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第1章 影太くんスゥちゃんと出会う
SEXしないと出れない部屋なんですか?
しおりを挟む「それじゃあえーた、せっくすしよーね♡」
「は……? いや、無理でしょ……」
笑顔で見つめてくるイケメンを前に困惑した。セックス? 聞き間違い……?
「ううん、せっくすだよ? えっとね、まぐわい? ん~……こーび……エッチ……せーこうい?」
「わ、わかったよもう。でもいや……そうじゃなくて……」
キスでいっぱいいっぱいになってる俺に求めることじゃないよね。今し方『好き』って言って、キスをして、もうエッチなの? ……無理だよ。だって《セックス》って、子供を作るための夫婦の営みでしょう? 男同士じゃ……あ、そういえばマレさんはスゥを材料を揃えて《作った》って言ってたし、スゥの体って特殊なの……? 行為自体、人間の方法と違うのかな。キスみたいなこと?
「えっとね、おちんちんをオシリにいれてヌコヌコして、いっしょにピュッてするの♡」
はい、無理です。
「まかせて! だいじょーぶ♡」
「大丈夫じゃないし! 無理だしッ!」
ぶんぶん首を横に振る俺をスゥがギュッと抱き締めてくる。頬にチュッチュとキスをしてくる。
「えーたがいれるほうでいーんだよ? おちんちんキモチイよ? ね? しよ♡」
組み敷かれた体勢で言い迫られた。さっきから下品な言葉を連発されてドン引きだ。スゥの口からヌコヌコとか……そんな卑猥な言葉が出るなんてショックで泣きそうです。大体オシリに入れるって、どこに入れる気なの? 想像はつくけど違ってほしい……
「ボクのアナルにいれてね♡ オシリのアナだよ? こーもん♡ アナルセックスってゆーんだって。えーたのおちんちんをボクのアナルでヌコヌコしてピュッてだして♡」
白目になる。
無垢な天使のちびスゥの口から言われなかっただけマシかもしれない。この男、汚れている……
「コトバがいけないの……? えぇとね~、えーたのインケーをね、ボクのチョクチョーにいれる……コーモンセーコウ♡」
「ごめんなさい……」
スゥに性知識があったことにショックを受けているんだと思います。汚れのない天使のように思っていた小さな美少年がセックスをしたがること自体、俺には大変なショックなんです……
「愛しあうコーイだよ。なんにもおかしくないよ? きもちいよ? ……たぶん」
「え……たぶん?」
よくわからないで言ってたの?
「だってボク、いれられたことないんだもん。えーたのはじめてはムズカシイっていわれて、この《器》になったの。いれられるより、いれるほーが今のえーたはいいって。だからボク、いれられるほーになるね♡」
顔が近いし鼻息が荒い。『入れる』『入れられる』が多くて何を言ってるのかもうわからないよ……
「その《器》は《星食い》を駆除するための形状だよね……?」
そうでした。なぜか告白タイムになってたけど、俺たちは《星食い》の駆除をするためにここにいるんでした。
「うん、だからセックスしよーよっ!」
イケメンの鼻息がとっても荒い。ちょっと落ち着いてほしい。セックスから離れてほしい。今ここって、恋愛をする場面じゃないよね?
これが千年以上生きてる人なの? 俺の転生に千年くらいかかったとかマレさん言ってたし、千歳は超えてるんですよね……? なのにぜんぜん余裕がない。忍耐力とか千年で培ってないの? というか、スゥは誰かにちんちんを入れた経験があるの? きれいな体じゃないの……? 千年以上生きてるなら……そうなのか……。それだけ長生きしていればイケメンだし、恋愛経験は豊富ですよね……。無垢なちびスゥなんて最初からいなかったのか……
「ボクえーたしかしらないよ? すきになった《星》もエッチもえーただけだもん。まえのえーたがぜんぶおしえてくれたの♡ きもちぃこといっぱい♡」
あぁ……
両手で顔を覆った。ホッとしたけどまったく喜べない。前世のクソビッチさん……。前世の守銭奴クソビッチさんがスゥを汚してしまったのか……。じゃあ、千年待ち続けて俺がやっと産まれて、ようやく十六まで育って、気持ちも確認して、さぁ前の続きをはじめよう! ……という感じなの? 俺には何の記憶もないのに?
指の隙間からチラッとスゥを見てため息が漏れる。
「ちょっと待ってよ。冷静になろう。だとしても、今エッチする場面じゃないよね? 《星食い》の駆除をするんだよ? 俺はぜんぜんまったくこれっぽっちも今エッチをしたいとは思わないけど」
「だってこれがおわったら、もうえーたにこーやってさわれないんだよ? アナルセックスだってここでしかできないんだよ?」
ギュッと抱き締められて、お腹に美顔をぐりぐりと押しつけられる。怪力のせいで普段できないことをとにかくこの場でしておきたいってこと?
「まえのえーたとだって、ちゃんとしたことないんだもん……」
「は?」
意味がわからない。『した』と言ったり『してない』と言ったり……
「だってエッチのとき、ボクうごけないんだもん。うごいたらえーた、コロしちゃうから……」
「殺……?!」
知識の乏しい俺でも男女の性交の動きや形はぼんやりとわかる。スゥの怪力が行為に向いてないってことなの? でも何でそんな危ない橋を渡ってまでセックスをしてたの? 命懸けとか馬鹿馬鹿しい………あ、子作り? クソビッチさんは女性なのか……
俺の頭の中を覗いているらしいスゥは、不思議なものを見る目を向けた。
「愛をたしかめあうためでしょ? おたがいの愛をつたえあうためでしょ?」
でしょ? と、そんな顔で言われても俺にはわからない。知識も経験もありませんし……
「それにえーた、セックスで《星食い》をクジョするんだよ? マレにきーてないの?」
「へ?」
聞いてません………え? 何それ……? どういう……
『メインイベント♡』と言ったのぞみの笑顔がフラッシュバックする。マレさんとのぞみが俺の手を引いて笑顔でこの部屋に閉じ込めた理由を今やっと知った。挑戦内容をきちんと教えてくれなかったのも、目を逸らされたのも……俺の成長を十六年待ったというのも……そういうこと?
血の気が引く……
「い……いや、無理だし」
一体どういう原理でセックスが《星食い》駆除に繋がるというの? スゥのスキルの発動条件がセックス? ち……違うよね? 別の方法でお願いします……!! しかし絶命……いや、失敗しても《巻き戻し》すると言われてる。でもその場合《友達》は諦めろと……
え……ちょっと待って? 友達を得るために今この場所で貞操を失う必要が本当にあるの? 相手がスゥだからってそんなの……そんなのひどくないですか?!
「ね……ねぇスゥ、どういう仕組みで駆除するのかちゃんと説明してくれない? セ……セックスなんてホントに無理だし……」
スゥをのかして体育座りで身を守るように縮こまって震えた。無理だ……
部屋全体が俺を柔らかく包み込む。伸ばされたスゥの手が優しく俺の手に触れた。
「こわがらないで、だいじょーぶだよえーた♡ えっとね……、ここでえーたとどーじにゼッチョーすれば、ボクのスキルで《星食い》がセータイになるんだって。それでウカしたら、マレがやっつけてくれるっていってた」
セータイ……成体? スゥのスキルで《星食い》を成長させて羽化させるってこと? そのために同時にゼッチョー…………ぜ……絶頂? って……『あぁん♡』と喘ぐ金髪女性の顔が浮かぶ。こういう感じのこと? それをスゥと同時に??
「ね? だからセックスでしょ?」
「うぐ……」
マレさんは《星食い》をここで羽化させて《器》を出たところを退治しようとしてるのか……。《星食い》の羽化に必要なスゥのスキルって……何でそんな変な条件で発動するの? 馬鹿みたいに思えるけど……
「スゥのスキルって……何なの?」
「えっとね、えーたがくれるとボクからでるの」
「何が出るの……?」
「んとね、こ~……スキ♡ ってゆーのと、キモチイ♡ ってゆーのが、いっしょになってるやつ。えーたとエッチするといつもいっぱいでたよ♡」
「………」
わからないけど、やっぱりそれは《絶頂》なの……? 『あぁん♡』と喘ぐ金髪女性の顔が再び浮かぶ。
「えーたそれ、あぁん♡ はカンジてるだけだから、ゼッチョーはイクぅ~♡ ってゆーのだとおもう。もっとつよいカイカンだよ♡」
ボッと赤くなった。知らないし……ッ!
俺とスゥの体にはもう羽化の兆候が出てるわけだし、これってあともう少しなんじゃないのかな……。でも確か《巻き戻し》の副作用で《星食い》はまだ幼体のままで、スゥのスキルが必要になってしまったとか言ってた気も……
《星食い》は精神エネルギーを養分にすると言ってたし、謎のスキルは大量のエネルギーを放出するとか、そういう類いなのかも。スゥがずっと我慢させられていたというのなら、恋愛感情や性的な気持ちも養分になるってことだよね……でも、強い快感っていう絶頂自体は決め手にならないの? スゥのスキルはそれ以上ってこと? スゥのスキルが謎だけど、《星食い》を直接捕まえたり攻撃するためのものじゃないのなら……
うーん……最悪《巻き戻し》かぁ……
応援ありがとうございます!
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