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第1章 影太くんスゥちゃんと出会う

チキチキ☆星食い駆除大作戦!

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「ン……ッ!」
「えーたいたい?」
 ビクッと体が震える。痛いというか、くすぐったいです……
 床に座ったスゥの肩に腕を回して、股の間で膝立ちの姿勢で真っ赤になりながら唇を合わせていた。唇を離した今はスゥの頭を抱えて自分の赤い顔を見せないようにしている。とても恥ずかしい……
 服の中にはスゥの手があって、手のひらが背中をで回している。少し荒っぽいというか、慣れない手つきというか……。エッチについては詳しそうだけど、動けなかったと言うんだから、こういうのは初めてなのかも……
「うん、はじめて♡ えーたのハダ、すべすべでやわらかくって、とってもきもちい……♡」
 はい、その感想は初めてしっかり触れたからであって、俺が特別卵肌であるとかではないです。そもそもこれは俺の体じゃないし。俺だってこんな風に他人に触れるのは初めてで、その感触に感動している。スゥのこの《器》はとってもブヨブヨしてる……! 俺はスゥの頭を抱えてるだけでまさぐってはいないけど、それでも、さらさらの水色の髪やうなじに触れて、すごくいい匂いだし、胸の奥がムズムズしている。全体的にブヨブヨとしてるけど、これはやばい。れるってすごい……♡
 しかし身代わりの《器》なのにとても恥ずかしいです。めちゃくちゃ弄られてるし……くすぐったい……!

 再びキスをして唇を離したスゥは、俺の耳の後ろ辺りをしきりに嗅いでいる。時々そうやってそこを嗅ぐけど、臭うの? これはアバターだよ?
「えーたはどの《器》でもすごくいーにおいだよ♡ あまくってねぇ、おいしそーなの♡」
「ぬわっ!?」
 首を舐められてビクリと体が跳ねた。あま……甘い? 味付きのアバター?
「《器》はかんけーないよ♡」
 ウフ♡ っと笑ったスゥは耳の後ろにチュッと吸いつく。そこから何度も首を吸って、喉元へ下りて服をずらして鎖骨をぺろっと舐めた。
「ひっ」
「はぁ……♡ えーたおいし♡ ぜんぶぺろぺろしたい♡ ……えーた♡ ……えーた♡」
 真っ赤になりながらスゥの愛撫に耐える。俺は美味しいの? ぺろぺろって……何かすごくやらしいし、ほ……本当に舐めてるし! というか……激しい……っ!!

 こうして夢中に愛撫する姿は大きいスゥでもちょっと可愛いなって思います。やってることは可愛くないけども……。スゥはずっとこんな風に俺に触れたかったの? 俺を絞め殺す勢いだったちびスゥは、あれでも意識して制御してたってことなのかな……。あの怪力で気持ちに任せてこういうのをやってしまうと、確かに悲劇が起こりそうで怖い……


 この場所で行為をはじめる前に、『セックスはしない』って言いました。条件を満たせるかはわからないけど、俺に許容できる範囲なら試しても構わないと思って今こうなっている。スゥは千年も待ったらしいし、しかも今ここでしか好きに触れないと言うし……なので俺はキスを超えたこの行為……何ですかこれ、ペッティング? に頑張ってチャレンジしている。しかしそれでも結構キツい……
「えーた♡」
「ング……ッ!」

 セックスなんて絶対無理です。でも友達は……これから友達になるだろう元吉げんきちとの関係は手放したくないし……。スゥのことを好きだと自覚してしまったから、この作戦に挑むことへの抵抗はあっても拒否するほどではなかった。逃げたら絶対に後悔する。学校へ行くたびに行動しなかった自分を情けなく思うでしょう。なので挑むしかありませんでした。泣きそう……

 めちゃくちゃに触れられて、顔も体も真っ赤になっていた。服が捲り上げられて、肌を吸ったり舐めたりされている。くすぐったいし、恥ずかしいし、変になりそう。頼むからスゥの謎スキル、発動して……!! あるいは感情の昂りを食べてさっさと羽化してほしい……!!
「ボクがんばるね♡ えーたといっしょにがんばる! ウフ♡」
 楽しそうにそう言われ、服の中で乳首をつままれた。体が跳ね上がる。
「ひぃ……ッ! ちょっやめ……ッ!!」
 スゥはじゃれるように笑って服の上から乳首を甘噛みした。それからチュパチュパ音を立てて吸いはじめる。
「ンン……ッ?! ちょ……ちょっとスゥ、それえっちすぎるからやめて……ッ!!」
 顔を押し付けたままイヤイヤと首を振るので唇が乳首を擦ってビンビン刺激が走った。

「や、やめ……ハウッ!!」
「えーた、きもちい? えっちなキモチ、いっぱい《星食い》にたべさせよーね♡」
 半泣きだった。全身がガクガクしてる。天使みたいに可愛かったあのスゥが、こんなドスケベだったとは……
「ちょ……スゥ、そこは……ッ」
 背中を撫でていた手がぱんつの中に移動した。両手でお尻をムギュッと掴まれる。ひッ!!
「はずかしがってるえーたかわい♡ はぁ……えーたすき♡ オシリかわい♡♡」
「ちょま……もがっ……ンンッ!! ……ンッ!!」
 唇をついばまれて俺の文句は塞がれてしまった。スゥのスケベな両手はお尻をムニムニと揉み、太腿を撫でた。変な声が出てしまう。た、耐えるんだ……ッ!!
「たえちゃダメだよえーた。《器》をしょーじきにさせて、いっぱいカンジてね♡ きもちくなって、いっしょにゼッチョーしよーね♡」
 涙があふれる。もう……友達を諦めた方がマシかもしれない……

『ホントにほしーなら、がんばろーよ♡ ねぇえーた、このへやはボクなんだよ?』
 頭にスゥの声が響いてきた。周囲の空気が俺の全身を掻き回すように撫でる。俺に触れているスゥの体は目の前のスケベなイケメンだけじゃない。そうだった……この部屋すべてがスゥで、俺はその中にいるんだ……
 吸い込んだ息が体内に流れ込んで、内臓にズルズルとした変な感覚があった。
『えーたの中にもボクいっぱい入ってるの♡』
 言われて思考が停止する。え……

 そういえばこの部屋に入ってから、ゾル状のスゥに俺は浸かっている状態だった。普通に呼吸してると思っていたけど……これホントどうなってるの?! 酸素は? アバターだから平気なの……?
 ズズズと体の内側と外側の空気が動きだす。内臓が勝手に動かされて、体が宙に浮いた。……ッ?!
『えーたのそとも中も、ぜ~んぶボクのもの♡』
「な……」
 スゥの声が全身から伝わって頭に響いた。
『ウフ♡ えーたのココをこーしたら、きもちい?』
「だだだ、ダメ!! そこはダメッ!!」
 チンコと玉がゆるゆると空気に揉まれて、体を揺すって拒む。やめてよッ!
「あひっ! 何……?! ンン……?!」
 肛門と尿道にズルズルとした空気の動きを感じる。その変な刺激に下半身がビクビク痙攣した。「やだ、やめて!」と訴えようとしたら、擬態みたいな人型のスゥが俺を抱き締めて唇を塞ぐ。こんなの泣く……

『ウフ♡ えーたがボクの中に入ったときからね、ボクたちぜ~んぶつながってたんだよ♡ ボクのかわいぃえ~た♡ だ~いすき♡♡』
 ダンジョンなんかじゃない。こんなの罠だ。頬にチュッチュとキスをされる。これはもうセックスどころじゃない。すごいことになっていると気付いたけど、気持ちが恐怖を超えてしまった。全身をスゥに呑みこまれていて、頭の中も覗かれていて、もう隠すものすらないんだと悟った俺は、考えるのを放棄しました。白目。
 内側と外側が流動しながら俺を撫で回している。ガクガクと震えて、体の芯が熱くなる。

『はぁ……えーた♡ ……きもちぃね♡ ……えーた♡ ……えーた♡』
 服を着ているのに裸にされているみたいだ。服の隙間にもスゥが入り込んでいて、肉体を包まれながら波に揺すられて、甘いイケメンボイスが俺の名前を連呼している。目の前の綺麗な顔の男は俺の服を捲り上げて、唇や舌で直接肌に愛撫を続けている。目が合うと優しく微笑んだ。心臓がギュッと掴まれる。《魂》が震える……
 全身を撫で回すゾル状のスゥが何をしているのかはわからないけど、めちゃくちゃえっちなことをしている気がする。揺すられ方がおかしい。下半身がゾクゾクとして、勃起していることに気付く。股間が重点的に掻き回されている。肛門や尿道に異物の動きを感じる。真っ赤になって目をつむった。スゥの……スゥのばか……
「んぁ……あぁ……」
 全身が熱くて上気した顔から涙がこぼれる。変な声が出てしまう。もうされるがままだ……

 長い時間そうやって揺らされて愛撫されて撫で回されて、頭の中がぼんやりと鈍くなっていた。すっかりのぼせている。涙と唾液が流れ出ているけど拭う気も起きなかった。そういえば汗や鼻水は出てないや……。赤面して上気するのに脈拍や呼吸も妙に安定している。肛門と尿道……作戦用のこの《器》って………だめだ、何か考えようとしても思考がのぼせて進まない。でも、今すぐにスゥを確認したいと思った。せめてこれだけは確認したい。大事なことだから……
「えーた?」
 起き上がってスゥの頬を両手で挟んで引き寄せる。美しい金色の瞳を覗き込んだ。
 ……うん、間違いない。これは確かな気持ちだ。あの日この瞳を見て芽生えた感情は今もずっと続いている。これをどう伝えたらいいのか、今ならわかる。

「愛してる」

 スゥの瞳の金色が強く輝いて俺を見ていた。「ボクも」と唇が動く。水中で抱き合うように体を寄せて、俺はスゥにキスをした。胸がギュッと苦しくなるのを唇から伝えた。涙があふれ出ていた。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆



 《魂》が震えるような感覚に全身が痙攣する。スゥが体を強張らせて甘い声で叫び、部屋に波紋が広がった。その瞬間、ブツリと何かを切断された気がした。
『アァッ!!』
 苦し気なスゥの声が頭に響く。背中に突き刺さるような衝撃が走る。左肩甲骨の下辺りが盛り上がり、何かが出て行こうとしている。その強烈な感覚に俺は声も出せず、体は動かない。涙を流したまま眼球すら動かせず、見開いた視界にはスゥの金色の瞳が見えている。スゥもまた同じように動けないのか、俺を真っ直ぐに見ているだけだ。キスをしたままの姿勢で静止している。時間が止まっているみたいだ。

『えーた……だいじょーぶ……あとはマレが……やってくれるよ……』
 スゥの言葉が切れ切れに頭を過ぎるととてつもない衝撃が走り、体を破って背中から何かが飛び出した。これが……《星食い》?
 ドッと黒い霧のようなものが俺たちの前を飛び出して部屋に広がる。スゥの美しい瞳が黒い霧の放出に遮られて見えなくなった。薄ぼんやりとした白い空間が、スゥの《器》が、真っ黒の闇に包まれていく。死を感じて心が凍りつく。恐ろしかった。

 ずっと一緒にいられたらと、伝えたばかりなのに……。スゥが好きだと、愛していると、伝えたばかりなのに……
『だいじょーぶだよ、えーた♡』
 優しい声が脳裏に響いた。ホッとして、思考が停止する。ゆっくりと世界が暗転した……
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