50 / 141
48 三つの本題
しおりを挟む
「さて・・・セレナ、セリュー。良ければローリエ嬢を連れて庭園を案内しなさい」
しばらくしてから陛下はそう言った。本題に入るのだろう。俺はその言葉にローリエの方を向いて微笑みながら言った。
「ローリエ。ここの庭園は綺麗だから見てくるといいよ」
「おとうさまは?」
「一緒に行きたいけど、私は陛下とお話があるからね。セレナ様とセリュー様に色々と教わるといいよ」
「わかりました!」
そう言ってから3人は元気よく離れていく。俺は娘を笑顔で送ってから陛下に視線を向けて言った。
「さて・・・陛下。今回このお茶会に招待した目的を聞いてもよろしいですか?」
「ふむ、そうだな」
そう言ってから陛下は表情を少し引き締めて言った。
「今回貴公を呼んだのには理由がある。一つ目は我が国の内部調査だ」
「内部調査?」
「ああ、極秘裏に頼みたい」
おそらく俺に頼むということは貴族間での内部調査なのだろう。しかし極秘裏にとは・・・
ちらりと俺は周りを見渡してから陛下に聞いた。
「何故私に?他にも陛下の信頼厚き者は多いでしょう」
「一つには貴公の爵位と交友の幅の広さによるものが大きい。だが・・・一番の理由は貴公以外に信用出来ない状況だからだ」
「・・・陛下は何か掴んでらっしゃるんですね?」
「ああ。私の独自の情報が確かなら宰相であるグリーン公爵が他国に内通している可能性が高い」
その言葉に俺はため息をつきそうになる。まさかのこの国の宰相が裏切りとは・・・
「奴はいずれ時がくれば切り捨てればよい。問題は奴以外の者が他国に内通していないかどうかということと、奴の後釜だ」
「それで内部調査ですか。しかし私を信用してもよろしいのですか?その理屈でいけば私も怪しいでしょう」
「うむ、だが今日の貴公の様子とここ最近の評判を鑑みての決定だ。わざわざ貴公の奥方とローリエ嬢に来てもらったのもそのためだ」
なるほど・・・ローリエとサーシャを呼んだのは俺の普段の様子を見たいからか。ここ最近おそらくローリエからセレナ様経由で入ってくる情報が本当かどうかを見極めた上で陛下はそう判断したのだろう。まあ、確かにローリエとサーシャが害されない限り俺はなるべくこの国に友好的ではあるつもりだが・・・
「二つ目の要件は貴公に次の宰相を頼みたいのだ」
「私にですか?流石にそれは・・・」
面倒すぎるので控えにそう言うと陛下は何を勘違いしたのか頷いて言った。
「貴公の言いたいことはわかる。確かにフォール公爵家にこれ以上王族との繋がりを作るのは他の貴族からの反発があるかもしれない。だが、貴公以外に適任者がいないのだ」
「陛下・・・私の能力を評価していただけるのはとても光栄ですが、それはとても過分な評価です」
「謙遜するな。貴公のここ半年の実績は私としても高く評価しているのだ」
ここ半年?もしかして俺がカリスさんになってからの領地の管理やら国の仕事に関する評価なのかな?確かにカリスさんとは違うやり方でやっているが・・・そんな変わったのかな?
まあ、カリスさんの頃の杜撰な管理から徹底したものに変えて、スラムをなくして働き口を増やして、孤児院への寄付に、町の整備にお金をかけて、それらを増税せずに上手くまわしてやっているが・・・そこまで変わったことはしてないはずだ。
俺が黙っていると陛下は苦笑気味に続けた。
「まあ、この件は後々ゆっくり決めてくれればいい。最後に貴公・・・というか、ローリエ嬢に縁談を申し込みたいと思ってな」
「お相手はセリュー様ですか?」
「ああ。内々的にだがすでにセリューは王太子に決定している。その婚約者にローリエ嬢をと思ってな」
やはりそういう目論見があったか。だからローリエやサーシャを連れて来いと書いてあったのか。俺は一口お茶を飲んでからなるべく冷静に言った。
「ローリエはまだ5つになったばかりです。婚約をするには早いと思いますが?」
「だがいずれは婚約者を決めるべきだろう?」
「そうは言っても相手は王太子です。これから娘に過酷な王妃教育を強いるのは私の好むところではありません」
そう言ってから俺は隣で心配そうにこちらを見ているサーシャに微笑んでから陛下に言った。
「陛下。光栄なお話ですが、私が何より望むのは家族の幸せです。なので娘が自分の意思で心から愛しく思う人が出来るまで、私は娘を守るつもりです」
そう言うと陛下はニヤリと笑って言った。
「なら、ローリエ嬢がセリューを好きになればいいんだな?」
「本人の意思なら反対はしません。ただ周りが強制したりするのはダメです。私は娘を政略結婚させるつもりはありませんから」
陛下はその言葉に愉快そうに笑いながら言った。
「なら、今回は諦めよう。だが、ローリエ嬢がセリューの婚約者候補なのは変わらないからな。いずれ正式に縁談を申し込むつもりだが、その時までにセリューがローリエ嬢を落とすだろうから楽しみにしておくといい」
「そうなれば大人しく従いましょう。私が望むのは家族の幸せですから」
厄介な仕事を押し付けられてあまつさえローリエの縁談を持ってきた陛下にため息をつきつつそう答えたのだった。
しばらくしてから陛下はそう言った。本題に入るのだろう。俺はその言葉にローリエの方を向いて微笑みながら言った。
「ローリエ。ここの庭園は綺麗だから見てくるといいよ」
「おとうさまは?」
「一緒に行きたいけど、私は陛下とお話があるからね。セレナ様とセリュー様に色々と教わるといいよ」
「わかりました!」
そう言ってから3人は元気よく離れていく。俺は娘を笑顔で送ってから陛下に視線を向けて言った。
「さて・・・陛下。今回このお茶会に招待した目的を聞いてもよろしいですか?」
「ふむ、そうだな」
そう言ってから陛下は表情を少し引き締めて言った。
「今回貴公を呼んだのには理由がある。一つ目は我が国の内部調査だ」
「内部調査?」
「ああ、極秘裏に頼みたい」
おそらく俺に頼むということは貴族間での内部調査なのだろう。しかし極秘裏にとは・・・
ちらりと俺は周りを見渡してから陛下に聞いた。
「何故私に?他にも陛下の信頼厚き者は多いでしょう」
「一つには貴公の爵位と交友の幅の広さによるものが大きい。だが・・・一番の理由は貴公以外に信用出来ない状況だからだ」
「・・・陛下は何か掴んでらっしゃるんですね?」
「ああ。私の独自の情報が確かなら宰相であるグリーン公爵が他国に内通している可能性が高い」
その言葉に俺はため息をつきそうになる。まさかのこの国の宰相が裏切りとは・・・
「奴はいずれ時がくれば切り捨てればよい。問題は奴以外の者が他国に内通していないかどうかということと、奴の後釜だ」
「それで内部調査ですか。しかし私を信用してもよろしいのですか?その理屈でいけば私も怪しいでしょう」
「うむ、だが今日の貴公の様子とここ最近の評判を鑑みての決定だ。わざわざ貴公の奥方とローリエ嬢に来てもらったのもそのためだ」
なるほど・・・ローリエとサーシャを呼んだのは俺の普段の様子を見たいからか。ここ最近おそらくローリエからセレナ様経由で入ってくる情報が本当かどうかを見極めた上で陛下はそう判断したのだろう。まあ、確かにローリエとサーシャが害されない限り俺はなるべくこの国に友好的ではあるつもりだが・・・
「二つ目の要件は貴公に次の宰相を頼みたいのだ」
「私にですか?流石にそれは・・・」
面倒すぎるので控えにそう言うと陛下は何を勘違いしたのか頷いて言った。
「貴公の言いたいことはわかる。確かにフォール公爵家にこれ以上王族との繋がりを作るのは他の貴族からの反発があるかもしれない。だが、貴公以外に適任者がいないのだ」
「陛下・・・私の能力を評価していただけるのはとても光栄ですが、それはとても過分な評価です」
「謙遜するな。貴公のここ半年の実績は私としても高く評価しているのだ」
ここ半年?もしかして俺がカリスさんになってからの領地の管理やら国の仕事に関する評価なのかな?確かにカリスさんとは違うやり方でやっているが・・・そんな変わったのかな?
まあ、カリスさんの頃の杜撰な管理から徹底したものに変えて、スラムをなくして働き口を増やして、孤児院への寄付に、町の整備にお金をかけて、それらを増税せずに上手くまわしてやっているが・・・そこまで変わったことはしてないはずだ。
俺が黙っていると陛下は苦笑気味に続けた。
「まあ、この件は後々ゆっくり決めてくれればいい。最後に貴公・・・というか、ローリエ嬢に縁談を申し込みたいと思ってな」
「お相手はセリュー様ですか?」
「ああ。内々的にだがすでにセリューは王太子に決定している。その婚約者にローリエ嬢をと思ってな」
やはりそういう目論見があったか。だからローリエやサーシャを連れて来いと書いてあったのか。俺は一口お茶を飲んでからなるべく冷静に言った。
「ローリエはまだ5つになったばかりです。婚約をするには早いと思いますが?」
「だがいずれは婚約者を決めるべきだろう?」
「そうは言っても相手は王太子です。これから娘に過酷な王妃教育を強いるのは私の好むところではありません」
そう言ってから俺は隣で心配そうにこちらを見ているサーシャに微笑んでから陛下に言った。
「陛下。光栄なお話ですが、私が何より望むのは家族の幸せです。なので娘が自分の意思で心から愛しく思う人が出来るまで、私は娘を守るつもりです」
そう言うと陛下はニヤリと笑って言った。
「なら、ローリエ嬢がセリューを好きになればいいんだな?」
「本人の意思なら反対はしません。ただ周りが強制したりするのはダメです。私は娘を政略結婚させるつもりはありませんから」
陛下はその言葉に愉快そうに笑いながら言った。
「なら、今回は諦めよう。だが、ローリエ嬢がセリューの婚約者候補なのは変わらないからな。いずれ正式に縁談を申し込むつもりだが、その時までにセリューがローリエ嬢を落とすだろうから楽しみにしておくといい」
「そうなれば大人しく従いましょう。私が望むのは家族の幸せですから」
厄介な仕事を押し付けられてあまつさえローリエの縁談を持ってきた陛下にため息をつきつつそう答えたのだった。
33
あなたにおすすめの小説
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが
カレイ
恋愛
天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。
両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。
でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。
「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」
そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる