これで君の疑いは晴れたな?」
 疑っていたのだ。だがこれで東が核心の資料を持っていると想像してしまう。これは東の作戦だ。これで会長は二人をマークすることになる。危険は薄くなるわけだ。同時に殺さなければならない。
「ところで検査部長に調査の続行を頼まれたな?それを私に前もって渡してほしいのだ。もちろん要望も出してくれ」
 それだけ言うと会長は慌ただしく出て行った。私は東に連絡をした。東は新しい銀座に店を指定してきた。銀座の外れの9丁目だ。エレベターを上がると華やかなモダンなクラブがある。
「豪勢だな?」
 東のボックスに座る。
「これは前から準備していたベンチャーと組んだ会員制クラブなの。お客はベンチャーの社長で女の子はすべて就職活動中の女子大生よ」
 あの金がそれで必要だったのだ。
「会長が室長が泊まったことを知っていた」
「知らせたようなものだから。室長は私のリスクヘッジよ。隠したわ」
「まさか殺した?」
「まだ役が残っているわ」
 東は怖い奴だ。
「また夢の世界に行けた」
「死んだら私もそこに連れて行って」


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