73 / 79
家族団欒(将来的にはエミリーにもいて欲しい)
しおりを挟む
食事は和やかに進んでいた。
最初の一件があったとはいえ、それが逆に皆の緊張をといたのか自然と会話を楽しみながら食事ができた。
王族なら、食事の時のマナーなども厳しいはずだが、こういう時くらいは多少のことは多目に見ていいだろうという父上・・・いや、正確には母上からの進言を受けた父上の言葉で和やかに進んでいた。
「そういえば、兄様。あの、お聞きしたいのですが」
「ん?なんだ?」
「エミリーさんを助けるために執事と二人で戦場に向かったというのは本当ですか?」
そんなことをバスから質問された。
それに対して父上は少し頭が痛そうな顔をして、母上は優雅に食事をしており、そしてフォルテは一人よくわからずにキョトンとしていたのが、俺はあまり気にせずに答えた。
「まあ、そうだね。誰から聞いたんだ?」
「城の侍女が噂しているのを聞きました。兄様が婚約者のために果敢に戦場に赴いたと皆が言っていたので・・・やっぱり兄様は凄いですね!」
キラキラした瞳を向けてくるバス。こんなに純粋だと、なんだか変な女にいつか利用されないかお兄ちゃん心配になるが・・・まあ、でも続編ヒロインの不穏さに気づいたくらいの勘の良さがあるから大丈夫か。
とはいえ・・・
「バス。私の行動は本来はあまり褒められたものではないのだ」
「何故ですか?兄様は執事がいたとはいえたった二人でエミリーさんを助けたのに・・・」
「んー・・・まあ、結果的にはな。でも、王族としてはあまり褒められた行動ではないんだよ。一応私は第一王子だからね」
王位継承権第一位であり、次期国王としてはたった二人で婚約者のために無謀な特攻を行ったなど、貴族からしたらあり得ないだろう。現にしきりに頷いている父上にも今回の俺の行動でいちゃもんをつけてくる貴族が多少はいるだろうし。
聡明なバスはその説明で理解したらしく、少ししゅんとしていたが・・・俺はそれに微笑んで言った。
「まあ、また同じことがあったとしても私はエミリーを助けるけどね」
「え・・・」
「というか、そもそもそういう問題は私が未然に阻止をして、エミリーを守るつもりだよ。今回の山賊騒動は私の落ち度からきたものだ。次なんて絶対にないだろうが、私は大切な人のためならどんなことでもするだろう」
まあ、他の貴族とかから何を言われようが、結果的にエミリーを守れるなら俺はなんでもするさ。ルールやマナーは守ろう。なるべく友好的な関係を築くことも怠ったりはしないが、それでも俺の中の一番はエミリーだ。
あの娘を・・・いや、あの娘にまつわることを全て俺は守ってみせる。これは誓いだ。俺は絶対にエミリーを守り抜いてみせる。
俺の言葉にぽかんとしていたバスだったが、次第に明るい表情を浮かべて言った。
「兄様はやっぱり凄いです!」
「ふふ・・・本当に面白く育ったわねアルト」
一連の会話を聞いていた母上がそう呟いた。
面白いか・・・
「まあ、私は母上の血を受け継いでいるので好きな人のためならなんでもしますよ」
「言うわね。ふふ」
「・・・アルト。あまり無茶はするな、と言っても無駄なのだろうが」
「父上にもご心配とご面倒をおかけします。その上でお願いがあるのですが・・・よろしいですか?」
俺のその言葉に父上は諦めたように頷いたので俺はそれに微笑んで言った。
「明日の夜会・・・私は場合によっては少し大きく動くかもしれません。その後の事後処理へのご協力と掃除のお願いです」
「・・・掃除?」
「ええ。正直、私は今回の騒動に対してかなり頭にきています。なので・・・」
そこで俺は一瞬だけ笑みに邪悪なものを混ぜつつもあくまで爽やかに言った。
「思い知らせてやるんですよ。誰の女に手を出そうとしたのかを、ね」
最初の一件があったとはいえ、それが逆に皆の緊張をといたのか自然と会話を楽しみながら食事ができた。
王族なら、食事の時のマナーなども厳しいはずだが、こういう時くらいは多少のことは多目に見ていいだろうという父上・・・いや、正確には母上からの進言を受けた父上の言葉で和やかに進んでいた。
「そういえば、兄様。あの、お聞きしたいのですが」
「ん?なんだ?」
「エミリーさんを助けるために執事と二人で戦場に向かったというのは本当ですか?」
そんなことをバスから質問された。
それに対して父上は少し頭が痛そうな顔をして、母上は優雅に食事をしており、そしてフォルテは一人よくわからずにキョトンとしていたのが、俺はあまり気にせずに答えた。
「まあ、そうだね。誰から聞いたんだ?」
「城の侍女が噂しているのを聞きました。兄様が婚約者のために果敢に戦場に赴いたと皆が言っていたので・・・やっぱり兄様は凄いですね!」
キラキラした瞳を向けてくるバス。こんなに純粋だと、なんだか変な女にいつか利用されないかお兄ちゃん心配になるが・・・まあ、でも続編ヒロインの不穏さに気づいたくらいの勘の良さがあるから大丈夫か。
とはいえ・・・
「バス。私の行動は本来はあまり褒められたものではないのだ」
「何故ですか?兄様は執事がいたとはいえたった二人でエミリーさんを助けたのに・・・」
「んー・・・まあ、結果的にはな。でも、王族としてはあまり褒められた行動ではないんだよ。一応私は第一王子だからね」
王位継承権第一位であり、次期国王としてはたった二人で婚約者のために無謀な特攻を行ったなど、貴族からしたらあり得ないだろう。現にしきりに頷いている父上にも今回の俺の行動でいちゃもんをつけてくる貴族が多少はいるだろうし。
聡明なバスはその説明で理解したらしく、少ししゅんとしていたが・・・俺はそれに微笑んで言った。
「まあ、また同じことがあったとしても私はエミリーを助けるけどね」
「え・・・」
「というか、そもそもそういう問題は私が未然に阻止をして、エミリーを守るつもりだよ。今回の山賊騒動は私の落ち度からきたものだ。次なんて絶対にないだろうが、私は大切な人のためならどんなことでもするだろう」
まあ、他の貴族とかから何を言われようが、結果的にエミリーを守れるなら俺はなんでもするさ。ルールやマナーは守ろう。なるべく友好的な関係を築くことも怠ったりはしないが、それでも俺の中の一番はエミリーだ。
あの娘を・・・いや、あの娘にまつわることを全て俺は守ってみせる。これは誓いだ。俺は絶対にエミリーを守り抜いてみせる。
俺の言葉にぽかんとしていたバスだったが、次第に明るい表情を浮かべて言った。
「兄様はやっぱり凄いです!」
「ふふ・・・本当に面白く育ったわねアルト」
一連の会話を聞いていた母上がそう呟いた。
面白いか・・・
「まあ、私は母上の血を受け継いでいるので好きな人のためならなんでもしますよ」
「言うわね。ふふ」
「・・・アルト。あまり無茶はするな、と言っても無駄なのだろうが」
「父上にもご心配とご面倒をおかけします。その上でお願いがあるのですが・・・よろしいですか?」
俺のその言葉に父上は諦めたように頷いたので俺はそれに微笑んで言った。
「明日の夜会・・・私は場合によっては少し大きく動くかもしれません。その後の事後処理へのご協力と掃除のお願いです」
「・・・掃除?」
「ええ。正直、私は今回の騒動に対してかなり頭にきています。なので・・・」
そこで俺は一瞬だけ笑みに邪悪なものを混ぜつつもあくまで爽やかに言った。
「思い知らせてやるんですよ。誰の女に手を出そうとしたのかを、ね」
1
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢はおねぇ執事の溺愛に気付かない
As-me.com
恋愛
完結しました。
自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したと気付いたセリィナは悪役令嬢の悲惨なエンディングを思い出し、絶望して人間不信に陥った。
そんな中で、家族すらも信じられなくなっていたセリィナが唯一信じられるのは専属執事のライルだけだった。
ゲームには存在しないはずのライルは“おねぇ”だけど優しくて強くて……いつしかセリィナの特別な人になるのだった。
そしてセリィナは、いつしかライルに振り向いて欲しいと想いを募らせるようになるのだが……。
周りから見れば一目瞭然でも、セリィナだけが気付かないのである。
※こちらは「悪役令嬢とおねぇ執事」のリメイク版になります。基本の話はほとんど同じですが、所々変える予定です。
こちらが完結したら前の作品は消すかもしれませんのでご注意下さい。
ゆっくり亀更新です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました
宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。
しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。
断罪まであと一年と少し。
だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。
と意気込んだはいいけど
あれ?
婚約者様の様子がおかしいのだけど…
※ 4/26
内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる