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第二部/3組目・英雄の子孫と獣人兄弟
閑話:評価!エロトラップダンジョン!
しおりを挟む……エリック一行がダンジョンから退散して数分。
ダンジョンの管理人室で自身が開発した『挑戦者の強さなどをスキャンし、自動でダンジョンの構築を行う魔術式』の成果を見ていたダンテは盛大なため息を吐いていた。
「あれ?ダンテさま。さっきのやつら、もう撤退したんです?」
「あぁ…」
「……ど、どうしたんです?なんか、疲れた様子ですけど」
ダンジョンの裏側で雑用をさせられていたキールが声をかけるも、ダンテの返事は芳しくない。
そこでキールも遅れて動画…エリック達がダンジョンに挑む映像記録を早飛ばしでチェックしたが、ダンテがそこまで落ち込む理由は分からなかった。
「………見た感じ悪くなさそうっすけど…ほ、ほら。この生意気そうな人間も雌落ちしてるし」
「…お前にはそう見えるのか」
再び大きなため息を吐き、今度はジト目でキールを見つめるダンテ。
その表情はまるで『お前はダメだな』と言っているようでキールは思わず後ずさる。
「…確かに着眼点は悪くない。この少年は人間しては上質な魔力を蓄えていたからな。重点的に狙うならば獣人2人よりもこちらだろう」
「そ、それならどうして……」
「『遊び心』、『余韻』と言ったものが感じられない」
「……は?」
ダンジョンで『遊び心』に『余韻』?
淫魔であるキールとしては精力を取れれば取れるほど良いため『出来ればあの獣人2人からも搾り取りたかったな~』という感想しか抱けず、ダンテの言う遊び心や余韻と言った意味がさっぱり分からなかった。
「獣人に隷属の呪印がある事を感知してそれを打破、逆転させる手段を用意したのはいい。……だがそこまでの流れがストレート過ぎる」
「す、ストレート…?」
言われて思い出せば、確かに2部屋目で隷属の呪印を解除、その後3部屋目で主従逆転の為の布石となるアイテムを与え、そのまま4部屋目で双子がエリックを陥れられるようにダンジョン側から仕向けていた。
「特定の意図を持ってダンジョンの構築をするのは構わないが、あそこまで露骨な構成では挑戦者に悟られてしまう」
(えぇ…そんなの言われなきゃ気付かなかったし、気にしすぎじゃ……)
魔術式を調整しながら長々と説明するダンテの話を半分聞き流していたキール。
やがて作業に没頭し始めた主人から逃れるように、気配を消してからそっとその場を離れていく。
「…もしこちらで組むのなら…2部屋目と3部屋目の間に触手迷路を差し込んで、あの獣人からも精力を奪うようにするな。それと……」
(あーあ。ダンテさま、集中モードに入っちゃった……そろそろ魔力欲しかったんだけどなぁ)
ブツブツと独り言を喋るダンテを尻目に小さなため息を吐くキール。
ダンジョンの整備道具を取り出すと、そのまま次の挑戦者を迎え入れるための清掃と下準備へと向かうのであった。
……『大賢者のお告げ』以降、ダンテのエロトラップダンジョンはひっきりなしに挑戦者が訪れるようになっていた。
それによりダンジョンの収益はうなぎ登り。
経営は黒字化を達成し、まさに順風満帆と言えるだろう。
だがダンテの理想のダンジョンにはまだ程遠い。
(人を殺さず、挑戦者が途絶えず、且つ半自動で運営が出来る究極のダンジョンを…!)
そんな到底不可能とも思える目標を胸に、ダンテはダンジョンの更なる改良を目論むのであった。
…………………………………………………………
次回、番外編やります。
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