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とある国の、小さな恋の昔話
小話続き。
「いかがですかー?」
なんと声をかけて良いのか分からなかった私は、なぜか勧誘する人みたいになってしまった。
中にいた彼女の視線が痛かったので、とりあえずへらりと笑ってみると、「先ほどは本当にありがとうございました!」と頭を下げられた。
「感謝してもしきれません!!」と頭を下げ続ける彼女に、「そんなそんな」と慌てて近寄る。
男の人は静かに眠っていた。
なんとか頭を上げてもらい、泣く彼女の涙を拭いていると、ハロルド君がやってきた。
「王子と団長が呼んでる」
「うわー。絶対怒られるパターン。」
「そこの女も。早く。」
「は、はい…。」
急ぎ足で歩くハロルド君の後を彼女と一緒に追う。
大きめのテントの中に入ると、なんとも偉そ…ゴホンゴホン、綺麗に座るセシル王子がいた。
ゼノさんもセシル王子の横に立っている。
私達がテントの中に入り、数十秒ほど遅れてメリル様もやってくると、“お話”が始まった。
「ここは正式な場じゃない。ゆっくりすると良い。」
セシル王子の言葉から始まり、私の隣にいる彼女になぜあのような状況になったのかを聞いていく。
彼女の話す内容は、どこかの小説にあるようなラブストーリーの世界だった。
それが現実にあり、今それを生で見ているということにある種感動を覚える。
目を輝かせる私にセシル王子を始め、ゼノさん、メリル様が苦笑いをしていた。
全てを聞いた私達はセシル王子の言葉を待つ。
「君はどうしたい?」
セシル王子は、彼女にそう投げかけた。
「許されるならば」と、彼女は願う。
「私は、彼と一緒にいたいです。恋というものは、貴族である自分に関係の無いものだと思っていました。しかし、恋をしてしまった。愛してしまった…。もう、この気持ちに嘘はつけません!これから先、茨の道を歩むことになっても、私は彼と一緒ならば幸せなのです…。」
「お願いします。」と今にも泣きそうな顔で、でも、しっかりと前を見つめ話す彼女は、とても強く美しかった。
「そう。…リウはどうしたい?」
「え?私ですか!?」
彼女の想いに、うんうんと頷いていた私は、いきなりセシル王子に話しかけられ驚く。
なんで私?と首を傾げていると、隣から「あの、失礼ですがこの方は…?」と声が聞こえた。
その質問に、ここにいる全員が「あ…」となる。
それもそうだ。私は今の今までフードを目深にかぶっていたのだ。怪しい女だっただろう。
別にもう被らなくても良いのではないかと思うのだが、それをここにいる3人が遠征の時だけはと許してはくれなかったのである。
というか、よくあの状況でとれなかったものだ。今更ながらこの特注のフード付きローブは素晴らしいと感動した。
「リウ、フードはもうとって良いよ」
「あ、はーい」
どうでも良いことに意識を持っていかれていると、メリル様から許しが出る。
パサリとフードを取ると、彼女が目を見開いたのが分かった。
「せ、聖女…さ、ま…?」
「あ、違います。聖女じゃない方のリウです。」
「は?リウは1人でしょ」
彼女の言葉を訂正すると、メリル様からツッコミが入る。
どうしたのだろうと思っていると、メリル様とセシル王子はアホの子を見る目をしていた。
ちなみにゼノさんは子を見る親のような目だった。イメージだけれど。
それからセシル王子が私の説明をして、また、どうしたいかを私に聞いてきた。
だから私は「2人に幸せになってほしい」とセシル王子に言った。
私がこの世界に来て幸せになれたように、この2人にも幸せになってほしいと思ったのだ。
「分かった」と言ったセシル王子は、彼の処置を私とメリル様に任せると言い話は終わった。
まさか私のその一言で、この国の一貴族が顔を青ざめる事態になるなど、知る由もないのである。
____
__
それから3日間、私とメリル様は薬草採取に行ったり彼の容態を確認し、ポーションを飲ませるという作業を繰り返した。
たまに間違えて違う色のポーションを飲ますという失態をしたのだが、それは私とメリル様の2人だけの秘密だ。
もう1度言う。“2人だけ”の秘密だ。…あれ?なんかデジャブ?
3日目の昼。
思ったよりも早く目を覚ました彼と彼女、そして私達はまた大きなテントの中にいた。
今回はメリル様の隣に立っている私は、何も分かっていない彼にゼノさんが今までの状況の説明をする様子をただ眺めているだけだ。
話を聞いた彼は、かなり驚いているようで何度も頭を下げている。
彼女も同じように頭を下げた。
「それは彼等にいうべきだ」とセシル王子は私とメリル様に視線を向ける。
次は私たちに深々と頭を下げる様子に、どうしたものかとメリル様を見ると、メリル様も私を見ている。
メリル様は、微笑んでいた。
私が天に召されていると、彼と彼女は何かを話し、顔を青ざめる。
どうしたのかと聞くと、ポーションや今までの治療代をどうしたら良いかというものだった。
セシル王子は、私が決めて良いという。
ならばと2人の目の前に行き、私も膝をつく。
目線の高さがようやくあった私は、2人に幸せになってほしいと伝えた。
_____
___
数年後。
お祝いごとにはもってこいの、雲一つない青空が広がる日。
私はメリル様と一つの教会が少し遠くに見える場所にいた。
「綺麗でしょうねー。」
「結婚式だからね。」
「花嫁姿、近くで見たかったな。」
「それはムリ。騒ぎになるからね。」
「そうですよね…。」
「まぁ、おめでとうを言うくらいは良いんじゃない?」
「ここからですか?」
「そう。ここから」
「ふふ、そうですね!では、メリル様もご一緒に!せーのっ」
教会の鐘の音が鳴る。
私達の言葉は届いただろうか。
教会に背を向けた私達に吹く風が、“ありがとう”と、言葉を運んできたような気がした。
______________________
いや、もう、なんかすみません。書くつもりはなかったのですが、調子乗って書きました。
結構前の小説なのに、たくさんの方に読んでいただけてすごく嬉しいです!!本当にありがとうございます!!
口調とか違っていたらすみません…。
久しぶりすぎて、メリル様が好きすぎて、ほぼメリル様小話です。
たまーに更新していけたらなとは思っていますので、その時にはまた、是非ともお読みいただけたらと思います。
imu
なんと声をかけて良いのか分からなかった私は、なぜか勧誘する人みたいになってしまった。
中にいた彼女の視線が痛かったので、とりあえずへらりと笑ってみると、「先ほどは本当にありがとうございました!」と頭を下げられた。
「感謝してもしきれません!!」と頭を下げ続ける彼女に、「そんなそんな」と慌てて近寄る。
男の人は静かに眠っていた。
なんとか頭を上げてもらい、泣く彼女の涙を拭いていると、ハロルド君がやってきた。
「王子と団長が呼んでる」
「うわー。絶対怒られるパターン。」
「そこの女も。早く。」
「は、はい…。」
急ぎ足で歩くハロルド君の後を彼女と一緒に追う。
大きめのテントの中に入ると、なんとも偉そ…ゴホンゴホン、綺麗に座るセシル王子がいた。
ゼノさんもセシル王子の横に立っている。
私達がテントの中に入り、数十秒ほど遅れてメリル様もやってくると、“お話”が始まった。
「ここは正式な場じゃない。ゆっくりすると良い。」
セシル王子の言葉から始まり、私の隣にいる彼女になぜあのような状況になったのかを聞いていく。
彼女の話す内容は、どこかの小説にあるようなラブストーリーの世界だった。
それが現実にあり、今それを生で見ているということにある種感動を覚える。
目を輝かせる私にセシル王子を始め、ゼノさん、メリル様が苦笑いをしていた。
全てを聞いた私達はセシル王子の言葉を待つ。
「君はどうしたい?」
セシル王子は、彼女にそう投げかけた。
「許されるならば」と、彼女は願う。
「私は、彼と一緒にいたいです。恋というものは、貴族である自分に関係の無いものだと思っていました。しかし、恋をしてしまった。愛してしまった…。もう、この気持ちに嘘はつけません!これから先、茨の道を歩むことになっても、私は彼と一緒ならば幸せなのです…。」
「お願いします。」と今にも泣きそうな顔で、でも、しっかりと前を見つめ話す彼女は、とても強く美しかった。
「そう。…リウはどうしたい?」
「え?私ですか!?」
彼女の想いに、うんうんと頷いていた私は、いきなりセシル王子に話しかけられ驚く。
なんで私?と首を傾げていると、隣から「あの、失礼ですがこの方は…?」と声が聞こえた。
その質問に、ここにいる全員が「あ…」となる。
それもそうだ。私は今の今までフードを目深にかぶっていたのだ。怪しい女だっただろう。
別にもう被らなくても良いのではないかと思うのだが、それをここにいる3人が遠征の時だけはと許してはくれなかったのである。
というか、よくあの状況でとれなかったものだ。今更ながらこの特注のフード付きローブは素晴らしいと感動した。
「リウ、フードはもうとって良いよ」
「あ、はーい」
どうでも良いことに意識を持っていかれていると、メリル様から許しが出る。
パサリとフードを取ると、彼女が目を見開いたのが分かった。
「せ、聖女…さ、ま…?」
「あ、違います。聖女じゃない方のリウです。」
「は?リウは1人でしょ」
彼女の言葉を訂正すると、メリル様からツッコミが入る。
どうしたのだろうと思っていると、メリル様とセシル王子はアホの子を見る目をしていた。
ちなみにゼノさんは子を見る親のような目だった。イメージだけれど。
それからセシル王子が私の説明をして、また、どうしたいかを私に聞いてきた。
だから私は「2人に幸せになってほしい」とセシル王子に言った。
私がこの世界に来て幸せになれたように、この2人にも幸せになってほしいと思ったのだ。
「分かった」と言ったセシル王子は、彼の処置を私とメリル様に任せると言い話は終わった。
まさか私のその一言で、この国の一貴族が顔を青ざめる事態になるなど、知る由もないのである。
____
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それから3日間、私とメリル様は薬草採取に行ったり彼の容態を確認し、ポーションを飲ませるという作業を繰り返した。
たまに間違えて違う色のポーションを飲ますという失態をしたのだが、それは私とメリル様の2人だけの秘密だ。
もう1度言う。“2人だけ”の秘密だ。…あれ?なんかデジャブ?
3日目の昼。
思ったよりも早く目を覚ました彼と彼女、そして私達はまた大きなテントの中にいた。
今回はメリル様の隣に立っている私は、何も分かっていない彼にゼノさんが今までの状況の説明をする様子をただ眺めているだけだ。
話を聞いた彼は、かなり驚いているようで何度も頭を下げている。
彼女も同じように頭を下げた。
「それは彼等にいうべきだ」とセシル王子は私とメリル様に視線を向ける。
次は私たちに深々と頭を下げる様子に、どうしたものかとメリル様を見ると、メリル様も私を見ている。
メリル様は、微笑んでいた。
私が天に召されていると、彼と彼女は何かを話し、顔を青ざめる。
どうしたのかと聞くと、ポーションや今までの治療代をどうしたら良いかというものだった。
セシル王子は、私が決めて良いという。
ならばと2人の目の前に行き、私も膝をつく。
目線の高さがようやくあった私は、2人に幸せになってほしいと伝えた。
_____
___
数年後。
お祝いごとにはもってこいの、雲一つない青空が広がる日。
私はメリル様と一つの教会が少し遠くに見える場所にいた。
「綺麗でしょうねー。」
「結婚式だからね。」
「花嫁姿、近くで見たかったな。」
「それはムリ。騒ぎになるからね。」
「そうですよね…。」
「まぁ、おめでとうを言うくらいは良いんじゃない?」
「ここからですか?」
「そう。ここから」
「ふふ、そうですね!では、メリル様もご一緒に!せーのっ」
教会の鐘の音が鳴る。
私達の言葉は届いただろうか。
教会に背を向けた私達に吹く風が、“ありがとう”と、言葉を運んできたような気がした。
______________________
いや、もう、なんかすみません。書くつもりはなかったのですが、調子乗って書きました。
結構前の小説なのに、たくさんの方に読んでいただけてすごく嬉しいです!!本当にありがとうございます!!
口調とか違っていたらすみません…。
久しぶりすぎて、メリル様が好きすぎて、ほぼメリル様小話です。
たまーに更新していけたらなとは思っていますので、その時にはまた、是非ともお読みいただけたらと思います。
imu
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