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7話

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もう相手をするのも面倒ですので、早くここを離れるとしましょうか。

そう思って

「皇帝様のところに案内してもらっても良いですか?」

と男性に言うと

「おい、普通は自分の旦那に対しての挨拶が先だろう?」

.........は?

国で1番の権力者より先に自分に挨拶をしろとか頭がおかしいんじゃありませんの?

もうここに来てからため息が止まりませんわね。

すると、私の態度が気に食わなかった殿下は

「なんだ!その態度!」

と再び近付いて来ようとしたので

「私が到着しても迎えにこないで女と遊んでいる人が何を言ってるんでしょう?」

とりあえず、ここまで我慢したんですから怒ってもいいですわよね?

そう思って言い返したんですが、まさかそんなことをされると思っていない殿下は

「なっ!」

と驚いた顔をしています。

間抜けな顔ですわね。

「それから、私は貴方ではなく皇帝様に呼ばれてきたんです。だったら先にそちらに挨拶するのは当然でしょう?」

ここまで言うと、もう何も言ってこないでしょう。

だって、私の方が言っていることは正しいですからね。

そう思ったので再び男性に

「案内してちょうだい」

と頼むと殿下は

「ふんっ!あんな死に損ないのところに行って何になるんだ!」

「.........死に損ない?」

どういうことですの?

......もしかして、今王宮がバタついているのも皇帝に何かあったから、ということですか?

「あんなに弱って、もう時間の問題でしかないな!」

なぜこの男は自分の父親が死にかけているのに、そんな嬉々とした表情で語っているのでしょう?

あぁ......ダメですわ。

1度収まった怒りがフツフツと込み上げてくるのが自分でもよくわかります。

「......ということは、貴方は自分の父親が死にそうになっているというのに女と遊び呆けているんですね?」

「だったら何だって言うんだ?お前には関係ないだろう?」

「わかりましたわ」

私はそう言うと、思いっきり殿下の頬に平手打ちをしました。

まぁ、いわゆるビンタってやつですわね。

「なっ、何をする!」

「で、殿下ぁ?大丈夫ですか?」

「何をする、ですって?自分の親が死にそうな時によくそんなことが言えますわね!」

私がそう言うと、殿下は唖然とした表情で突っ立っています。

はぁ......とてもみっともないですわ。

それから、

「そこの女も!よくそんな男と一緒にいれますわ!どうせ自分が死ぬ時もこんな感じで笑って済まされるんですのよ!?」

結婚したら私のこともこうやって、笑って話をするんでしょうね。

そう考えると腹立たしくて仕方ありませんわ。

すると殿下の隣にいる女は

「別に~、今が良ければ関係ないし」

髪の毛をいじりながらそう言いました。

「そうですか。では貴方に話すことはありませんわ」

もう構っていられませんわ。

でしたら尚更、皇帝様のところに急がなければ。

そう思って男性に目で合図を送ると

「......どこへ行くんだ」

まだそんなことを言いますのね。

思わず溜息をつきながら

「皇帝様のところに決まっていますわ」

と答えてしまいました。

まぁ、ビンタまでしているんですからこれくらいは許されるでしょう。

男性が少し焦りながら案内をしようとしているので、立ち去る前に

「死ぬ、ということはどういうことかわかっていますの?一生会えなくなるんですのよ?」

そう言ってその場を後にしました。
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