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マノンside 1
しおりを挟む俺とリリーが初めて会ったのは建国祭のパーティーだった。
可愛くて愛嬌があるけど男を沢山引き連れているビッチ、そんな印象だった。
あの子、女の友達が居ないのか?
そう思った俺は多分リリーをじっ、と見すぎてしまったんだと思う。
視線に気付いたリリーは沢山の男性達に手を振って俺の方に向かって歩いてきた。
そして、はじめまして、とニッコリ歯を見せて笑ってきた。
貴族令嬢達は歯を見せて笑う、というのは淑女ではないと幼い時から教わっているからありえない光景だった。
でもそんなリリーに俺は釘付けになった。
パーティーの間、俺とリリーは2人で話し続けた。
すると、リリーは目を伏せながら
「私の両親は政略結婚だから愛がないの。そんな2人の姿を見てきたから私は愛のある結婚をしたいなぁって思って...今は色んな男性とお話してそういう人を探してるんです...っ!」
と俺に語ってきた。
それを聞いて、最初にビッチとか思ってしまったのが申し訳なく思った。
君ならできるよ、とリリーに微笑むと、あの歯を見せる笑顔でありがとう!とお礼を言われた。
それからというもの、俺はあのパーティーの後、リリーの取り巻きの中に入った。
学園が同じだったと知った。大体の貴族子息達は同じ学園に通っているのだが、俺はそれすら運命に感じた。
取り巻き達は基本的に男爵、子爵の奴らばかりだったから、俺は取り巻きの中でも1番地位が上だったからリリーは他の男達より俺を優先して絡んできた。
俺の中ではゆっくりとリリーと俺の愛を育んでいっている、そう思っていた時、俺に婚約の話がきた。
でも俺にはリリー以外考えられない、そう思ったから父上に正直に伝えることにした。
「父上!俺は心に決めた女性がいます!」
俺は父上からの許可もなしに執務室に入った。
すると、父上は俺を睨みながら
「......それは、リリー・アバズレーという男爵令嬢のことか?」
と言った。
なぜ知っているんだ?と思ったが、まぁその方が話も早いからスルーした。
「はい!俺とリリーは愛し合っています!俺はリリー以外考えられません!」
父上はそんな俺を見てため息をついていた。
「愛し合っているというならば明日にでも婚約を申し込んでみろ。断られるだろうけどな」
断られたら婚約を受けるからな、と父上に言われた。
でも、リリーが受けてくれたら俺と結婚することが出来るということだ。
そう思った俺は
「......わかりました。なら明日リリーに婚約を申し込んできます。絶対に受けてくれます」
と自信満々に答えた。
なぜ断られるんだ?
リリーは俺に愛してると言ってくれてるんだ。断るわけがない!
意気揚々と次の日を楽しみにして布団に入った。
次の日、
「ごめんなさい...っ、まさか...マノン様からそんなことを言われるなんて.........」
リリーに婚約を申し込んだ俺は断られた。
周りの子息達はクスクスと笑ってこっちを見ている。
一方リリーは、勘違いさせちゃってごめんなさい......としおらしく謝ってきた。
正直断られるなんて全く思っていなかった俺は、リリーと取り巻き達が居なくなった後も、その場から動くことが出来なかった。
そして俺はリリーの取り巻きを辞めた。
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