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第一章[日常]
弟君の人気すごいね
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「また君はそうやって返す」
今返事をしたのは、私たちの一つ上の先輩"七瀬水芭"私たちが中学生の時から仲良くしている人だ。
「お前は相変わらずだな。」
軽くため息交じりに、七瀬さんの口からその言葉は漏れた。
「七瀬さんもこのやり取り何度もしてるじゃないですか。」
「まあな!」
七瀬さんはカラカラと笑いながら言った。周りにいる何人かは彼女の高らかな笑い声に驚き、視線をこちらに向ける。周囲の注目を感じ取った彼女は、口を押し隠すようにして「しまった」とつぶやいた。「相変わらずだなこの人は」そう思いながらも彼女の変わらぬ様子を見て、どこか懐かしい気持ちになった。
「雪も久しぶりだな」
「はい、お久しぶりです。水芭先輩も変わりないようで何よりです。」
雪は軽く会釈をし、優しい微笑みを浮かべながら丁寧に述べる。
「やはり雪は素直だな。」
七瀬さんはまるで「お前とは違って」とでも言いたげに、こちらを見つめながら言った。
「私を見ながら言わないでください。」
私は心に浮かんだ言葉をそのまま口に出した。
「それはさておき、二人とも改めて我が東京都立自由之宮高等学校に入学おめでとう。知ってると思うが、ここは日本でも珍しい単位制の全日制高校だ。毎日学校にくる必要があるわけじゃないから、ある程度自由なスケジュールが組めるようになっている。それもあって、雪のような芸能活動をしている者も少なくない。いいように言えば生徒の自主性が尊重されるってことだ。しかし、取得単位数が足りなければ普通に留年もする。なので、しっかりと勉強はするように。」
「急な説明口調ですね。」
「まあ、それはいいだろ。」
雪と七瀬さんが、そんなやり取りをしているのを見ながら。そろそろ時間が迫っていることを思い出す。雪にそのことを伝えるために声を出しかけたところで「そろそろ時間だろ、新入生のお前たちは教室に移動するといい。」と言われた。
「そうですね、それでは私たちはこれで。雪、掲示板でクラスの確認をしに行きましょう。」
「ちなみにお前たちのクラスは1-3だぞ!」
七瀬さんは腰まである長い黒髪を揺らし、ただでさえ大きい胸をさらに強調するように胸を張り、得意げに鼻を鳴らしている。そんな彼女を傍目に、呆れながら声を出した。
「勝手にみないでください。」
ーーー
ーー
ー
「本当に1-3だったな、俺たちのクラス。」
「まったくあの人は何なんですか。」
クラス分けの掲示板から自分たちのクラスに移動する間に、七瀬さんへの悪態をついていた。
「まあ、落ち着きなよ。」
そんなやり取りをしていると「1-3」と書かれた表札がある教室についた。そのまま教室に入ると数秒の後耳を劈くほどの絶叫が教室を埋め尽くした。
「一緒のクラスなんだやった!」
「私この高校でよかった...」
そんな言葉を受け流しながら私たちは自分たちの席に座ると、前の席の女子が顔だけを後ろに向けにやにやしながらこう言ってきた。
「弟君の人気すごいね」
今返事をしたのは、私たちの一つ上の先輩"七瀬水芭"私たちが中学生の時から仲良くしている人だ。
「お前は相変わらずだな。」
軽くため息交じりに、七瀬さんの口からその言葉は漏れた。
「七瀬さんもこのやり取り何度もしてるじゃないですか。」
「まあな!」
七瀬さんはカラカラと笑いながら言った。周りにいる何人かは彼女の高らかな笑い声に驚き、視線をこちらに向ける。周囲の注目を感じ取った彼女は、口を押し隠すようにして「しまった」とつぶやいた。「相変わらずだなこの人は」そう思いながらも彼女の変わらぬ様子を見て、どこか懐かしい気持ちになった。
「雪も久しぶりだな」
「はい、お久しぶりです。水芭先輩も変わりないようで何よりです。」
雪は軽く会釈をし、優しい微笑みを浮かべながら丁寧に述べる。
「やはり雪は素直だな。」
七瀬さんはまるで「お前とは違って」とでも言いたげに、こちらを見つめながら言った。
「私を見ながら言わないでください。」
私は心に浮かんだ言葉をそのまま口に出した。
「それはさておき、二人とも改めて我が東京都立自由之宮高等学校に入学おめでとう。知ってると思うが、ここは日本でも珍しい単位制の全日制高校だ。毎日学校にくる必要があるわけじゃないから、ある程度自由なスケジュールが組めるようになっている。それもあって、雪のような芸能活動をしている者も少なくない。いいように言えば生徒の自主性が尊重されるってことだ。しかし、取得単位数が足りなければ普通に留年もする。なので、しっかりと勉強はするように。」
「急な説明口調ですね。」
「まあ、それはいいだろ。」
雪と七瀬さんが、そんなやり取りをしているのを見ながら。そろそろ時間が迫っていることを思い出す。雪にそのことを伝えるために声を出しかけたところで「そろそろ時間だろ、新入生のお前たちは教室に移動するといい。」と言われた。
「そうですね、それでは私たちはこれで。雪、掲示板でクラスの確認をしに行きましょう。」
「ちなみにお前たちのクラスは1-3だぞ!」
七瀬さんは腰まである長い黒髪を揺らし、ただでさえ大きい胸をさらに強調するように胸を張り、得意げに鼻を鳴らしている。そんな彼女を傍目に、呆れながら声を出した。
「勝手にみないでください。」
ーーー
ーー
ー
「本当に1-3だったな、俺たちのクラス。」
「まったくあの人は何なんですか。」
クラス分けの掲示板から自分たちのクラスに移動する間に、七瀬さんへの悪態をついていた。
「まあ、落ち着きなよ。」
そんなやり取りをしていると「1-3」と書かれた表札がある教室についた。そのまま教室に入ると数秒の後耳を劈くほどの絶叫が教室を埋め尽くした。
「一緒のクラスなんだやった!」
「私この高校でよかった...」
そんな言葉を受け流しながら私たちは自分たちの席に座ると、前の席の女子が顔だけを後ろに向けにやにやしながらこう言ってきた。
「弟君の人気すごいね」
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