悪役令嬢の父親に転生したので、妻と娘を溺愛します

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閑話 フォール公爵の噂

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フォール公爵家といえば誰もが知る公爵家の代表格。その実権は宰相ですら無視できない大きな存在。しかも今の代の公爵は戦場で数々の武勲をたてた《剣鬼》と呼ばれるほどの剣の腕を持つまさに天才と呼ばれるほど圧倒的な存在だ。

時代が時代なら英雄とさえ呼ばれそうな彼は、しかし何故かその手の実力者にあるような色気のある話は一切なかった。顔は決して悪くなく、権力があり、力もあるのに婚約者以外の女性と接点を持とうとしなかったことから、様々な憶測が飛び交うが、最終的に彼は婚約者と結婚して家庭を持った。

子供が産まれたのは随分と遅くになってのこと。女の子ということで、フォール公爵家と接点を持とうと様々な貴族が夜会や舞踏会の招待状を出すが、しかし一貫して彼は表には出なかった。国王陛下主催の夜会にも一人で参加しており、仕事にせいをだしてることから、彼の家庭が荒んだものだと誰もが感じた。

そんなフォール公爵が変わったのはここ最近のことだ。はじめはこんな噂があった。

『フォール公爵が妻と娘を溺愛している』

その噂には様々な憶測が飛びかったが、それを証明するようにフォール公爵家の環境は激変した。調べた者によればかなりの数の使用人を入れ換えて、領民とも積極的に関わるようになったそうだ。しかも、使用人にはただ辞めさせるのではなく、それなりに仕事を斡旋したり、退職金を渡したりして穏便にやったそうだ。少しだけ黒い噂もあるが、決して不正はしておらず、領地に関しては領民からかなり慕われてるそうだ。

ある貴族の証言によれば第二王女のセレナ様の誕生日に娘を愛しそうに眺めるフォール公爵の姿があったそうだ。それから間もなく、フォール公爵夫人が新たな命を宿したという。さらにそこからこれまで閉鎖的だったフォール公爵家は様々な家と交流を持つようになったそうだ。ただ、決して夫婦で表には出なかったことからやはりデマではないかと、疑われていたが、しかしそれはすぐに消えた。

フォール公爵家の領地で新たな鉱石を発見したという情報から、国王陛下主催の夜会に参加した者達は皆ラブラブなフォール公爵とフォール公爵夫人の姿にこう思ったそうだ。

『絶対に、フォール公爵の家族には手を出さないでおこう・・・消し炭にされたくないなら』

色んな意味で地雷原。国王相手に社交辞令を交えつつノロケる姿に全員が触らぬ神に祟りなしと思ったのだろう。もちろん本人は知るよしもないが、こうしてフォール公爵の正体が《謎》から《溺愛者》にクラスチェンジしたのだった。


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