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忠実なイヌは甘味がお好き
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「いっちゃん、樹里、行ってきます」
「行ってらっしゃい!」
大和には娘の樹里が揺らす小さな手に応えながら車に乗って行った。
いつものように可愛い娘と愛すべき妻に見送られて幸せを感じるはずなのに、今日の大和の心を占めるのは幸せだけではなかった。
というのも暦は11月後半へと差し掛かる中、年々規模が大きくなっていくクリスマスのプレゼントの要望を樹里から樹が根気よく聞き出してくれた。
一昨年はドールハウスと50体のドール人形。
去年は海外の別荘とオプションのように付け加えられた大型犬20頭。
それに答えられるだけの財力は持ち合わせているものの、いかんせん樹里の興味はあまり長くは持たない。
子どもだからそれは仕方のないことなのかもしれないが、わざわざ全て顔の違うドール人形をご要望通り50体ほど揃えたというのに、樹里の興味は年が明けるとともに去ったし、別荘に至ってはもう少しで一年が経つ今も訪問していない。
毎年、樹里の要望は規模が大きな割にはテレビで直感的に観て欲しくなったものばかりだった。やはりそんなところはまだ子どもなのだ。
大和も大和なりに考えてみたもののやはり去年と同じように想像はつかなかった。
だから樹に頼んで聞き出してもらっていたのだ。
そして樹からそれを教えてもらったのはつい昨晩のことだ。
妙に暗い顔をした樹は悲しそうに樹里が望むものをそっと大和の耳に入れた。そしてようやく大和も樹が暗い顔をしている理由を悟った。
樹里が望んだのは『弟妹』だったのだ。
ドールハウスでもドール人形でも、別荘でも犬でもなく、『弟妹』。
それは他のどんな無理難題よりも樹と大和の心にのしかかったのだった。幼い樹里に、我が子にそれは無理だとは言えなかったのだろう。
大和だって今朝方、目を輝かせて「弟でも妹でもいいわ。私はクリスマスもお誕生日もいらないから、早く会いたいなぁ」と楽しそうに語る樹里にそんなこと、言い出せるはずもなかった。
「はぁ……」
出かけた先で、兄弟で仲良く遊んでいる子どもを見る度に大和にも樹里に弟妹を作ってやりたいとは思う。
けれど番ではない大和と樹の間にそれは望めなかった。
可能か不可能かで聞かれれば、不可能ではない。だが番ではないアルファと交われば途端にオメガは、樹は拒否反応を示すことだろう。
だからこそ大和はオメガの発情期を終わらせるのにはアルファの精が最も有効であることを知っていても、熱に侵された樹をどうしてやることも出来なかったのだ。
樹里には悪いがこればかりは諦めてもらうしかないだろう。
大和は移動中、ずっとインターネットで樹里の興味を少しでも引けるようなものを探し出すことに没頭した。
今日は金城グループが経営するメーカーの一つが新しく立ち上げるブランドの広告のためにテレビ局に足を運んだ。
本来ならばそのブランドの担当者だけが来ればいいのだが、今回は大和が樹里のために立ち上げた子供服のブランドということもあり、わざわざ撮影に足を運んだのだった。
「いっ、ちゃん?」
そんな大和が樹とよく似た青年を見つけたのは本当に偶然のことだった。
それは大和がスタジオに向かう途中、ビニール袋を手にさげた斎が勇樹の待つ控え室へと帰る最中のことだった。
斎と初対面の大和が斎と樹の見分けなどとっさに着くはずもなく、なぜここに樹がいるのか?つい先ほど見送りに立っていたではないかと大和の頭は混乱した。
一方、斎はといえば目の前で目をまん丸くする相手の名前をどうしても思い出せずにいた。
それもそうだろう。なんせ大和と斎は初めて会ったのだから、知らずとも無理はない。
「斎、どうしたの? ……ってお前、道永か! なんでここに?」
「橋、間? この人って……」
「ああ、お前も驚いたか。こいつは服部斎。高校の時にいた、金城樹とは別人だ」
「服部、斎……」
『服部』――その名を聞いた途端、大和はこの斎という名の青年が誰なのかを悟った。
斎は樹の双子の兄だ。
服部という苗字、そして樹と同じ『いつき』という音。そして何より彼の顔がそれを物語っていた。
大和は当主になってから『金城』『道永』『服部』の過去数十年分のデータベースに目を通していた。
そしてそこで初めて樹にベータの、服部の姓を持つ兄がいることを知った。
もちろん『金城』に選ばれた樹も『服部』になった斎もそのことは知らないのだろう。大和もその事実は知ってこそいても役に立つことだとは思わずに頭の隅に放り込んでおいていた。
この何億と人口のいる国内で、まさか樹の片割れに出会うとは思わなかったのだ。
彼らにその名を与えた二代前の当主もまたそうだったのだろう。
樹達が産まれてからすぐに持病で亡くなってしまい、すぐにその座は仙右衛門への継がれたため、どのような意図があったかは大和には知る由もない。だが出会うと分かっていたら瓜二つの二人にこんな紛らわしい名などつけたりしないに違いない。
「ねぇ、君」
「はい。何でしょう?」
「君は、橋間の番?」
大和は『服部』がアルファの番になれないことを承知で尋ねた。
服部斎にとって橋間勇樹はどんな人物であるのか。
そして橋間勇樹にとって服部斎はどんな人物にあたるのか。
「いえ、私は彼のマネージャーです」
「マネージャー、ねぇ……」
「道永?」
それも嘘ではないのだろう。
いくら質問したのが、担当する役者が学園卒業ぶりに会った、それもさほど仲の良い相手ではなかったとしても嘘をつく必要性はない。
だが大和が知りたいのは決まりきった、調べてすぐにわかるような関係ではなく、彼らの本当の関係なのだ。
だから大和は彼の持てる中で一番鋭利な言葉のナイフを胸元から取り出して、突き立てた。
「そうだ。橋間、実は俺、今はもう道永じゃないんだ」
「ん、なんだ。婿養子か何かに入ったのか?」
「今は、金城って言うんだ」
「金、城……?」
「ああ。金城 樹の夫になった」
「……そうか」
短く返す勇樹のその目には、すでにあの頃のような熱はなかった。それは彼の中で、すでに樹は過ぎ去ったものだと如実に告げていた。
その代わり、横目で隣のマネージャーだと紹介した男の姿を確認するようにして流し眼を送った時にはちゃんとその熱は存在していたのだ。
強く熱く欲するその目は大和が樹を望む目とよく似ていた。
マネージャーというのは嘘ではないが、勇樹にとって彼はそれ以上のものなのだ。
だが皮肉なものだ。
勇樹は捨てた番と全く同じ顔の、双子の兄の方を愛したというのだから。
それも代わりとしてではなく、一人の人間として愛することを決めたのだ。
「じゃあ俺はこれで。橋間、ちゃんと幸せにしなよ」
「……ああ、もちろん」
大和にとっては勇樹が誰を愛そうと知ったものではなかったが、それでも服部を愛してくれたことは好都合だった。
道永の名を持つ大和と同様に金城になれなかった目の前の青年は、幼い頃に後天的にアルファになるための薬を飲まされている。
そんな彼が偶発的に、そして後天的にオメガになる可能性はない。潔いくらいのゼロだ。これは今までの服部の名を持つ者たちの人生が物語っている。
おそらくはアルファになることは叶わなかったものの、アルファ寄りに身体が作り変わっているせいだろう。
ベータの中でも一定数いる、アルファ寄りのベータというわけだ。それは後天的にオメガになる可能性を持つ者と対極に存在する。……後天的にアルファになる者は未だかつて存在しないというのに不思議な話ではあるが、それが現代に存在する揺るぎない事実なのだ。
つまり勇樹がこの青年に想いを寄せている限り、彼はオメガと番の契りを交わすことはないことを表している。
勇樹が一途で真面目な青年であることを大和は嫌という程よく知っている。
あの日、もし勇樹が正気だったならあんなことにはならなかったということもわかっているのだ。
大和は勇樹になら樹を……なんて思ったこともあったのだから。
結果的にそれは大和と樹の仲を明確なものとするための大きな役割を果たしたのだが、もし勇樹が他のオメガと契りを交わせばもとの番である樹は正気を失うほどに乱れてしまうだろう。それが捨てられたオメガの本来の在り方なのだから。だがそうなれば樹は毎日5回もの投薬でどうにかその衝動を収めなくてはいけなくなる。
これから先、死ぬまでずっと。
捨てられたオメガの末路を、金城家のトップに立つ者として一度は見ておかなくてはならないと、仙右衛門に連れられて訪れた施設で目にしたオメガはもう、ヒトではなかった。
ケモノのように哭き叫び、薬を、正確には自らの精神を落ち着けるための物質を求め続けるのだ。
大和は彼らのように乱れ狂う樹を見たくはなかったし、勇樹とのことを過去のことだと割り切っている樹はいつか来るだろうその日を心のどこかで怯えていた。
だがもうその心配もないようだ。
勇樹が同じ過ちを二度と繰り返すことはないだろう。
なぜなら彼はもう夢を見る必要がないのだから。
大和は意気揚々と妻の樹、そして愛娘の樹里の待つ家へと帰るのだ。
「そうだ。お土産にケーキを買って帰ろう」
何も知らない彼らに代わって全てを知っている大和だけが全ての終わりとそして始まりを祝うのだ。
そしてホールのケーキを四つに切り分けるのだ。
大きめの、娘の樹里にあげる分を切った後で残りは綺麗に分かれた三つに分ける。
一つは樹、一つは大和、そして残りの一つは樹の幼い頃の孫にすっかり心を奪われた金城家前当主、惣左衛門に。
大和はすっかり樹里のクリスマスプレゼントのことなど忘れていた。
忘れて、突如として湧いて出てきた幸運を噛み締めるのだ。
きっと樹里はロウソクを立てたがるだろうが今日は遠慮してもらおう。
せっかく灯った炎はいつまでも燃え続けてくれなければ困るのだから。
「行ってらっしゃい!」
大和には娘の樹里が揺らす小さな手に応えながら車に乗って行った。
いつものように可愛い娘と愛すべき妻に見送られて幸せを感じるはずなのに、今日の大和の心を占めるのは幸せだけではなかった。
というのも暦は11月後半へと差し掛かる中、年々規模が大きくなっていくクリスマスのプレゼントの要望を樹里から樹が根気よく聞き出してくれた。
一昨年はドールハウスと50体のドール人形。
去年は海外の別荘とオプションのように付け加えられた大型犬20頭。
それに答えられるだけの財力は持ち合わせているものの、いかんせん樹里の興味はあまり長くは持たない。
子どもだからそれは仕方のないことなのかもしれないが、わざわざ全て顔の違うドール人形をご要望通り50体ほど揃えたというのに、樹里の興味は年が明けるとともに去ったし、別荘に至ってはもう少しで一年が経つ今も訪問していない。
毎年、樹里の要望は規模が大きな割にはテレビで直感的に観て欲しくなったものばかりだった。やはりそんなところはまだ子どもなのだ。
大和も大和なりに考えてみたもののやはり去年と同じように想像はつかなかった。
だから樹に頼んで聞き出してもらっていたのだ。
そして樹からそれを教えてもらったのはつい昨晩のことだ。
妙に暗い顔をした樹は悲しそうに樹里が望むものをそっと大和の耳に入れた。そしてようやく大和も樹が暗い顔をしている理由を悟った。
樹里が望んだのは『弟妹』だったのだ。
ドールハウスでもドール人形でも、別荘でも犬でもなく、『弟妹』。
それは他のどんな無理難題よりも樹と大和の心にのしかかったのだった。幼い樹里に、我が子にそれは無理だとは言えなかったのだろう。
大和だって今朝方、目を輝かせて「弟でも妹でもいいわ。私はクリスマスもお誕生日もいらないから、早く会いたいなぁ」と楽しそうに語る樹里にそんなこと、言い出せるはずもなかった。
「はぁ……」
出かけた先で、兄弟で仲良く遊んでいる子どもを見る度に大和にも樹里に弟妹を作ってやりたいとは思う。
けれど番ではない大和と樹の間にそれは望めなかった。
可能か不可能かで聞かれれば、不可能ではない。だが番ではないアルファと交われば途端にオメガは、樹は拒否反応を示すことだろう。
だからこそ大和はオメガの発情期を終わらせるのにはアルファの精が最も有効であることを知っていても、熱に侵された樹をどうしてやることも出来なかったのだ。
樹里には悪いがこればかりは諦めてもらうしかないだろう。
大和は移動中、ずっとインターネットで樹里の興味を少しでも引けるようなものを探し出すことに没頭した。
今日は金城グループが経営するメーカーの一つが新しく立ち上げるブランドの広告のためにテレビ局に足を運んだ。
本来ならばそのブランドの担当者だけが来ればいいのだが、今回は大和が樹里のために立ち上げた子供服のブランドということもあり、わざわざ撮影に足を運んだのだった。
「いっ、ちゃん?」
そんな大和が樹とよく似た青年を見つけたのは本当に偶然のことだった。
それは大和がスタジオに向かう途中、ビニール袋を手にさげた斎が勇樹の待つ控え室へと帰る最中のことだった。
斎と初対面の大和が斎と樹の見分けなどとっさに着くはずもなく、なぜここに樹がいるのか?つい先ほど見送りに立っていたではないかと大和の頭は混乱した。
一方、斎はといえば目の前で目をまん丸くする相手の名前をどうしても思い出せずにいた。
それもそうだろう。なんせ大和と斎は初めて会ったのだから、知らずとも無理はない。
「斎、どうしたの? ……ってお前、道永か! なんでここに?」
「橋、間? この人って……」
「ああ、お前も驚いたか。こいつは服部斎。高校の時にいた、金城樹とは別人だ」
「服部、斎……」
『服部』――その名を聞いた途端、大和はこの斎という名の青年が誰なのかを悟った。
斎は樹の双子の兄だ。
服部という苗字、そして樹と同じ『いつき』という音。そして何より彼の顔がそれを物語っていた。
大和は当主になってから『金城』『道永』『服部』の過去数十年分のデータベースに目を通していた。
そしてそこで初めて樹にベータの、服部の姓を持つ兄がいることを知った。
もちろん『金城』に選ばれた樹も『服部』になった斎もそのことは知らないのだろう。大和もその事実は知ってこそいても役に立つことだとは思わずに頭の隅に放り込んでおいていた。
この何億と人口のいる国内で、まさか樹の片割れに出会うとは思わなかったのだ。
彼らにその名を与えた二代前の当主もまたそうだったのだろう。
樹達が産まれてからすぐに持病で亡くなってしまい、すぐにその座は仙右衛門への継がれたため、どのような意図があったかは大和には知る由もない。だが出会うと分かっていたら瓜二つの二人にこんな紛らわしい名などつけたりしないに違いない。
「ねぇ、君」
「はい。何でしょう?」
「君は、橋間の番?」
大和は『服部』がアルファの番になれないことを承知で尋ねた。
服部斎にとって橋間勇樹はどんな人物であるのか。
そして橋間勇樹にとって服部斎はどんな人物にあたるのか。
「いえ、私は彼のマネージャーです」
「マネージャー、ねぇ……」
「道永?」
それも嘘ではないのだろう。
いくら質問したのが、担当する役者が学園卒業ぶりに会った、それもさほど仲の良い相手ではなかったとしても嘘をつく必要性はない。
だが大和が知りたいのは決まりきった、調べてすぐにわかるような関係ではなく、彼らの本当の関係なのだ。
だから大和は彼の持てる中で一番鋭利な言葉のナイフを胸元から取り出して、突き立てた。
「そうだ。橋間、実は俺、今はもう道永じゃないんだ」
「ん、なんだ。婿養子か何かに入ったのか?」
「今は、金城って言うんだ」
「金、城……?」
「ああ。金城 樹の夫になった」
「……そうか」
短く返す勇樹のその目には、すでにあの頃のような熱はなかった。それは彼の中で、すでに樹は過ぎ去ったものだと如実に告げていた。
その代わり、横目で隣のマネージャーだと紹介した男の姿を確認するようにして流し眼を送った時にはちゃんとその熱は存在していたのだ。
強く熱く欲するその目は大和が樹を望む目とよく似ていた。
マネージャーというのは嘘ではないが、勇樹にとって彼はそれ以上のものなのだ。
だが皮肉なものだ。
勇樹は捨てた番と全く同じ顔の、双子の兄の方を愛したというのだから。
それも代わりとしてではなく、一人の人間として愛することを決めたのだ。
「じゃあ俺はこれで。橋間、ちゃんと幸せにしなよ」
「……ああ、もちろん」
大和にとっては勇樹が誰を愛そうと知ったものではなかったが、それでも服部を愛してくれたことは好都合だった。
道永の名を持つ大和と同様に金城になれなかった目の前の青年は、幼い頃に後天的にアルファになるための薬を飲まされている。
そんな彼が偶発的に、そして後天的にオメガになる可能性はない。潔いくらいのゼロだ。これは今までの服部の名を持つ者たちの人生が物語っている。
おそらくはアルファになることは叶わなかったものの、アルファ寄りに身体が作り変わっているせいだろう。
ベータの中でも一定数いる、アルファ寄りのベータというわけだ。それは後天的にオメガになる可能性を持つ者と対極に存在する。……後天的にアルファになる者は未だかつて存在しないというのに不思議な話ではあるが、それが現代に存在する揺るぎない事実なのだ。
つまり勇樹がこの青年に想いを寄せている限り、彼はオメガと番の契りを交わすことはないことを表している。
勇樹が一途で真面目な青年であることを大和は嫌という程よく知っている。
あの日、もし勇樹が正気だったならあんなことにはならなかったということもわかっているのだ。
大和は勇樹になら樹を……なんて思ったこともあったのだから。
結果的にそれは大和と樹の仲を明確なものとするための大きな役割を果たしたのだが、もし勇樹が他のオメガと契りを交わせばもとの番である樹は正気を失うほどに乱れてしまうだろう。それが捨てられたオメガの本来の在り方なのだから。だがそうなれば樹は毎日5回もの投薬でどうにかその衝動を収めなくてはいけなくなる。
これから先、死ぬまでずっと。
捨てられたオメガの末路を、金城家のトップに立つ者として一度は見ておかなくてはならないと、仙右衛門に連れられて訪れた施設で目にしたオメガはもう、ヒトではなかった。
ケモノのように哭き叫び、薬を、正確には自らの精神を落ち着けるための物質を求め続けるのだ。
大和は彼らのように乱れ狂う樹を見たくはなかったし、勇樹とのことを過去のことだと割り切っている樹はいつか来るだろうその日を心のどこかで怯えていた。
だがもうその心配もないようだ。
勇樹が同じ過ちを二度と繰り返すことはないだろう。
なぜなら彼はもう夢を見る必要がないのだから。
大和は意気揚々と妻の樹、そして愛娘の樹里の待つ家へと帰るのだ。
「そうだ。お土産にケーキを買って帰ろう」
何も知らない彼らに代わって全てを知っている大和だけが全ての終わりとそして始まりを祝うのだ。
そしてホールのケーキを四つに切り分けるのだ。
大きめの、娘の樹里にあげる分を切った後で残りは綺麗に分かれた三つに分ける。
一つは樹、一つは大和、そして残りの一つは樹の幼い頃の孫にすっかり心を奪われた金城家前当主、惣左衛門に。
大和はすっかり樹里のクリスマスプレゼントのことなど忘れていた。
忘れて、突如として湧いて出てきた幸運を噛み締めるのだ。
きっと樹里はロウソクを立てたがるだろうが今日は遠慮してもらおう。
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