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といっても俺はまだ幸せな方だ。
「あ、もしかして今年が奇数の年だからって心配しているんでしょ」
「大丈夫だよ、かっちゃんなら今年もいい人に選ばれるって」
「性欲は向けられないかもしれないけど……」
「番には選ばれないかもしれないけど……」
「でもいい人見つかるって」
「ありがとう。お前達も不安だろうに、心配かけてごめんな」
「不安なのは今だけだよ」
「発情剤を飲めば正気なんてなくなるんだから」
彼らはカラカラと笑う。
そして「いい人に選ばれるために今から念入りにスキンケアしとかなきゃ」とわざとらしい声を上げて、去って行った。
「はぁ、年下に心配かけるなんて情けない」
自己嫌悪に陥りながらカレンダーを眺める。
俺が初めて番選びに参加したのは七年前。
そこから二年ごとにほとんど同じ相手に選ばれている。一度だって抱かれたことはない。誰も性欲や恋愛感情を欠片だって向けてこなかった。
初めからそういう相手として選ばれた訳ではないし、アルファの発情香を全く感じない俺だからこそ彼らは会場で目をつけた。配布される発情剤も効かない。特殊体質というやつなのだ。
だからこそオメガのほとんどが生まれてすぐに施設に入れられるのに対して、俺は五歳まで外で過ごしていた。
今でこそ成人ベータ男子にしか見えない俺もあの頃はまだオメガらしい愛らしさもあったが、子どもだからとさほど気にされることもなく、ベータやアルファの子と混ざって公園で駆け回っていた。
そこで出会った少年、ダイチに恋をして、何らかの理由で施設に入れられた。
入所のきっかけはよく覚えていない。気づいたら限られた荷物と一緒に施設に入っていた。
離れても家族仲は良好のまま。けれど施設に入れたのかだけは絶対に教えてくれない。
大した理由なんてないのかもしれない。どんなに遅くとも小学校を卒業したら施設に入らなくてはいけないのだ。なら小学校に入学させる前に入れてしまおうとでも思っていたのかもしれない。
買ってもらった黒いランドセルを背負えなかったことと、お別れを言えなかったことは未だに気になっている。そして初恋もまた、未だに引きずっていた。
「あ、もしかして今年が奇数の年だからって心配しているんでしょ」
「大丈夫だよ、かっちゃんなら今年もいい人に選ばれるって」
「性欲は向けられないかもしれないけど……」
「番には選ばれないかもしれないけど……」
「でもいい人見つかるって」
「ありがとう。お前達も不安だろうに、心配かけてごめんな」
「不安なのは今だけだよ」
「発情剤を飲めば正気なんてなくなるんだから」
彼らはカラカラと笑う。
そして「いい人に選ばれるために今から念入りにスキンケアしとかなきゃ」とわざとらしい声を上げて、去って行った。
「はぁ、年下に心配かけるなんて情けない」
自己嫌悪に陥りながらカレンダーを眺める。
俺が初めて番選びに参加したのは七年前。
そこから二年ごとにほとんど同じ相手に選ばれている。一度だって抱かれたことはない。誰も性欲や恋愛感情を欠片だって向けてこなかった。
初めからそういう相手として選ばれた訳ではないし、アルファの発情香を全く感じない俺だからこそ彼らは会場で目をつけた。配布される発情剤も効かない。特殊体質というやつなのだ。
だからこそオメガのほとんどが生まれてすぐに施設に入れられるのに対して、俺は五歳まで外で過ごしていた。
今でこそ成人ベータ男子にしか見えない俺もあの頃はまだオメガらしい愛らしさもあったが、子どもだからとさほど気にされることもなく、ベータやアルファの子と混ざって公園で駆け回っていた。
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入所のきっかけはよく覚えていない。気づいたら限られた荷物と一緒に施設に入っていた。
離れても家族仲は良好のまま。けれど施設に入れたのかだけは絶対に教えてくれない。
大した理由なんてないのかもしれない。どんなに遅くとも小学校を卒業したら施設に入らなくてはいけないのだ。なら小学校に入学させる前に入れてしまおうとでも思っていたのかもしれない。
買ってもらった黒いランドセルを背負えなかったことと、お別れを言えなかったことは未だに気になっている。そして初恋もまた、未だに引きずっていた。
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