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289話 アルフレッドside
しおりを挟む俺とリオンがフェルマーの態度を不審に思いながら、父上とフェルマーの会話を聞いていると
「なんでこんなことをした?」
と物凄い圧を出して聞く父上に、フェルマーは
「い、いや.......別に理由なんて........」
ボソボソとこう答えるだけで、昨日のあの態度を見た後では聞いているこっちまで苛立ってくるな。
昨日のようにハッキリと言えば良いじゃないか。
お前たちに答えることは一切ない、と父上にも言えばいい。
なんて思っていると、父上が
「反皇妃派を作った、ということ儂の決めたアルフレッドの結婚相手が反対だったんだな」
と言ったので、少しフェルマーの表情が強張ったような気がしたが.....。
「あの時、お前にもどう思うか聞いたはずだろう。それなのに、なぜこんなことをしているんだ?」
って、そうだったのか!?
てっきり父上だけの独断で決めたからこそ、今回のように反対の奴らが出てきたんだと思っていた。
父上の話が本当なら、なぜフェルマーはユーフェミアを苦しめる様な事をしているのか理解が出来ないな。
そう思いながら、フェルマーを睨みつけていると、流石に我慢の限界を迎えたのか父上が
「答えろと言っているんだ!なぜこんなことをした!」
とフェルマーに怒鳴りつけたではないか。
現役を引退したのに、父上はまだこのような声が出るんだな。
ちょっと驚いてしまった。
だが、そんな状況でもフェルマーは
「別に......理由なんてないと言っているではありませんか」
最初よりも少し声の大きさが大きくなっただけで、ボソボソと全く同じことを答えるだけだった。
はぁ.....流石に腹立たしくなってきたな。
なんでこんな奴に、追い詰められるような状況になったのか理解が出来ない。
「だったらなぜ皇帝が変わってから急にこのようなことばかりやっているんだ。お前にはアルフレッドを任せた、と儂は言ったはずだが?」
父上がそう言うがフェルマーは黙ったまま。
本当に何がしたいんだ?
そう思っていると、父上の
「誰も国を混乱させるように頼んでおらんわ!」
という言葉で.....なのかはわからないが、急にフェルマーが
「うるさいですねぇ...........別に理由なんてないと言っているではありませんか」
昨日俺たちと話していた時のような口調で父上に話しかけた。
それを聞いた父上は
「ふんっ!最初から本性を出して話さんかい!」
なんて言っていたが、もしかしてわざとフェルマーを苛立たせるために怒鳴ったのか?
もしそうだとしたら、父上も策士......いや、フェルマーのことをよくわかっているからこそ出来ることだな。
なんて思っていると、今までボソボソと話をしていたフェルマーは本当に化けの皮がはがれたように
「あーあ、せっかく国を混乱させて楽しんでやろうと思ったのに、皇妃が意外と頭の回る奴で本当に厄介でしたよ」
と一気に話始めた。
さっきまでのあれは何だったんだ、と思うほどの変化だ。
でも父上は、そんなフェルマーに驚き訳でもなく、
「当然だ。国を良くする為に呼んだんだからな」
当然だ、とでも言うようにそう言って、フェルマーとの会話を楽しんでいるようにも見えた。
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