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新しい魔法の利用
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幼稚園バスから降りると、いつものようにポチが走り寄ってくる。
「ただいま、ポチ」
足の周りをくるくる走り回って、歩きにくい。
今日はお母さんが一緒に潜る。勿論タマ達も一緒だ。
シチューを作ってくれるみたいだから、ウサギを狩る。
「お母さんが子供の頃は、ウサギの肉を食べるのは普通だったのよ。ウサギは繁殖力が高いから、いくら狩ってもいなくならないの」
「へえ…それって魔物じゃないんでしょう?」
「当然よ。その頃ダンジョンなんてなかったもの」
狩った肉片を、収納庫に仕舞う。ポチも、ドックフードよりもウサギ肉を好む。
その餌を、タマが横取りする事もあるけど、自分用に作られた物より横取りがいいみたい。
と、いうよりは上下関係かな?うちのペットのボスはタマなのだ。
そうするうちに、放出する前に杖に魔力を込めた状態で殴ると、魔力もそんなに使わずに倒せる事が分かった。
「それも魔法なの?」
「分かんない。杖…というか棒に魔力を込めて放出しないで叩いたらこうなった。お母さんもやってみたら?」
「魔力が分からないわ」
そっか。私にとっては慣れ親しんだ感覚でも、口で説明は難しいし、この世界は魔法は一般的じゃない。
それに、ダンジョンの外では魔法が使えない。
あれ?だけど放出しなかったら?この杖に魔力を込めて叩くだけなら、いけるかも?
肉片も充分集まったので、外に出る。
「ちょっと待って」
考えてみた事、試したい。
放出は出来ないけど…
力は入れずに、軽く木を叩く…ミシミシ、バキン!と凄い音がして、生えていた木が根元から砕けた。
「美優!」
木が周囲の木に当たりながら、ゆっくりと倒れてくる。逃げなきゃ!と思っても足が動かない。
寸前で何とか逃げ出すも、足を打った。
これは…ひびが入ったかな…
歩こうと、足に力を入れると酷く痛む。
「い、今救急車を呼ぶわ…」
「それは…いい。ダンジョンに連れてって?」
「でも!」
「いいから、はやくっ…」
動かないお母さんに焦れて、自分で行こうとするが、抱き上げられた。
「ダンジョンに入ればいいのね?」
ダンジョンに入った美優は、痛みを我慢して回復魔法を試みる。
「…っう」
やがて痛みは消えていった。
「美優?そんなに凄い魔法も使えるなんて、本物の魔法使いみたいね!」
…ええと、スキルのお陰かな?
「前にも転んだ傷とか治せたから、できるかなって。怪我なら治せるみたい。病気は無理だと思うけど」
前の世界でも、病気を治していたのは医師だ。
「それに私、みたいじゃなくて、本当に魔法を使えるんだから!」
「そうだったわね」
「さっきの木を折ったのも魔法?外では使えないんじゃなかったの?」
「うん…枝には魔力が通るから、どうなるか試したかった…ごめんなさい。おじいちゃんにも謝っておいて」
「その力は魔物相手にだけ使いましょうね」
頷く美優の頭を撫でてくれた。だけど、ダンジョンの外に魔物が出てきてもこれで対抗出来ると思う。
とはいえ、無謀だった。打ち所が悪ければ最悪死んでいたかもしれない。
ポチが、頻りに私の足を舐めてくれる。
「ポチにも心配かけたね。みんなごめんね?」
みんなを撫でている、反省している私にお母さんはそれ以上は言わず、暗くなる前に戻るようにだけ言った。
週末前にやっと手に入れた、投擲と命中。もうドッチボールも怖くない?…ボールを受け取るのは無理かも。
そうして、いつの間にか手に入れてた棒術のスキル。
鑑定のレベルも上がったのか、説明が微妙に長くなった。
私のレベルも8になって、少しずつ強くなってきたと思う。
トレント相手にも叩くやり方は通用する。他の冒険者がいる時にはこの方法がいいかも?
何のスキルか問われたら、棒術だと答えればいいし、本当に持ってるスキルだからね。
本当に強い冒険者は、どんどん奥まで進んでしまうし、近所の人なら悪意なく接してくれる。
そろそろ帰ろうかと思っていたら、翔真兄ちゃんが降りてきた。
「美優…と、ポチ達。もう4階層まで来たのか」
「翔真兄ちゃんは、今日は1人?」
「ん。まあな。剣技なんてスキル取れた割にはなかなか技も覚えられなくて。剣術の奴らはそれなりに技を編み出しているのに…夜とかも来てるんだけど、学校もあるし」
近付いてきたトレントに、ポチが咆哮弾を使う。
「…すげぇな。ポチ。まるで魔法じゃん」
「そうだね。でも私が倒さないと、手伝ってくれる感じかな。あ、翔真兄ちゃん、見てて、新技」
私は、トレントの枝で魔力を込めて叩く。と、枝を残して消滅した。
「それも魔法?」
「魔力を込めて叩いてるだけ。この方法だと魔力もあんまり使わなくて、長く戦える」
「魔力か…僕も魔法、使えたらな…」
「トレントの枝は、魔力を込めやすいから試してみたら?」
「そうだな…でも相手がトレントだと危ないな」
魔力が分からない翔真兄ちゃんだと、本当にぺしぺし叩いているだけだ。
スライムならそれでも倒せそうだけど、トレントは無理だ。
「翔真兄ちゃんは、何階層まで行ったの?」
「友達となら、5階層まで行ける。魔物は赤黒い鶏と、玉ねぎと、じゃがいもの魔物だ」
「野菜も魔物なんだね!それに、あと人参があればチキンカレーが作れるね!」
「じゃがいもは勢いよく飛んでくるし、玉ねぎは攻撃すると、目に染みるんだ。だから攻略も難しくて」
「うわ…」
それは嫌だな。
翔真兄ちゃんが踏み込んで集中、剣を一閃すると、トレントが消える。
「凄い!」
「一応、一閃って技?かな。唯一覚えた技だ。トレントには効くけど…」
「日本刀だと凄いんじゃない?時代劇みたいに」
「それな…物凄く高いんだ。扱いも難しいみたいだし」
翔真兄ちゃんは、ため息をついた。
「10階層を越えた冒険者は、剣圧を飛ばしたり出来た人もいるって」
「ポチのみたいに?」
「さあ?見た訳じゃないし…あ、と気をつけて。ペットが魔物に間違えられる事もあるから」
「でも、同じ種類の魔物しか出ないのに」
「でも、初めてその階層に来た冒険者には分からないだろう?」
「そうだね…分かった」
前世でもテイムされてる魔物を殺された話しを聞いた。
「ただいま、ポチ」
足の周りをくるくる走り回って、歩きにくい。
今日はお母さんが一緒に潜る。勿論タマ達も一緒だ。
シチューを作ってくれるみたいだから、ウサギを狩る。
「お母さんが子供の頃は、ウサギの肉を食べるのは普通だったのよ。ウサギは繁殖力が高いから、いくら狩ってもいなくならないの」
「へえ…それって魔物じゃないんでしょう?」
「当然よ。その頃ダンジョンなんてなかったもの」
狩った肉片を、収納庫に仕舞う。ポチも、ドックフードよりもウサギ肉を好む。
その餌を、タマが横取りする事もあるけど、自分用に作られた物より横取りがいいみたい。
と、いうよりは上下関係かな?うちのペットのボスはタマなのだ。
そうするうちに、放出する前に杖に魔力を込めた状態で殴ると、魔力もそんなに使わずに倒せる事が分かった。
「それも魔法なの?」
「分かんない。杖…というか棒に魔力を込めて放出しないで叩いたらこうなった。お母さんもやってみたら?」
「魔力が分からないわ」
そっか。私にとっては慣れ親しんだ感覚でも、口で説明は難しいし、この世界は魔法は一般的じゃない。
それに、ダンジョンの外では魔法が使えない。
あれ?だけど放出しなかったら?この杖に魔力を込めて叩くだけなら、いけるかも?
肉片も充分集まったので、外に出る。
「ちょっと待って」
考えてみた事、試したい。
放出は出来ないけど…
力は入れずに、軽く木を叩く…ミシミシ、バキン!と凄い音がして、生えていた木が根元から砕けた。
「美優!」
木が周囲の木に当たりながら、ゆっくりと倒れてくる。逃げなきゃ!と思っても足が動かない。
寸前で何とか逃げ出すも、足を打った。
これは…ひびが入ったかな…
歩こうと、足に力を入れると酷く痛む。
「い、今救急車を呼ぶわ…」
「それは…いい。ダンジョンに連れてって?」
「でも!」
「いいから、はやくっ…」
動かないお母さんに焦れて、自分で行こうとするが、抱き上げられた。
「ダンジョンに入ればいいのね?」
ダンジョンに入った美優は、痛みを我慢して回復魔法を試みる。
「…っう」
やがて痛みは消えていった。
「美優?そんなに凄い魔法も使えるなんて、本物の魔法使いみたいね!」
…ええと、スキルのお陰かな?
「前にも転んだ傷とか治せたから、できるかなって。怪我なら治せるみたい。病気は無理だと思うけど」
前の世界でも、病気を治していたのは医師だ。
「それに私、みたいじゃなくて、本当に魔法を使えるんだから!」
「そうだったわね」
「さっきの木を折ったのも魔法?外では使えないんじゃなかったの?」
「うん…枝には魔力が通るから、どうなるか試したかった…ごめんなさい。おじいちゃんにも謝っておいて」
「その力は魔物相手にだけ使いましょうね」
頷く美優の頭を撫でてくれた。だけど、ダンジョンの外に魔物が出てきてもこれで対抗出来ると思う。
とはいえ、無謀だった。打ち所が悪ければ最悪死んでいたかもしれない。
ポチが、頻りに私の足を舐めてくれる。
「ポチにも心配かけたね。みんなごめんね?」
みんなを撫でている、反省している私にお母さんはそれ以上は言わず、暗くなる前に戻るようにだけ言った。
週末前にやっと手に入れた、投擲と命中。もうドッチボールも怖くない?…ボールを受け取るのは無理かも。
そうして、いつの間にか手に入れてた棒術のスキル。
鑑定のレベルも上がったのか、説明が微妙に長くなった。
私のレベルも8になって、少しずつ強くなってきたと思う。
トレント相手にも叩くやり方は通用する。他の冒険者がいる時にはこの方法がいいかも?
何のスキルか問われたら、棒術だと答えればいいし、本当に持ってるスキルだからね。
本当に強い冒険者は、どんどん奥まで進んでしまうし、近所の人なら悪意なく接してくれる。
そろそろ帰ろうかと思っていたら、翔真兄ちゃんが降りてきた。
「美優…と、ポチ達。もう4階層まで来たのか」
「翔真兄ちゃんは、今日は1人?」
「ん。まあな。剣技なんてスキル取れた割にはなかなか技も覚えられなくて。剣術の奴らはそれなりに技を編み出しているのに…夜とかも来てるんだけど、学校もあるし」
近付いてきたトレントに、ポチが咆哮弾を使う。
「…すげぇな。ポチ。まるで魔法じゃん」
「そうだね。でも私が倒さないと、手伝ってくれる感じかな。あ、翔真兄ちゃん、見てて、新技」
私は、トレントの枝で魔力を込めて叩く。と、枝を残して消滅した。
「それも魔法?」
「魔力を込めて叩いてるだけ。この方法だと魔力もあんまり使わなくて、長く戦える」
「魔力か…僕も魔法、使えたらな…」
「トレントの枝は、魔力を込めやすいから試してみたら?」
「そうだな…でも相手がトレントだと危ないな」
魔力が分からない翔真兄ちゃんだと、本当にぺしぺし叩いているだけだ。
スライムならそれでも倒せそうだけど、トレントは無理だ。
「翔真兄ちゃんは、何階層まで行ったの?」
「友達となら、5階層まで行ける。魔物は赤黒い鶏と、玉ねぎと、じゃがいもの魔物だ」
「野菜も魔物なんだね!それに、あと人参があればチキンカレーが作れるね!」
「じゃがいもは勢いよく飛んでくるし、玉ねぎは攻撃すると、目に染みるんだ。だから攻略も難しくて」
「うわ…」
それは嫌だな。
翔真兄ちゃんが踏み込んで集中、剣を一閃すると、トレントが消える。
「凄い!」
「一応、一閃って技?かな。唯一覚えた技だ。トレントには効くけど…」
「日本刀だと凄いんじゃない?時代劇みたいに」
「それな…物凄く高いんだ。扱いも難しいみたいだし」
翔真兄ちゃんは、ため息をついた。
「10階層を越えた冒険者は、剣圧を飛ばしたり出来た人もいるって」
「ポチのみたいに?」
「さあ?見た訳じゃないし…あ、と気をつけて。ペットが魔物に間違えられる事もあるから」
「でも、同じ種類の魔物しか出ないのに」
「でも、初めてその階層に来た冒険者には分からないだろう?」
「そうだね…分かった」
前世でもテイムされてる魔物を殺された話しを聞いた。
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