幸せが終わるとき。(完結)

紫苑

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決着

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あれから夢を見ている。雨音が沢山心に響いて煩い。何年も何年も、あのクリスマスから。

クリスマスの夢は決まって雨音だった。なのに、クリスマスじゃないのに、あの夜の夢を見る。
温かなぬくもり、すべすべの肌触り、柔らかな感触、どこを触っても触られても不快などころか、快感に身を捩る。ずっとあのぬくもりが離れず続くと、永遠を夢に見ていた子供な自分。触れば触るほど、遠くて近い、過去の幻想に、俺はおかしくなって、しまったのかもしれない。いや、

「とっくに…おかしかったんだ」

目が覚めれば、涙も出ていないのに、目をごしごしとこする。下半身の反応に、自分が卑猥な夢を見ていたのだと自覚する。でも、今は部屋に誰も居ないしーなのに、キッチンからいい匂いがした。ふわ、と匂いに誘われて、足を運べば、そこには雨音が居た。

「ちょっとぉ、風邪引いてるんだから。部屋で休んでなさいよ!!」

最近の幻覚と言うのは身振りに声までついてくるらしい。

「人のライン無視して!寝てなさいって言ってるでしょ!!」
「…でも」
「でもじゃないっ!!」

パコーンとスリッパが飛んできて、顔面直撃したときに足がふらついて、風邪を引いてると知った。
喉がガラガラだし、頭がぼんやりして正常な思考までに至らず、体中が熱っぽい。怠くて重い感覚に、皮膚科医とは言え、医者失格だと思う。そういえば、どうやって部屋にーと思えば、部屋に戻る途中に危険な事にドアが半開きになってそのまま寝たことに気が付く。

「あっぶね…ぇ」

雨音じゃなかったら、殺されても文句は言えない。部屋のベットにごろごろと横になりながら、雨音の作るご飯の匂いが鼻腔をくすぐる。そういえば雨音のラインは、どんな内容だったのか手を伸ばしてテーブルの上を見ようとすると、キィーと自分の寝室のドアが開いた。

「おかゆ出来たから食べなさいよ」
「あ、ありがとな」

何となく雨音の様子がぎくしゃくしている事に気が付くと、雨音らしくなく、スプーンにおかゆを乗せて「あ、あ~ん?」と恥ずかしそうにしている。自分でも柄じゃない、そう思ってるのに今日の雨音は変だ。でも、何故かそれを「好都合」だと感じ、腕ごと掴んでそれを受け入れ、口に運ぶ。

「美味いな」

ぺろとそのまま舌を使って咀嚼すると、今度はお返しと雨音をベットの中に引きこんだ。

「えっ、ちょ、ちょっ…何す…んぅ」
「雨音が食べたい」

軽くキスした後に雨音を見つめ、自分の性的な気分を昂らせてしまった事に気が付くと、涙目になりながら「ラインは…?見てないの…見てないのならいいんだけど」としどろもどろに言うので、俺は片手で雨音を抱きかかえながら、もう片方の手で雨音のラインを見た。

「ああ!!や、やっぱり恥ずかしいから!!」

耳まで赤くなるラインとは、雨音はどれほどの事を書き込んだのか気になって、意地悪気な気分になる。

『この間はごめんなさい。』

何だ普通の内容じゃないかーそう安堵した瞬間、

『私、ティエが好きだから。好き…だから、じゃないとあんな事出来ない。あのクリスマスの前から…

ずっとずっと好きだった。婚約者さんと上手くいかなかったのは、ティエを忘れられなかったの。

ティエ、好きです、付き合って…下さい。』

スマホから目を離すと、そこには真っ赤な顔をして目を潤ませる、あのクリスマスの少女が居た。

心が一気に痺れて、素直な気持ちを吐露する。

「俺も雨音が好きだ。」
「…本当に?」
「うん」

心臓がドキドキして、目の前の雨音に触れたい、とそのままベットに押し倒す。
あの時意気地が出なかったのは、雨音を『今』も好きか分からなかったから。でも今なら分かる。心臓が痺れたみたいにじくじくと痛み、同時に温かくなる。

「雨音…付き合ってほしい」

軽いキスを繰り返し、軽く空いた唇に舌を忍ばせる。「んぅっ…ぁあっ…んぅ」恥ずかしそうに身を捩らせ、誘う雨音。性的なキスにぞくぞくしながらも、スカートの中に手を入れ、ファスナーを下す。片方の手でカットソーを脱がすと、淡いピンク色のレースの下着が愛らしい。

「雨音、あの時の下着も似たような色だったな」
「んぅっ…あの時の事覚えてるの?」
「忘れられないほど、エロかったよ」
「エロければだれでもいいの…?」
「ううん、雨音だからだよ」

下着の中に手を入れて味わうようにキスした後、ショーツが愛液で沢山で指を中に入れると、雨音は飛び跳ねるように感じる。水音が響くと恥ずかしそうに抱き着いてきた。

「雨音…っ、ひょっとして、早く…こうして欲しかったのか…?」
「…んぅっ、うん…早く繋がりたかっ…たの…」

雨音は抱く時、徐々に素直になっていった。あの時と違うのは、気持ちが一緒だという安堵感。雨音から舌を絡ませてきて、下半身を押し当てると嬉しそうに、キスは激しくなる。胸を端から徐々に揉み、雨音の甘い声を楽しむと、雨音の大事な部分が徐々に濡れていく。「はぁっ…んぅっ…入れて…?」首を舐め、胸をかじると「ひゃぁっ…早く…お願…い」と声色はどんどん甘くなる。洋服を一気に脱いで、自分自身のものに避妊具を被せた。

「うん…分かった…」
両足を外側に開き、一気に体を雨音の中に沈める。水音が激しくなり、雨音の抱き着き方も強くなる。
「ひゃぁあんんっ」腰を振って淫らになってく雨音をずっと見ていたい、「好き…好きだ。雨音!っ」
「私も…す、きっ、すきぃっ…!!」抱いてる時、雨音は綺麗だった。腰を沢山振って、気持ちよさそうに喘ぐ、その姿を可愛くて綺麗だと心底思った。

「ひゃああぁつ…っんんぅ!!」

胸に焼き付けておきたい、そう願う。

二人で抱き合いながら、

「もうどこにも行くなよ」と、

耳元で囁いた。

「当たり前でしょ」

真っ赤になりながら、

「私はもうどこにも行かないわ」

強く抱き着かれてキスされてしまった。

「欲しいものーようやく、ティエを手に入れたから」
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