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つんでれ?

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    熱交換の魔道具をとりあえず五枚作って、校庭で実験してみた。
    一気に雪が溶けるほどの熱はないので、明日以降確認してみよう。

    次の日、授業が始まる前に確認してみたら、その煉瓦の上はちゃんと溶けていたし、敷かなかった所も周囲からの効果で邪魔にならない程度に溶けている。
    
    成功だ。冬の間はお店が閉まっている所が多いけど、これがあればみんな買い物に行くだろう。
    雪が溶けていれば、週末はランス達と過ごせるようになるかもしれない。

    これは私だけの発明じゃないから、亡き祖父の研究を受け継いだという事にしておこう。
    商業ギルドには錬金術は祖父に習ったと言ってあるし、丁度いい。

「この雪が溶けているのは、この煉瓦の魔道具なの?」
「うん…私のおじいちゃんは錬金術師だったから。亡くなる前にしていた研究を形にしただけ」
「最早何でもありだな。メイは。シュガーも錬金術を使うのか?」
「にゃーは面倒な事はしないにゃ」
「これ、商品化するの?」
「一応商業ギルドには登録するつもりだよ。勝手に煉瓦を交換できないし、私だけじゃ手も足りないから」

「メイは冒険者になるんじゃなかったの?」
「冒険者だよ?一応商業ギルドにも登録してるから、ポーションを納めたりもしたけど」
「それが分かればもう、野生児等と陰で言われる事もなくなるかもな」
「それって、誰が言い出したの?」
「さあな。だがクラス分けテストのシュガーとの模擬戦を見た後で私は聞いた」

「酷いよね…ていうか、絶対羨ましがっているだけだから、あんまり気にしない方がいいよ」
「姉妹揃って可愛いから、余計だろう」
「…まあ、シュガーは美人だよね」
「メイも可愛いにゃ!」
「姉妹で種族が違うのもあるが、あまり似てないのだな」
「シュガーはお父さんに似てるんだよ。獣人だし」

    並べるとあんまり似てないけど、これは仕方ない事だ。
    同室の友人と話して、教室に急いだ。
    
    週末、早速ギルドに持っていく。効果を説明したら、良く分からないみたいだ。
「例えば、地面に穴を掘って野菜が氷らないようにしたりするじゃないですか?それと同じで、地中は地上よりも冬の間は暖かいんですよ」

「ふむ…今まで多くの錬金術師がこの雪に打ち勝とうと努力して来ましたが、この発想は無かったですね。しかも魔石が要らないとは…メイさんのお祖父様は、大いなる偉業を成し遂げられた…是非生前にお会いしたかったですな。…結果が分かり次第、登録させて頂こう」
    オージェに会うのは…とても難しいかもね。でも商業ギルドの人なら、オージェを信仰してるかも?教会で会えたりは…

「それはそうとして、いつものお願いしますよ」
「はぁ…」
    鑑定か。まあ、お金は生きていくのに必要だけど、野菜や武器防具も作れちゃうから、困ってない。むしろゲーム内のお金が欲しい位だ。
    
    特に贅沢する気はないけど、いつか旅をしてみたいから、その為に頑張ろう。

    学校の図書館には、貸し出しは出来ないけど、数冊の本がある。
    これだけで図書館と言えるのか…主に勉強をする為の部屋なのかもしれない。

    ただ、あくまでも子供が読む本だ。字も大きく、ページ数も少ない。
    絵のない絵本のようだ。

    この光の勇者とか、本当にいたのかな?相対するのが魔王じゃなくて、突然変異した邪悪な魔物ってのが妙にリアルというか…

    この手のお話はどこにでもあるのだろう。

    ん?これはマナーの本か。パラ読みして、女性のお辞儀の仕方、カーテシーが図付きで載っている。
    これが貴族の…ちょっとやってみよう。
    スカートではなく、キュロットの端を持って、足を引いて …何気に難しいな。体幹が鍛えられそうだ。

「野生児がそんな事をしても優雅になんて見えませんわよ?」
    あ、同じクラスで確か領主の孫の…ええと。
「ソフィーリア    エウレン
ですわ。メイさん」
「あ、私の名前は知ってるんだね?」
「変な方に有名ですもの。それよりも、カーテシーはこうやるんですわ」
    おお。確か伯爵だっけ?さすがに貴族のお嬢様は違う。
    真似したけど、どこか違う。
「変に腰を落とし過ぎですわ…よくそれで姿勢を保てますわね」
    ところでこれ、試験に出たりするんだろうか?一般教養の教科書では、ほんの数行載ってたけど。

「教えてくれてありがとう。結構難しいね」
「べ、別に、暇だっただけですわ。お祖父様が管理されてる施設の調査のついでですわ」
    ぷいっと顔を背けると、見事なツインテドリルが表情を隠す。
 
   ツンデレ?良い子だけど、クラスでも何となく浮いてるのは、身分のせいなのか。
「ね、貴族の人でも冬は寮にいるの?」
「特別室ですけど。メイドもいますし」
    おー。生メイド、見てみたい!
「良かったら、遊びに行ってもいい?」
「な、何ですの、急に。馴れ馴れしいですわ!」
「あ…ごめん。部屋の中も違うんだろうなと思って」

    少し逡巡していたが、結局何の返答もなかったので、何か機会があればいいなと思う。

    
    スマホに毎日入る事も少し難しい。朝、鐘の音で起きるのは一緒だし、夜、ベッドに潜ると、みんなが寝静まる前に自分が寝てしまう。
    着替えの時間もほんの数分だけど、朝食に間に合うようにしてる為、気持ちが焦っている。
    消えている時間はほんの一瞬だと分かっているのだけど。

    苦肉の策?が、もふもふ時間だ。同室のみんなには、生暖かい目で見てもらっている。
    単にお姉ちゃんに甘えていると思っているのだろう。
    
    肉も残り少なくなってきたな…。フレイムから材料は調達してるけど、一週間あるいは二週間分となると、かなりの量だから、全てを賄うのは難しい。
    ランス達は無理しなくていいって言うけど、私がしてあげたいのだ。

    たくさんもふもふして、収納庫の中身を交換する。
(冬は魔物もあまり動かないから、狩るのが難しいのー)
(ダンジョンは別だがな)
    不思議な場所だよね。ダンジョンて。

「雪が溶けたら、少しだけ春休みがあるから、そうしたらシュガーも一緒にまたダンジョン攻略しようね」
    春が待ちどおしい。
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