ゲームの世界に転移したら美形王子に溺愛されてるんですが!?

krm

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29.勇者が普通にいるんですが!?

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しばらく進むと、城下町が見えてきた。
「おお!凄い!綺麗なお城だね」
フラン国はゲームでも訪れたことがあったが、実際に見ると迫力が違う。
ラルジュ王国の城はいかにも難攻不落で堅牢といったイメージだったが、フラン国のお城は綺麗で優しい印象だ。
「ここはラルジュ王国と違って、観光地として栄えているからな」
「へぇ……。それは楽しみだな」
「あそこがフラン国の入り口だ。ここからは歩きで行こう」
馬を繋いで、俺達は入口まで移動する。
「ようこそ。ここはフラン国です」
門番らしき人が笑顔で迎えてくれた。
「これはアルベール様!お久しぶりでございます」
「ああ、元気そうだな」
王子は知り合いのようで、軽く挨拶をしている。
「そちらの方は?」
「私の恋人のミノルだ。よろしく頼む」
「こ、恋人!?アルベール様に恋人が出来たとは……。驚きました……」
「ははは。驚かせてすまないな」
王子は爽やかに笑っている。
「ちょ、ちょっと、王子!いきなり何を言って……」
俺は焦って動揺するが、王子は平然としていた。
「それで、本日はどのような用件で?」
「ああ、勇者の伝承について調べたいと思ってな……」
「なんと!それでしたら、先ほどちょうど勇者様が来られたところなんですよ」
「なんだって!?」
なんというタイミングの良さだ。勇者を見つけるための情報を集めようとしていたのに、本人に会えるとは。
というか、もうしっかり勇者は現れていたんだな……。
「それでは、こちらにおいでください」
案内されて俺達もついていく。少し歩くと、大きな建物に着いた。
「どうぞお入りください」

中に入ると、2人の男女がいた。1人はよく知っている人物だ。
「こんにちは。アルベール王子。それにミノルさん」
リュネット姫が優雅に挨拶をする。
「やぁ、リュネット姫。元気そうだな」
「ええ、おかげさまで」
「リュネット姫、こんにちは。そして……そちらの男性が勇者ですか?」
俺は姫の隣にいる男性を見た。
「はい、そうです。この方が伝説の勇者様ですわ」
「初めまして。俺は勇者のソウタと言います」
勇者は茶髪で短髪の男だった。背が高くて筋肉質だ。年齢は20代前半くらいだろうか。
俺は、おや?と首をかしげる。

ゲームの主人公である勇者の名前は、「リオン」だったはずだ。ただ、名前を自由に変更することができるので、自分の名前にしているプレイヤーも多かったと思う。俺はデフォルトネームのままプレイしていたので、勇者といえば「リオン」のイメージだったのだ。
この世界の勇者は「ソウタ」ということは、ここは「ソウタ」というプレイヤーのゲーム世界だったりするのだろうか……。
それから、勇者のビジュアルも少し違っている。
アルベール王子やリュネット姫は、一目見てすぐにその人だと理解できた。しかし、勇者は少々ゲームのイメージと違う。服装や体格、年代もゲームと一致しているのだが、髪型が違う気がするのだ。
ゲームの勇者は赤髪でちょっとツンツンしたような髪型だったが、ソウタは普通の茶髪である。もしかすると、名前を変えていることでプレイヤーのイメージに近くなっているとかなのだろうか……。

「勇者殿、会えて光栄だ。私はアルジュ王国の王子アルベールだ。そして、こちらは私の恋人のミノルだよ」
俺が悩んでいる間に、王子が挨拶と俺の紹介もしていた。恋人って紹介されるのはまだ恥ずかしいな……。
「初めまして。ミノルといいます。よろしくお願いします」
俺も自己紹介をする。勇者ソウタが握手を求めてきたので応じた。とても力強く握ってくる。
俺が少し戸惑っていると、王子がさり気なく遮るように割って入り、ソウタに話しかけた。
「ところで、勇者殿はどうしてフラン国に?」
「実は魔王を倒す旅の途中で、この国に、勇者のお守りアイテムがあると聞いて来たんですよ」
ソウタは真剣な顔つきで言う。そういえば、ゲームにもそんなアイテムがあった。
「ええ、『勇者の守り』はこの国が管理しています。勇者にしか効果を発揮しない、強力なお守りです。案内いたしますわ」
姫はそう言うと、部屋から出て行く。俺達も後に続いた。
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