42 / 49
第三章:そんなの聞いてないっ!
10.話し合い
しおりを挟む
紙に書き出して暗記した内容を頭に思い浮かべ、まずミネルヴァは自分がこの世界がゲームの世界だと知っている事を明かした。
「え、えぇ! 嘘、ミネルヴァ様、転生者なんですか! すごい! じゃあ、まんまと1主にざまぁしてみせたって事ですよね! やっぱりミネルヴァ様カッコイイ! 最高です!」
予想していたのとは違う反応にせっかく暗記した内容が白くなっていきそうだったが、ミネルヴァは何とか堪える。
(ざまぁって、たぶんざまぁ見ろってことよね? 本の帯とかで見かけたけど、それは私じゃなくてフランセスカがやってたわ)
なんだかすごくミネルヴァ株が上がっているようなので、いちおう自分は何もしてません、という事は伝えてみた。
「え? フランセスカ様が? あ、もしかして、なんか2ndの始まりと違うのってそのせいですか? ミネルヴァ様と王太子様が婚約解消しているっていうのは、病気療養のためだから、病気が治ればまた婚約すると思ってたんですけど、もしかしてフランセスカ様が婚約者なんですか? でもそんなルートなかったし…」
一瞬、フランセスカが笑顔のまま人を殺すオーラを放つ姿が見える。
なんて恐ろしい事をあっさり言ってのけるのだろうこの人は。そうは思うが、ちょうど話が向いた事もあるし、まずクシャの知るストーリーを聞いてみた。
「えっと、2ndは、1stで1主が王太子妃になるENDを迎えた前提で話が始まるんです」
(つまり王太子ルートをハッピーエンドで終わらせたという事よね)
「まぁ、要するに1stの最高難度であるハーレムENDです」
(あのゲームにハーレムエンドとかなかったはず)
「1主がハーレム作ってると、ミネルヴァ様って、自殺しちゃってるんですよ」
(え?)
「あ、すみません! こんな話、嫌ですよね…」
「いいえ、私は今生きてますし、どうぞ聞かせてください」
「じゃあ。えっと、2ndのスタート時点でフォーリエント王国はでは、悪役ポジのミネルヴァ様とフランセスカ様とアンゼーナ様が消えてるんです」
(えっ! 全員?! いや、待って、何でアンゼーナ様まで?)
「1主のハーレムなんで、敵対者はもれなく排除されてて、ミネルヴァ様が自殺で、フランセスカ様が国外追放で、アンゼーナ様が塔に幽閉だったかな…それで、2主、あ、まぁワタシの事ですけど、1主は周り全員味方な最強権力者になってるので、2主のお助けをしてくれるんです。本来は」
(なるほど…怖いわねハーレムエンド。そんな事にならなくて本当に良かった。ていうか、私が自殺した時点でこの世界は私の知ってる方じゃなくて彼女の言ってる方だったのね)
「でも、ワタシが記憶を思い出した段階はゲームのスタートと同じだったんですけど、フォーリエント王国の状況がまるっきり違ってて…だからてっきり1stの正規結婚ルートかなって思ったんですよ。1主がハーレム直前までいって失敗して、処刑エンドになるっていう、状況がすごく似てるから。でもミネルヴァ様と王太子様が婚約してないので、なんか違うなぁとは、思ってて、でも王太子様の病気が治って結婚したら、正規結婚ルート通りだしそうなるように動いてみようかなって思ったんですけど」
「私は、既に別の方と婚約しております」
椅子に座った状態だが、クシャが深々と頭を下げて謝罪する。
「はぃ………すみませんでした。ワタシもその話昨日聞かされて…本当に申し訳ありません」
「…いえ」
(どうしよう…やっぱりこの方悪い方ではないみたいだわ。この世界では非常識かもだけど)
「ワタシこのゲーム1st~3rdまで何度もプレイしてて…」
(え? サード?!)
少なくともあと一人リリィがいるとういう事に恐れ慄きながらもミネルヴァは静かに話を聞き続けた。
「この世界に転生したって気付いた時はもう嬉しくて嬉しくて」
本当に嬉しそうな様子に微笑ましさを感じる。ミネルヴァはゲームだと気付いた時にはひたすら惑い困ったものだったが。
「だからすっごい頑張ったんですワタシ」
だんだんと、うんうんそうかそうかよかったねぇ、と小さな子の頑張ったよ報告を聞く心境になっていく。
「リテルタでのフラグ回収は全部終えて、後はフォーリエント王国でのフラグ回収だ! って、気合入りまくりでやってきたんですけど…」
がくりとクシャの肩と首が落ち、思わず頑張れと励ましたくなった。
「全然ゲームと状況が違ってて…何やってもフラグ回収できないんですぅ。っていうか、全然会う事もできなくて、後はもうギリットフラグだけなのに………」
(あっぶない…)
ミネルヴァは頬を引きつらせて、前のめりになっていた姿勢を戻す。ギリットの名前を聞くまで、完全に当初の目的を忘却しかけていた。
(馬鹿じゃないの私、なんですぐこうなっちゃうかな)
「ワタシ、2ndの王子が全シリーズイチ推しだったんです!」
(…ん?)
「でも1stと同じで、王子って全攻略対象の好感度を上げてハーレム状態を作っておかないと反対意見が出て結婚できないんですよ!」
「えっと…」
「だから何とかしてギリットフラグを回収したいんですけど、全然上手くいかなくてぇ」
目に涙を浮かべて本気で嘆くクシャを前に、ミネルヴァは思考が一瞬止まる。
「え、えぇ! 嘘、ミネルヴァ様、転生者なんですか! すごい! じゃあ、まんまと1主にざまぁしてみせたって事ですよね! やっぱりミネルヴァ様カッコイイ! 最高です!」
予想していたのとは違う反応にせっかく暗記した内容が白くなっていきそうだったが、ミネルヴァは何とか堪える。
(ざまぁって、たぶんざまぁ見ろってことよね? 本の帯とかで見かけたけど、それは私じゃなくてフランセスカがやってたわ)
なんだかすごくミネルヴァ株が上がっているようなので、いちおう自分は何もしてません、という事は伝えてみた。
「え? フランセスカ様が? あ、もしかして、なんか2ndの始まりと違うのってそのせいですか? ミネルヴァ様と王太子様が婚約解消しているっていうのは、病気療養のためだから、病気が治ればまた婚約すると思ってたんですけど、もしかしてフランセスカ様が婚約者なんですか? でもそんなルートなかったし…」
一瞬、フランセスカが笑顔のまま人を殺すオーラを放つ姿が見える。
なんて恐ろしい事をあっさり言ってのけるのだろうこの人は。そうは思うが、ちょうど話が向いた事もあるし、まずクシャの知るストーリーを聞いてみた。
「えっと、2ndは、1stで1主が王太子妃になるENDを迎えた前提で話が始まるんです」
(つまり王太子ルートをハッピーエンドで終わらせたという事よね)
「まぁ、要するに1stの最高難度であるハーレムENDです」
(あのゲームにハーレムエンドとかなかったはず)
「1主がハーレム作ってると、ミネルヴァ様って、自殺しちゃってるんですよ」
(え?)
「あ、すみません! こんな話、嫌ですよね…」
「いいえ、私は今生きてますし、どうぞ聞かせてください」
「じゃあ。えっと、2ndのスタート時点でフォーリエント王国はでは、悪役ポジのミネルヴァ様とフランセスカ様とアンゼーナ様が消えてるんです」
(えっ! 全員?! いや、待って、何でアンゼーナ様まで?)
「1主のハーレムなんで、敵対者はもれなく排除されてて、ミネルヴァ様が自殺で、フランセスカ様が国外追放で、アンゼーナ様が塔に幽閉だったかな…それで、2主、あ、まぁワタシの事ですけど、1主は周り全員味方な最強権力者になってるので、2主のお助けをしてくれるんです。本来は」
(なるほど…怖いわねハーレムエンド。そんな事にならなくて本当に良かった。ていうか、私が自殺した時点でこの世界は私の知ってる方じゃなくて彼女の言ってる方だったのね)
「でも、ワタシが記憶を思い出した段階はゲームのスタートと同じだったんですけど、フォーリエント王国の状況がまるっきり違ってて…だからてっきり1stの正規結婚ルートかなって思ったんですよ。1主がハーレム直前までいって失敗して、処刑エンドになるっていう、状況がすごく似てるから。でもミネルヴァ様と王太子様が婚約してないので、なんか違うなぁとは、思ってて、でも王太子様の病気が治って結婚したら、正規結婚ルート通りだしそうなるように動いてみようかなって思ったんですけど」
「私は、既に別の方と婚約しております」
椅子に座った状態だが、クシャが深々と頭を下げて謝罪する。
「はぃ………すみませんでした。ワタシもその話昨日聞かされて…本当に申し訳ありません」
「…いえ」
(どうしよう…やっぱりこの方悪い方ではないみたいだわ。この世界では非常識かもだけど)
「ワタシこのゲーム1st~3rdまで何度もプレイしてて…」
(え? サード?!)
少なくともあと一人リリィがいるとういう事に恐れ慄きながらもミネルヴァは静かに話を聞き続けた。
「この世界に転生したって気付いた時はもう嬉しくて嬉しくて」
本当に嬉しそうな様子に微笑ましさを感じる。ミネルヴァはゲームだと気付いた時にはひたすら惑い困ったものだったが。
「だからすっごい頑張ったんですワタシ」
だんだんと、うんうんそうかそうかよかったねぇ、と小さな子の頑張ったよ報告を聞く心境になっていく。
「リテルタでのフラグ回収は全部終えて、後はフォーリエント王国でのフラグ回収だ! って、気合入りまくりでやってきたんですけど…」
がくりとクシャの肩と首が落ち、思わず頑張れと励ましたくなった。
「全然ゲームと状況が違ってて…何やってもフラグ回収できないんですぅ。っていうか、全然会う事もできなくて、後はもうギリットフラグだけなのに………」
(あっぶない…)
ミネルヴァは頬を引きつらせて、前のめりになっていた姿勢を戻す。ギリットの名前を聞くまで、完全に当初の目的を忘却しかけていた。
(馬鹿じゃないの私、なんですぐこうなっちゃうかな)
「ワタシ、2ndの王子が全シリーズイチ推しだったんです!」
(…ん?)
「でも1stと同じで、王子って全攻略対象の好感度を上げてハーレム状態を作っておかないと反対意見が出て結婚できないんですよ!」
「えっと…」
「だから何とかしてギリットフラグを回収したいんですけど、全然上手くいかなくてぇ」
目に涙を浮かべて本気で嘆くクシャを前に、ミネルヴァは思考が一瞬止まる。
10
あなたにおすすめの小説
転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!
木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。
胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。
けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。
勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに……
『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。
子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。
逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。
時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。
これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday
悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない
おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。
どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに!
あれ、でも意外と悪くないかも!
断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。
※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。
婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました
宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。
しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。
断罪まであと一年と少し。
だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。
と意気込んだはいいけど
あれ?
婚約者様の様子がおかしいのだけど…
※ 4/26
内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
ざまぁされるのが確実なヒロインに転生したので、地味に目立たず過ごそうと思います
真理亜
恋愛
私、リリアナが転生した世界は、悪役令嬢に甘くヒロインに厳しい世界だ。その世界にヒロインとして転生したからには、全てのプラグをへし折り、地味に目立たず過ごして、ざまぁを回避する。それしかない。生き延びるために! それなのに...なぜか悪役令嬢にも攻略対象にも絡まれて...
乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが
侑子
恋愛
十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。
しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。
「どうして!? 一体どうしてなの~!?」
いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる