若い聖女が現れたから私はお役御免！？それならこっちから婚約破棄します！ ～今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです～

パーティーの前日

俺は今、ものすごく困っている。
明日はルカ達の開いてくれるパーティーの当日。
全ての事を終わらせて、準備も済まし後は明日ルカの家に向かうだけ。
それだけの筈だったのに……今、俺の目の前にあるのは書類の山……
「はぁ…………アイツらの嫌がらせもここまでとはな……」
そう言って、俺は書類を一枚手に取り目を通していく。
書類の中には重要な物は一つも無く、俺が確認しなくていいような物も中にはあった。
アイツら、というのは聖女反対派のやつらの事で、すべての事が片付いた今でも
俺に対して、こんな地味な嫌がらせを続けている。
「こんな事なら、前にやってきた時に潰しておけば良かった……」
そう、ボソッと呟いても仕方のない事だ。
もう過ぎた事はどうしようも無い、それならば前を向くしかない……
そう自分に言い聞かせてはみたものの、やはり腹が立つ物は立つ。
すると、コンコンとドアがノックされ俺を呼ぶ声が聞こえる。
はぁ……今度は何なんだ？
「どうぞ」
「失礼します、ルーク様お茶をお持ちしました」
「なんだ…メルか、ありがとう頂くよ」
「ふふ、大分イライラしているご様子ですね、あの人達絡みですか？」
「あぁ……これを見ろ」
そう言って、俺は書類の山をメルに見せた。
すると、メルは苦笑いしながら書類を手に取り目を通していった。
そして、全てを読み終えると丁寧に書類を元の場所に戻すと俺の目を見て言った。
「これ、ルーク様が見る必要があるのですか？」
「無いな」
そう言って、俺は深いため息を付き、メルの淹れた紅茶を一口飲む。
「書類の整理手伝いましょうか？」
「いや、俺がやるから大丈夫だ。俺が全部一人でやらないとアイツらに何を言われるか……」
俺がそう言うと、メルは納得したのか深く頷き部屋から出ていった。
はぁ……とため息を付き、俺は書類の山に向き合い
ペンを走らせる。
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「はぁ…………やっと、半分か……」
時刻は深夜を回った、そんな時間までやったと言うのに、全然減らない書類の山を見て、俺はため息を吐く。
パーティーまで、あと数時間後……
こんな調子で終わるのだろうか、そんな心配が一瞬頭を過ったが 首を振って、その考えを振り払う。
やるしかない、ここで弱音を吐いたらアイツらの思うツボだ……
「あと数時間集中すれば終わる筈だ、集中しろ」
俺は自分に言い聞かせて書類の処理を再開した。
そして、しばらく時間が過ぎ……日が昇り始めた頃やっと書類の処理が終わった。
俺は最後の書類にサインをし終わると、大きく背伸びをして窓の外を見た。
まだ空は、ほんのりと薄暗く、オレンジと紫が混ざり合ったような そんな不思議な色をしていた。
俺は、椅子から立ち上がり、部屋の窓を開く
すると、少し冷たい風が頬を撫で、俺の髪を揺らした。
俺は目を閉じて、深く深呼吸をするとゆっくりと目を開き、また空を見上げた。
「さて……少しだけでも休んでおくか」
そんな、小さな独り言を呟いた俺は、ソファへと向かい、眠りについた