悪役令嬢だけど愛されたい

nionea

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第三章:そんなの聞いてないっ!

10.話し合い

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 紙に書き出して暗記した内容を頭に思い浮かべ、まずミネルヴァは自分がこの世界がゲームの世界だと知っている事を明かした。
「え、えぇ! 嘘、ミネルヴァ様、転生者なんですか! すごい! じゃあ、まんまと1主にざまぁしてみせたって事ですよね! やっぱりミネルヴァ様カッコイイ! 最高です!」
 予想していたのとは違う反応にせっかく暗記した内容が白くなっていきそうだったが、ミネルヴァは何とか堪える。
(ざまぁって、たぶんざまぁ見ろってことよね? 本の帯とかで見かけたけど、それは私じゃなくてフランセスカがやってたわ)
 なんだかすごくミネルヴァ株が上がっているようなので、いちおう自分は何もしてません、という事は伝えてみた。
「え? フランセスカ様が? あ、もしかして、なんか2ndの始まりと違うのってそのせいですか? ミネルヴァ様と王太子様が婚約解消しているっていうのは、病気療養のためだから、病気が治ればまた婚約すると思ってたんですけど、もしかしてフランセスカ様が婚約者なんですか? でもそんなルートなかったし…」
 一瞬、フランセスカが笑顔のまま人を殺すオーラを放つ姿が見える。
 なんて恐ろしい事をあっさり言ってのけるのだろうこの人は。そうは思うが、ちょうど話が向いた事もあるし、まずクシャの知るストーリーを聞いてみた。
「えっと、2ndは、1stで1主が王太子妃になるENDを迎えた前提で話が始まるんです」
(つまり王太子ルートをハッピーエンドで終わらせたという事よね)
「まぁ、要するに1stの最高難度であるハーレムENDです」
(あのゲームにハーレムエンドとかなかったはず)
「1主がハーレム作ってると、ミネルヴァ様って、自殺しちゃってるんですよ」
(え?)
「あ、すみません! こんな話、嫌ですよね…」
「いいえ、私は今生きてますし、どうぞ聞かせてください」
「じゃあ。えっと、2ndのスタート時点でフォーリエント王国はでは、悪役ポジのミネルヴァ様とフランセスカ様とアンゼーナ様が消えてるんです」
(えっ! 全員?! いや、待って、何でアンゼーナ様まで?)
「1主のハーレムなんで、敵対者はもれなく排除されてて、ミネルヴァ様が自殺で、フランセスカ様が国外追放で、アンゼーナ様が塔に幽閉だったかな…それで、2主、あ、まぁワタシの事ですけど、1主は周り全員味方な最強権力者になってるので、2主のお助けをしてくれるんです。本来は」
(なるほど…怖いわねハーレムエンド。そんな事にならなくて本当に良かった。ていうか、私が自殺した時点でこの世界は私の知ってる方じゃなくて彼女の言ってる方だったのね)
「でも、ワタシが記憶を思い出した段階はゲームのスタートと同じだったんですけど、フォーリエント王国の状況がまるっきり違ってて…だからてっきり1stの正規結婚ルートかなって思ったんですよ。1主がハーレム直前までいって失敗して、処刑エンドになるっていう、状況がすごく似てるから。でもミネルヴァ様と王太子様が婚約してないので、なんか違うなぁとは、思ってて、でも王太子様の病気が治って結婚したら、正規結婚ルート通りだしそうなるように動いてみようかなって思ったんですけど」
「私は、既に別の方と婚約しております」
 椅子に座った状態だが、クシャが深々と頭を下げて謝罪する。
「はぃ………すみませんでした。ワタシもその話昨日聞かされて…本当に申し訳ありません」
「…いえ」
(どうしよう…やっぱりこの方悪い方ではないみたいだわ。この世界では非常識かもだけど)
「ワタシこのゲーム1st~3rdまで何度もプレイしてて…」
(え? サード?!)
 少なくともあと一人リリィがいるとういう事に恐れ慄きながらもミネルヴァは静かに話を聞き続けた。
「この世界に転生したって気付いた時はもう嬉しくて嬉しくて」
 本当に嬉しそうな様子に微笑ましさを感じる。ミネルヴァはゲームだと気付いた時にはひたすら惑い困ったものだったが。
「だからすっごい頑張ったんですワタシ」
 だんだんと、うんうんそうかそうかよかったねぇ、と小さな子の頑張ったよ報告を聞く心境になっていく。
「リテルタでのフラグ回収は全部終えて、後はフォーリエント王国でのフラグ回収だ! って、気合入りまくりでやってきたんですけど…」
 がくりとクシャの肩と首が落ち、思わず頑張れと励ましたくなった。
「全然ゲームと状況が違ってて…何やってもフラグ回収できないんですぅ。っていうか、全然会う事もできなくて、後はもうギリットフラグだけなのに………」
(あっぶない…)
 ミネルヴァは頬を引きつらせて、前のめりになっていた姿勢を戻す。ギリットの名前を聞くまで、完全に当初の目的を忘却しかけていた。
(馬鹿じゃないの私、なんですぐこうなっちゃうかな)
「ワタシ、2ndの王子が全シリーズイチ推しだったんです!」
(…ん?)
「でも1stと同じで、王子って全攻略対象の好感度を上げてハーレム状態を作っておかないと反対意見が出て結婚できないんですよ!」
「えっと…」
「だから何とかしてギリットフラグを回収したいんですけど、全然上手くいかなくてぇ」
 目に涙を浮かべて本気で嘆くクシャを前に、ミネルヴァは思考が一瞬止まる。
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