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67話
しおりを挟むメイド長は、今まで見たことがないくらいに怒っていて、でもそれに気付かない3人は、ひたすらメイド長のことをバカにしていますわ。
なんだか私が言われているわけではありませんが腹が立ちますわね。
バカ3人はメイド長に
「えぇ~、怖い怖い」
「お、もしかして私たちが令嬢らしからぬ言葉遣いだから怒ってる~?」
「えぇ!でも、最近街に出すぎて貴族の喋り方なんて忘れてしまいましたわぁ~」
そう言ってクスクスと笑っています。
はぁ.......本当にみっともないですわ。
そう思っていると、メイド長が
「いい加減にしてください。この時間は皇帝も仕事をしている時間なんです」
そう言って3人を睨みつけましたが、全く効果がありませんわね。
「だから何よ~」
なんて小躍りしながらヘラヘラと笑っていますわ。
さて、メイド長はどうするんでしょう?
そう思って眺めていると
「ここで騒いでも私は構いませんが、王宮に来ている貴族たち全員がこれを見ていることを忘れないでくださいね。それぞれの家に連絡がいくと思いますよ」
と言いましたわ。
これには3人も驚いたようで
「なっ.........」
と言葉を失っていますわね。
でも、メイド長の言っていることは正しいですわ。
さっきから、王宮に用事のある、しかも公爵や侯爵の人達がこの騒ぎをチラチラと眺めていますもの。
この3人は伯爵家が一番上。
ということは侯爵や公爵からお前の娘がー、なんて話があるとどうなることでしょうね。
いくら酔っぱらっていても、自分の父親に話が行くのはまずいと理解したのか
「い、行きますわよ!」
とディアナ様が言うと逃げるようにその場から立ち去りましたわ。
それを見たメイド長は大きくため息をついていますが、思ったよりやりますわね。
これで、本当に私の味方です、と言われたら心強いかもしれませんわ。
ということで、私は早速今あったことをアルフレッド様に報告しましたわ。
一部始終、顔をしかめて聞いていましたが、メイド長がーという話をすると
「ほう........そんなことがあったのか」
と感心したような顔に変わりましたわ。
これに関しては私もアルフレッド様と同じで感心していますわよ。
ただ、信用できる人なのか、ということはまた別の問題ですけどね。
メイド長に感心しているアルフレッド様に
「えぇ、流石に驚いて仕事をするはずが執務室に来てしまいましたわ」
頬に手を当てて、ニコニコしながらそう言うと、横で話を聞いていたフェルマー様が
「で、でもその3人凄いですね。王宮でそんな騒ぎを起こすなんて正気の沙汰じゃありませんよ」
そう言ってきましたわ。
「まぁ、正気ではないかもしれませんわ。だいぶお酒が入っていたみたいですし」
まぁ、あの人たちならあれで正気と言われても納得しますけどね。
と心の中で呟くと、アルフレッド様は
「酒........?」
と眉をひそめていますわね。
そういえば、夜に外出している、という報告はしましたが、何をしているのか、というのは知りませんでしたものね。
私はロンに調査してもらっているおかげで、結構情報が集まってきていますわよ。
アルフレッド様に
「外で大量に飲んできたんでしょうね」
そう言うと、大きくため息をついてしまいましたわ。
でも、酒だけなら、まだため息で許せますが、他もあったらどうなるんでしょう。
そう思いながら
「あ、それから彼女たちはアルフレッド様に好かれていることを信じて疑っていませんわ。一旦釘でも打たないと大変なことになりますわよ」
今日思ったんですの。
お酒を飲んだにしても、アルフレッド様の所に行くと騒いでいた、ということは自分に何かしらのチャンスがあると思ってのことです。
私からしてみるとチャンスなどありませんよ、と思いますが、彼女たちは私のせいで皇帝はおかしくなった、と思っているんです。
だからこそ、どうにかして、元の皇帝に戻そうと必死になっているんでしょうね。
ということは、あの3人は私がどうにかするというよりアルフレッド様がどうにかするしか、方法がないと思いますのよね。
そこのところ、どう考えているんでしょう?
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