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悪役令嬢、デブ止めるってよ
7.え、すっかりキレイになったね?
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審議が終了したので出頭してください、と通知が来た時。
(あ、そうなんだ。私アウトだったかぁ)
ファランはそう考えた。しかしながら、出頭とは、単純に出向く事である。
「ふぃー………っしゃ」
緊張をほぐすためとはいえ、人目には晒せない間抜けな顔で深く息を吐いたファランは、気合を込めて馬車を下りた。
卒業式から今日までの約四ヶ月間。
ファランの体形は大分変った。
(体重計無いけど、BMIの肥満3度が1度もしくはギリ標準くらいには変わった気がする)
と、本人が感じている様に、見事、動けるデブになる事には成功した。
しかしながら、ダイエットを継続する事が出来た反動なのか、単純に時間経過か、元来のファランがもつ厚顔無恥さが薄れてしまったのが問題なのだ。
(あ゛~…緊張する)
馬車で乗り付けた司法局は、貴族相手に仕事をする第一分室が入っているだけあって、荘厳で美しい建物だった。
(威圧感酷いわぁ、涙出そう)
ただ、今のファランには、私に相応しい場ね、と開き直るだけの気の強さが無いため、細めた目でぼんやり見つめるのみだ。
時間指定されているので、馬車を下りるとすぐに案内をしてくれる係りが声をかけてきた。
「ファラン・マーヴェラス・ディオ=グローリア様でいらっしゃいますね」
「ええ」
「ご案内いたします」
簡素で閉鎖的な取調室のような場所を想像しつつ、案内係りの後に付いて行って室内に入ったファランは、まず驚いた。
室内はほどほどに華やかに整えられていたのだ。大きな窓からは秋の日差しが白い花のレースを通って降り注ぎ、ほのかに甘い花のような香りが漂っていた。まるで、ホテルの客室のようだ。
(貴族って、取り調べでもこんな場所でやるんだ)
上座に通され着席し、香りの良い紅茶を品の良いティーカップで出される。蜂蜜と砂糖まで添えられていた。更には、小皿で可愛らしい焼き菓子も出て来る。
(??????)
謎の好待遇にファランは混乱した。
一周回って、ダイエットしている私への嫌がらせだな、と判断した頃。
ウォルターが入室許可を求めて扉を叩く。
「どうぞ」
「失礼いたします」
先日の正装とは違い、先ほどの案内係りと同じ制服を着たウォルターは、顔だけは変わらぬ無表情だった。
(相変わらず超合金製鉄仮面…もったいないなぁ)
四ヶ月でそこそこ変わったファランの容姿を前にしても、僅かな反応も感じられない。
(ちょっと反応有るとこっちとしてはテンション上がるんだけどなぁ…まぁ、この人に取っては仕事相手の容疑者だもんな。見た目とかどうでも良いのか。あれ、でも、前はちょっとした方向違いの話から入ったんだからここもそういう導入で………あー…考えてみればファランに容姿の話題を振る訳ないか、そうよね)
むしろこの無反応こそ最大限の気遣いか、と納得して、ファランはウォルターが挨拶するのを見ていた。
「わざわざの御足労をいただき、有り難く存じます。本日は、いくつか最終的な確認をさせていただき、判断書類へご署名を頂戴する事になります」
「然様で」
そう言いながら机に並べられていく書類をちらりと見て、ファランは内心で首を傾げる。五枚の用紙は、いわゆる履歴書のように、一枚毎に一人分の略歴が書かれているようだ。しかしながら、人物にさっぱり覚えは無い。
(でっち上げ分の関係者とかかな…)
まず、並んだ用紙をウォルターの右手が示す。
「これらの名前に覚えは御座いますか?」
示された用紙をざっと名前だけ読んでみたが、覚えが有るといえば有るし、無いといえば無い名前だった。
(一時期パワーストーンにハマったからなぁ…)
クリソプレーズ
ヘリオトロープ
レッドジャスパー
サードニックス
カーネリアン
(記憶違いでなければ、全部玉髄系の名前だったはずよね…?)
人の名前と考えると、音感や統一感の面で違和感が有る。まるでコードネームのようではないか。もっとも、おもしろいなと感想は持つが、略歴を見るまでもなく、人物、に覚えはない。
「全く覚えはございません。そもそも、こちら、本名ですの?」
「いえ。彼らはさる組織の構成員で、こちらは秘匿名のようです」
(なにそれ、構成員全部パワーストーン名なのかしら。ちょっと気になる)
過去の知識があったので興味は沸いたが、さる組織とか濁されているが明らかに犯罪組織だろう、と思えたので興味の無い振りをする。
「然様で」
「彼らは貴方にかけられた嫌疑の中で、法に触れるものに関わっていました」
「ああ、身に覚えの無い件ですか」
「ええ。彼らは始め全ては貴方が指示した事だと言っていましたが」
(何だと?!)
「今は偽証だと証明されています」
「然様で」
(あぁ良かったぁ…)
「現在、貴方にかけられていた法に触れる嫌疑は全てが嘘であると証明されました。犯罪に関わる偽証をした者は既に判明し、確保、事情聴取に入っております。よって、訴えられていた件に関して、貴方の無罪を証明するのが、こちらの書類です。内容にご納得いただけましたら、ご署名を頂戴できますか?」
「勿論ですわ」
ファランは渡された書類を隅々まで読んで、自分は今回の件で法的には一切関係無く無罪である、と間違いなく書かれている事を確認してから、いそいそと署名をした。
これで完璧だ、と納得して書類をウォルターに向ければ、初めてその無表情が微笑みへ変わる。
「これで、晴れてグローリア侯の身の潔白が証明されました」
(………笑えるのねこの方…イケメンずるい)
すっかりキレイな身の上となったファランは、喜びとは違う意味で頬を赤らめて帰宅する事になった。
(あ、そうなんだ。私アウトだったかぁ)
ファランはそう考えた。しかしながら、出頭とは、単純に出向く事である。
「ふぃー………っしゃ」
緊張をほぐすためとはいえ、人目には晒せない間抜けな顔で深く息を吐いたファランは、気合を込めて馬車を下りた。
卒業式から今日までの約四ヶ月間。
ファランの体形は大分変った。
(体重計無いけど、BMIの肥満3度が1度もしくはギリ標準くらいには変わった気がする)
と、本人が感じている様に、見事、動けるデブになる事には成功した。
しかしながら、ダイエットを継続する事が出来た反動なのか、単純に時間経過か、元来のファランがもつ厚顔無恥さが薄れてしまったのが問題なのだ。
(あ゛~…緊張する)
馬車で乗り付けた司法局は、貴族相手に仕事をする第一分室が入っているだけあって、荘厳で美しい建物だった。
(威圧感酷いわぁ、涙出そう)
ただ、今のファランには、私に相応しい場ね、と開き直るだけの気の強さが無いため、細めた目でぼんやり見つめるのみだ。
時間指定されているので、馬車を下りるとすぐに案内をしてくれる係りが声をかけてきた。
「ファラン・マーヴェラス・ディオ=グローリア様でいらっしゃいますね」
「ええ」
「ご案内いたします」
簡素で閉鎖的な取調室のような場所を想像しつつ、案内係りの後に付いて行って室内に入ったファランは、まず驚いた。
室内はほどほどに華やかに整えられていたのだ。大きな窓からは秋の日差しが白い花のレースを通って降り注ぎ、ほのかに甘い花のような香りが漂っていた。まるで、ホテルの客室のようだ。
(貴族って、取り調べでもこんな場所でやるんだ)
上座に通され着席し、香りの良い紅茶を品の良いティーカップで出される。蜂蜜と砂糖まで添えられていた。更には、小皿で可愛らしい焼き菓子も出て来る。
(??????)
謎の好待遇にファランは混乱した。
一周回って、ダイエットしている私への嫌がらせだな、と判断した頃。
ウォルターが入室許可を求めて扉を叩く。
「どうぞ」
「失礼いたします」
先日の正装とは違い、先ほどの案内係りと同じ制服を着たウォルターは、顔だけは変わらぬ無表情だった。
(相変わらず超合金製鉄仮面…もったいないなぁ)
四ヶ月でそこそこ変わったファランの容姿を前にしても、僅かな反応も感じられない。
(ちょっと反応有るとこっちとしてはテンション上がるんだけどなぁ…まぁ、この人に取っては仕事相手の容疑者だもんな。見た目とかどうでも良いのか。あれ、でも、前はちょっとした方向違いの話から入ったんだからここもそういう導入で………あー…考えてみればファランに容姿の話題を振る訳ないか、そうよね)
むしろこの無反応こそ最大限の気遣いか、と納得して、ファランはウォルターが挨拶するのを見ていた。
「わざわざの御足労をいただき、有り難く存じます。本日は、いくつか最終的な確認をさせていただき、判断書類へご署名を頂戴する事になります」
「然様で」
そう言いながら机に並べられていく書類をちらりと見て、ファランは内心で首を傾げる。五枚の用紙は、いわゆる履歴書のように、一枚毎に一人分の略歴が書かれているようだ。しかしながら、人物にさっぱり覚えは無い。
(でっち上げ分の関係者とかかな…)
まず、並んだ用紙をウォルターの右手が示す。
「これらの名前に覚えは御座いますか?」
示された用紙をざっと名前だけ読んでみたが、覚えが有るといえば有るし、無いといえば無い名前だった。
(一時期パワーストーンにハマったからなぁ…)
クリソプレーズ
ヘリオトロープ
レッドジャスパー
サードニックス
カーネリアン
(記憶違いでなければ、全部玉髄系の名前だったはずよね…?)
人の名前と考えると、音感や統一感の面で違和感が有る。まるでコードネームのようではないか。もっとも、おもしろいなと感想は持つが、略歴を見るまでもなく、人物、に覚えはない。
「全く覚えはございません。そもそも、こちら、本名ですの?」
「いえ。彼らはさる組織の構成員で、こちらは秘匿名のようです」
(なにそれ、構成員全部パワーストーン名なのかしら。ちょっと気になる)
過去の知識があったので興味は沸いたが、さる組織とか濁されているが明らかに犯罪組織だろう、と思えたので興味の無い振りをする。
「然様で」
「彼らは貴方にかけられた嫌疑の中で、法に触れるものに関わっていました」
「ああ、身に覚えの無い件ですか」
「ええ。彼らは始め全ては貴方が指示した事だと言っていましたが」
(何だと?!)
「今は偽証だと証明されています」
「然様で」
(あぁ良かったぁ…)
「現在、貴方にかけられていた法に触れる嫌疑は全てが嘘であると証明されました。犯罪に関わる偽証をした者は既に判明し、確保、事情聴取に入っております。よって、訴えられていた件に関して、貴方の無罪を証明するのが、こちらの書類です。内容にご納得いただけましたら、ご署名を頂戴できますか?」
「勿論ですわ」
ファランは渡された書類を隅々まで読んで、自分は今回の件で法的には一切関係無く無罪である、と間違いなく書かれている事を確認してから、いそいそと署名をした。
これで完璧だ、と納得して書類をウォルターに向ければ、初めてその無表情が微笑みへ変わる。
「これで、晴れてグローリア侯の身の潔白が証明されました」
(………笑えるのねこの方…イケメンずるい)
すっかりキレイな身の上となったファランは、喜びとは違う意味で頬を赤らめて帰宅する事になった。
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