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悪役令嬢、デブ止めるってよ
10.何にも出ないわよ
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鏡の中では、色白ぽっちゃりで金髪碧眼の割に顔が薄い令嬢が立っている。
「とても良くお似合いです、お嬢様!」
「え~そう?」
いつもよりテンション高く見えるカトレアの褒め言葉に、ファランは思わずにやけた。
引き締め効果を狙って、年不相応だが濃紺のドレスを選んだ結果は、中々良いような気がした。淡い金髪も、白い肌も、濃紺でより引き立って見える。
もはや公の場に出なくなったファランは、流行は無用だ似合う物を着れば良い、と精一杯自分に似合う格好を考えた。
流行りであるフリルをふんだんに使ったドレスを着ると、ファランは顔が負ける。そして、その負けを取り戻そうと妙に発色の良い化粧を濃くしていたのが今までだ。
しかしながら、全体に縦のラインを持つすっきりとしたスタイルのドレスを着れば、顔は負けない。無理に濃い化粧をしなければ、ファランの顔は意外と目元に力があって悪くない。
(うん。悪くはない! ヒロインみたいな正統派美少女でもフリカッツェ様みたいな美女でもないが、カワイイあるいはカッコイイは作れるの範囲に入れる顔だ! 自信満々にしていればランウェイも夢じゃない!)
ランウェイはともかく、人前に立つには十分な装備状態になった、と思う。
「本当に、お嬢様の白い肌が引き立ちます」
「フリルが有る方が可愛いと思い込んでいましたが、お嬢様にはスッキリしている方がお似合いですね」
「お嬢様、かっこよくて素敵ですぅ」
「いや~ありがとう」
カトレア以外の侍女達も固さのない笑顔で褒めてくれた。
実は、思い出せる限りのヨガポーズを教えたりした結果。
「お嬢様に教えていただいた体操のおかげで近頃肩こりが随分楽になりました」
と、語るのは、本当は栗色のふわふわロングヘアーをかっちりまとめた長身のマグリット。
(まぁ、マグリットの肩こりの最大要因はそのメロンばりの巨乳だろうから、根本解決はしてあげられないけど。良かった良かった)
「寝る前に深呼吸するだけで朝の目覚めが変わるなんて思っても見ませんでした。本当にありがとうございます」
と、笑うのは、近頃すっかり隈もとれて晴れやかな顔をした小柄な赤毛のミモザ。
(貴方が不眠になった原因はファランが極度の緊張を強いていたからだもんね、睡眠改善されて心底喜ばしいよ。おめでとう!)
「私ぃ、生理の時すっごい腰痛かったんですけどぉ。お嬢様のおかげで全然痛くなくなりましたぁ」
と、言ってくれるのは、黒髪で緑の目がどことなく猫っぽい印象のニーア。
(ちょっと前まで死んだ魚の目をしていた彼女がこんなにキラキラした目で私を…うっ嬉しい)
このように転生チートを有効活用して、関係改善に成功したのだ。
「あ、そろそろ、行こうか」
「はい」
ちなみに、ファランが、いつかこのくらいの体型になったら着たいドレス、に身を包んでいるのは、別にダイエットに成功した実感を得たいがためだけではない。すっかり引きこもっていた彼女の元に、司法局から再び手紙が届いたためだ。
(んん? 傍聴席に来てもらいたいって書いてあるけど…もしかして逆転有罪投獄エンドとかじゃないよね………いや、大丈夫なはずだ! 無罪証明の書類に署名したじゃないか!)
三日ほど思い悩んだが、断る理由も見当たらず行くことにしたのだ。決して、今なら着られる、いつかこのくらいの体型になったら着たいドレス、を着たいがために行く事にした訳ではない。
こうして、カトレアと共にファランは司法局へ赴いた。
担当なのか、偶然なのか、前回と同じ案内係りが、裁判室へ連れて行ってくれる。
そこは、前世にテレビドラマで見た光景に少し似ていた。四角い部屋の三方に出入り口が有り、出入り口の無い壁には高い段になっているコの字型の席がある。その三方に囲まれた真ん中に譜面台のようなものがあった。部屋の半分のあたりに腰を超える柵があり、その、今居る手前側が傍聴席だと解るが、椅子はない。
(立ち見?)
戸惑ったファランだったが、壁際に腰掛けが用意されていた。カウンター席のような、座面が狭く少し高めのものだ。案内係が、どうぞこちらに、と用意してくれる。部屋全体よりもやや左寄りの柵前だ。
(そんなに近くなくてもいいのだけど…まぁ良いか)
しばらくすると、他にも人が入り、最終的には二十人ほどが傍聴席に入った。
ファランのように侍女を連れている令嬢。独りで颯爽とやってきた老人。何に関心があるのか、連れ立ってやってきた青年。様々な人が腰掛けを持ち出して思い思いの角度で傍聴を始めた。
その中でファランの気を引いたのは、ダイエット前のファランに近い体型の令嬢が二人いた事だ。
(………学園にはいなかったけど。貴族の括りだと太い人って結構いるんだ)
そんな事をのんきに考えていたファランの前で、粛々と裁判は始まった。
(?)
裁判は、次々に連れてこられては譜面台のようなものの前に立たされる人々が、罪状と刑期を言い渡される光景をただ見ているだけだった。ファランは、何故ここに呼び出されたのか、よく解らないまま時が過ぎていく。
そして、言い渡された五人が最後に傍聴席に向かって並ばされ、
「お前達が主張する主犯とは誰だ?」
と、言う質問をされた。
(は?)
瞬間的に、ファランは血の気が引いた。逆転有罪投獄エンドが目の前に現れたのだ、何故のこのことこんな所にやってきてしまったのか、足先からガタガタと震えが来る。五人が指し示すために腕を持ち上げる動作が、スローモーションに見えた。
「とても良くお似合いです、お嬢様!」
「え~そう?」
いつもよりテンション高く見えるカトレアの褒め言葉に、ファランは思わずにやけた。
引き締め効果を狙って、年不相応だが濃紺のドレスを選んだ結果は、中々良いような気がした。淡い金髪も、白い肌も、濃紺でより引き立って見える。
もはや公の場に出なくなったファランは、流行は無用だ似合う物を着れば良い、と精一杯自分に似合う格好を考えた。
流行りであるフリルをふんだんに使ったドレスを着ると、ファランは顔が負ける。そして、その負けを取り戻そうと妙に発色の良い化粧を濃くしていたのが今までだ。
しかしながら、全体に縦のラインを持つすっきりとしたスタイルのドレスを着れば、顔は負けない。無理に濃い化粧をしなければ、ファランの顔は意外と目元に力があって悪くない。
(うん。悪くはない! ヒロインみたいな正統派美少女でもフリカッツェ様みたいな美女でもないが、カワイイあるいはカッコイイは作れるの範囲に入れる顔だ! 自信満々にしていればランウェイも夢じゃない!)
ランウェイはともかく、人前に立つには十分な装備状態になった、と思う。
「本当に、お嬢様の白い肌が引き立ちます」
「フリルが有る方が可愛いと思い込んでいましたが、お嬢様にはスッキリしている方がお似合いですね」
「お嬢様、かっこよくて素敵ですぅ」
「いや~ありがとう」
カトレア以外の侍女達も固さのない笑顔で褒めてくれた。
実は、思い出せる限りのヨガポーズを教えたりした結果。
「お嬢様に教えていただいた体操のおかげで近頃肩こりが随分楽になりました」
と、語るのは、本当は栗色のふわふわロングヘアーをかっちりまとめた長身のマグリット。
(まぁ、マグリットの肩こりの最大要因はそのメロンばりの巨乳だろうから、根本解決はしてあげられないけど。良かった良かった)
「寝る前に深呼吸するだけで朝の目覚めが変わるなんて思っても見ませんでした。本当にありがとうございます」
と、笑うのは、近頃すっかり隈もとれて晴れやかな顔をした小柄な赤毛のミモザ。
(貴方が不眠になった原因はファランが極度の緊張を強いていたからだもんね、睡眠改善されて心底喜ばしいよ。おめでとう!)
「私ぃ、生理の時すっごい腰痛かったんですけどぉ。お嬢様のおかげで全然痛くなくなりましたぁ」
と、言ってくれるのは、黒髪で緑の目がどことなく猫っぽい印象のニーア。
(ちょっと前まで死んだ魚の目をしていた彼女がこんなにキラキラした目で私を…うっ嬉しい)
このように転生チートを有効活用して、関係改善に成功したのだ。
「あ、そろそろ、行こうか」
「はい」
ちなみに、ファランが、いつかこのくらいの体型になったら着たいドレス、に身を包んでいるのは、別にダイエットに成功した実感を得たいがためだけではない。すっかり引きこもっていた彼女の元に、司法局から再び手紙が届いたためだ。
(んん? 傍聴席に来てもらいたいって書いてあるけど…もしかして逆転有罪投獄エンドとかじゃないよね………いや、大丈夫なはずだ! 無罪証明の書類に署名したじゃないか!)
三日ほど思い悩んだが、断る理由も見当たらず行くことにしたのだ。決して、今なら着られる、いつかこのくらいの体型になったら着たいドレス、を着たいがために行く事にした訳ではない。
こうして、カトレアと共にファランは司法局へ赴いた。
担当なのか、偶然なのか、前回と同じ案内係りが、裁判室へ連れて行ってくれる。
そこは、前世にテレビドラマで見た光景に少し似ていた。四角い部屋の三方に出入り口が有り、出入り口の無い壁には高い段になっているコの字型の席がある。その三方に囲まれた真ん中に譜面台のようなものがあった。部屋の半分のあたりに腰を超える柵があり、その、今居る手前側が傍聴席だと解るが、椅子はない。
(立ち見?)
戸惑ったファランだったが、壁際に腰掛けが用意されていた。カウンター席のような、座面が狭く少し高めのものだ。案内係が、どうぞこちらに、と用意してくれる。部屋全体よりもやや左寄りの柵前だ。
(そんなに近くなくてもいいのだけど…まぁ良いか)
しばらくすると、他にも人が入り、最終的には二十人ほどが傍聴席に入った。
ファランのように侍女を連れている令嬢。独りで颯爽とやってきた老人。何に関心があるのか、連れ立ってやってきた青年。様々な人が腰掛けを持ち出して思い思いの角度で傍聴を始めた。
その中でファランの気を引いたのは、ダイエット前のファランに近い体型の令嬢が二人いた事だ。
(………学園にはいなかったけど。貴族の括りだと太い人って結構いるんだ)
そんな事をのんきに考えていたファランの前で、粛々と裁判は始まった。
(?)
裁判は、次々に連れてこられては譜面台のようなものの前に立たされる人々が、罪状と刑期を言い渡される光景をただ見ているだけだった。ファランは、何故ここに呼び出されたのか、よく解らないまま時が過ぎていく。
そして、言い渡された五人が最後に傍聴席に向かって並ばされ、
「お前達が主張する主犯とは誰だ?」
と、言う質問をされた。
(は?)
瞬間的に、ファランは血の気が引いた。逆転有罪投獄エンドが目の前に現れたのだ、何故のこのことこんな所にやってきてしまったのか、足先からガタガタと震えが来る。五人が指し示すために腕を持ち上げる動作が、スローモーションに見えた。
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