悪役令嬢は溺愛される

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家族団欒(将来的にはエミリーにもいて欲しい)

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食事は和やかに進んでいた。
最初の一件があったとはいえ、それが逆に皆の緊張をといたのか自然と会話を楽しみながら食事ができた。

王族なら、食事の時のマナーなども厳しいはずだが、こういう時くらいは多少のことは多目に見ていいだろうという父上・・・いや、正確には母上からの進言を受けた父上の言葉で和やかに進んでいた。

「そういえば、兄様。あの、お聞きしたいのですが」
「ん?なんだ?」
「エミリーさんを助けるために執事と二人で戦場に向かったというのは本当ですか?」

そんなことをバスから質問された。
それに対して父上は少し頭が痛そうな顔をして、母上は優雅に食事をしており、そしてフォルテは一人よくわからずにキョトンとしていたのが、俺はあまり気にせずに答えた。

「まあ、そうだね。誰から聞いたんだ?」
「城の侍女が噂しているのを聞きました。兄様が婚約者のために果敢に戦場に赴いたと皆が言っていたので・・・やっぱり兄様は凄いですね!」

キラキラした瞳を向けてくるバス。こんなに純粋だと、なんだか変な女にいつか利用されないかお兄ちゃん心配になるが・・・まあ、でも続編ヒロインの不穏さに気づいたくらいの勘の良さがあるから大丈夫か。

とはいえ・・・

「バス。私の行動は本来はあまり褒められたものではないのだ」
「何故ですか?兄様は執事がいたとはいえたった二人でエミリーさんを助けたのに・・・」
「んー・・・まあ、結果的にはな。でも、王族としてはあまり褒められた行動ではないんだよ。一応私は第一王子だからね」

王位継承権第一位であり、次期国王としてはたった二人で婚約者のために無謀な特攻を行ったなど、貴族からしたらあり得ないだろう。現にしきりに頷いている父上にも今回の俺の行動でいちゃもんをつけてくる貴族が多少はいるだろうし。

聡明なバスはその説明で理解したらしく、少ししゅんとしていたが・・・俺はそれに微笑んで言った。

「まあ、また同じことがあったとしても私はエミリーを助けるけどね」
「え・・・」
「というか、そもそもそういう問題は私が未然に阻止をして、エミリーを守るつもりだよ。今回の山賊騒動は私の落ち度からきたものだ。次なんて絶対にないだろうが、私は大切な人のためならどんなことでもするだろう」

まあ、他の貴族とかから何を言われようが、結果的にエミリーを守れるなら俺はなんでもするさ。ルールやマナーは守ろう。なるべく友好的な関係を築くことも怠ったりはしないが、それでも俺の中の一番はエミリーだ。

あの娘を・・・いや、あの娘にまつわることを全て俺は守ってみせる。これは誓いだ。俺は絶対にエミリーを守り抜いてみせる。

俺の言葉にぽかんとしていたバスだったが、次第に明るい表情を浮かべて言った。

「兄様はやっぱり凄いです!」
「ふふ・・・本当に面白く育ったわねアルト」

一連の会話を聞いていた母上がそう呟いた。
面白いか・・・

「まあ、私は母上の血を受け継いでいるので好きな人のためならなんでもしますよ」
「言うわね。ふふ」
「・・・アルト。あまり無茶はするな、と言っても無駄なのだろうが」
「父上にもご心配とご面倒をおかけします。その上でお願いがあるのですが・・・よろしいですか?」

俺のその言葉に父上は諦めたように頷いたので俺はそれに微笑んで言った。

「明日の夜会・・・私は場合によっては少し大きく動くかもしれません。その後の事後処理へのご協力と掃除のお願いです」
「・・・掃除?」
「ええ。正直、私は今回の騒動に対してかなり頭にきています。なので・・・」

そこで俺は一瞬だけ笑みに邪悪なものを混ぜつつもあくまで爽やかに言った。

「思い知らせてやるんですよ。誰の女に手を出そうとしたのかを、ね」
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