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Chapter13:新しい年を迎えて……それから

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 あの恥ずかしいクリスマスの一夜から1週間ほど過ぎて……

「あおくんっ! お待たせ!」
「ううん、はなこそ早朝のコンビニバイトお疲れ様でした」

 俺達はまた、駅で待ち合わせして外デートをスタートさせる。

「三が日って、午前中どうしても人員少なくなるんだよね」
「パートさんもお正月がお酒飲んで楽しく過ごすからかな?」
「うん。お正月だもん、そんなもんだって私は慣れっこだけどね! チャコ叔母さんったら今年は年末年始のテレビ番組とか動画配信観るのに夢中でさ、今はまだ寝てるんじゃないかなぁ」

 はなは「大人はお正月楽しく過ごしたいから三が日の早朝は仕方ない」と言いはするけれど

「久子さんのお正月、楽しそうだね」
「楽しみ過ぎなんだよ! まったく、もうっ!!」

 コンビニ店長のだらけたお正月の過ごし方に姪のはなは少々不満に感じている様子。

「ははは……」

 久子さんは俺とはなの交際を一番に応援してくれているし、何より……

(先週酒で大失敗した俺は何にも言えないなぁ……久子さんのプライベートに関して)

 「そうだよね、はなが困るほど飲んじゃいけないよね」と言い返す立場ではない。

「来月20歳になるけどさっ、私は節度を持ってお酒と向き合おうって思うの。
 だってチャコ叔母さんがこんな感じなら来年も再来年も私が店長代わりとなって従業員さんのサポートしなくちゃいけないんだもん」
「従業員さんのサポート? はな、この三日間そんな事までしていたの??」

 ……けど、バイトの範疇を超える内容までしていたと知りビックリする。

「一応ね、本部から応援は来てたの。だけど直営店じゃなくてオーナー店だから私がチャコ叔母さんの代わりしないといけない局面も出てきて」
「そうだったんだ……」

 あらためて、親戚が店長で姪が従業員になっている苦労を知ったというか。

(今日はちょっとの時間しかデート出来ないけどはなに精一杯喜んでもらわなくちゃ)

 せめて俺と過ごすこの時間だけは癒されてほしい……そんな事をはなに願った。




「着いたよ、はな。ここが昨日電話で話した神社」

 待ち合わせ場所から徒歩10分ほどの距離に、今回の目的地があった。

「うわぁ……大きな鳥居!」
「本当だね! 俺もここに来たのは初めてだよ」

 1月3日の午後だから、参拝客が絶えずこの鳥居をくぐっていく。

「今まで初詣した事なかったのに、わざわざ有名な神社を調べてくれてありがとうあおくん」
「いやぁ……どういたしまして」

 一人暮らしをして5年。色々あって初詣してこなかった俺だけど、今年は大好きなはなと絶対にお詣りしたいって思って初詣スポットを調べておいたんだ。

「私は去年、チャコ叔母さんと三が日を過ぎてから桜並木のそのまた向こう側にある神社へ初詣行ったんだけど、ここまで大きくないし参拝客も少なめだったんだよね」
「今年は俺がはなとの初詣を先に予約しちゃったね」
「いいのいいの! 昨日の夜チャコ叔母さんに連絡したらへべれけ声で『いいよぉ~』って言ってたし」
「ははは……じゃあ遠慮なく初詣出来るね」

 はなが律儀に久子さんへ「あおくんと初詣行っていい?」って了解得ようとしたと知って微笑ましく感じたし、久子さんのへべれけ声のマネがすごく可笑しくて鳥居を潜る前から楽しい気持ちになる。

「じゃあ、はぐれないように手を繋ご♡ はな」
「うん♡ ギュッて、繋ぐね♡」

 俺達は強く手を握り合い……

「鳥居に向かってお辞儀するんだよね?」
「真ん中通ってはいけなかったよね?」

 お詣りの最低限のマナーを確認し合いながら仲良く本殿へと向かう。
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