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カイと魚の切り身
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「は……?!」
階段を降りたら、湖だった。危うく落ちかけたけど、ポチが咥えて踏ん張ってくれた。
「び…びっくりした」
(本当よ!気をつけなさいよ!)
迷路状にはなっていなくて、フロア全体が一段低くなってて、そこが水だらけだ。杖を入れてみたら、何かが噛みつく気配があって引き上げると、目を赤く光らせた魚が食いついていた。
怖っ!
鑑定 鮭 魔化した鮭だが毒はない。噛みつきに注意
うわ…魚の魔物か。鮭は好きだけど、顔がごつくなって、牙が凄い。
渡る方法は…湖の所々に転々と足場が見える。
ジャンプで渡れと?いや、無理でしょう。
「よし…魔力投網」
範囲指定して魔力で造り出した投網で、一網打尽にする…うわ。流石に重い。腕に強化をかけて引っ張り上げる。
鮭以外にもいるな…岩魚に虹鱒に…え?ホッケ?サンマ?節操なしにいるな…魔化したものだから、環境に適応出来ているんだろうけど。
それじゃ、雷魔法。
一気に仕留めて収納庫へ。家族が喜ぶ顔が目に浮かぶ。
海人君が心配だから1階層に戻ってみると、スライム叩きしてた。
「何か嬉しそう?」
「えへへ…お魚いっぱいなんだ」
「…は?」
「海人君は何かスキル取れそう?」
「ああ。槌術ってのが…ハンマーじゃないんだな」
「木製だから?というか、その武器のチョイスはどんな理由から?」
「これは…鍛冶のスキルが取れないかと思って…い、色々調べたんだよ。取れれば家の役に立つかな…って」
「そんな珍しいスキル、持ってる人いるのかな?冒険者の書にも載ってないよね?」
「アドベンチャーショップの本社にはいるらしい。ネットに載せないのは…まあ、色々あるんだろ」
商売敵との差をつける為…とか?
「美優の魔法は前世からのスキルなんだよな?」
「そうだね。新しく取れたのは…棒術って事にしてるけど…本当は鑑定」
「!な…凄いレアスキルじゃん魔法って、前世は魔術師だったのか?」
「魔法の先生だった。海人君は錬金術師?」
「ああ…ミュウランって、知って…まさか」
私の表情を見て、何かを察した海人君が、目を見開く。
「カイ…なの?」
私の前世での夫。錬金術師のカイ。
まさか…会えるなんて。
嬉しくて抱きついてしまったけど、今の私はミュウランじゃなくて、藤林美優だ。
「ミュウラン…無事…じゃないな。会えて良かった」
「そうだね…カイ。小さくなったね」
「それはお互い様だ。当たり前だけど、昔の面影は全くないな」
「運動神経が微妙な所は一緒だけど…色々と同じ所もあるよ」
「それは僕も思ったよ…残念ながら薬の調合は難しいけどな」
「同じ草はないけど、似た効果がある物なら見つけられるかもよ?」
「!そうか…鑑定」
「そう。鑑定には魔力が要らないから、外でも使える」
「それに、魔鉄もあるから…」
「ふふっ…色々作れるね!」
前世でのカイは強かった…錬金術師は自分で素材を集める人と、採取者に頼る人がいたけど、カイは自分で集めに行く人だった。
私も負けてなかったよ?次の試験が行われていたら、魔道師の資格だって取れてたかもしれない。
でも、もっと鑑定のレベルを上げて詳しい説明が見られないと効果のあるなしは厳しいかも。
同じ物を鑑定してもレベルは上がらないんだったよね…確か。 色々鑑定してみるしかない。
家に戻って魚を出して、少し驚いた。捌き済みというか…切り身状態の物もある。
「凄い量ね…みんな美優が狩ったの?」
「魔力を糸にして、引き上げて一辺に魔法で倒したから楽だったよ?暫く魚には困らないね」
「そうね…何故海の魚と川の魚が混ざっているかは疑問だけど、追及出来ないものね。どうでもいいし。仕分けが大変ね…」
「手伝う?」
「でも、どれが何の魚とか分からないでしょう?」
鑑定は家族でもあまり言いたくないな…魔法だけで随分心配かけちゃってるもんね。
刺身にする魚も結構ある。おじいちゃんが張り切って捌くのを手伝っている。
サンマ、アジ、フグなんてものもいて、それは危険だから食べるのは止めるそうだ。
残念。マグロはいなさそう。一番大型でもブリかな。一匹分はないけど、身や皮の感じで見分けるおじいちゃんも凄い。
勿論、焼き魚にする物も分けて冷凍するみたいだ。
お刺身美味しい!鑑定しながら食べていたけど、途中から面倒になって、そのまま食べていた。
鑑定したら殆ど全部生食可能だったから、大丈夫。
ふと視線を感じて、あっと思った。
「おじいちゃん、タマ達にもあげないと!」
「う…そうだったな」
サーモンの端っこをちょっと貰えたタマ。残念ながらポチとピヨちゃんには今日の所はお預けだ。
「今日の刺身は旨いな!」
「美優のお陰よ。魔法って凄いわ…あなたのお腹も美優の魔法にかかったのかしらね?」
「俺も、美優に敗けないように頑張らないとな!最近、体の調子もいいし」
あんまり疲れなくなったのはレベルのお陰かもしれないけど、お父さんのお腹が引っ込んでから2人は更にラブラブになった。
私とカイのこれからは…どうなるのかな?家族だったから親愛の情はあるけど、お互いにパートナーって感覚が強いかな。
子供もいなかったし、お互いに忙しかった。
これからどうなったとしても、信頼はある。お互いに良い関係でいられたらいいな。
階段を降りたら、湖だった。危うく落ちかけたけど、ポチが咥えて踏ん張ってくれた。
「び…びっくりした」
(本当よ!気をつけなさいよ!)
迷路状にはなっていなくて、フロア全体が一段低くなってて、そこが水だらけだ。杖を入れてみたら、何かが噛みつく気配があって引き上げると、目を赤く光らせた魚が食いついていた。
怖っ!
鑑定 鮭 魔化した鮭だが毒はない。噛みつきに注意
うわ…魚の魔物か。鮭は好きだけど、顔がごつくなって、牙が凄い。
渡る方法は…湖の所々に転々と足場が見える。
ジャンプで渡れと?いや、無理でしょう。
「よし…魔力投網」
範囲指定して魔力で造り出した投網で、一網打尽にする…うわ。流石に重い。腕に強化をかけて引っ張り上げる。
鮭以外にもいるな…岩魚に虹鱒に…え?ホッケ?サンマ?節操なしにいるな…魔化したものだから、環境に適応出来ているんだろうけど。
それじゃ、雷魔法。
一気に仕留めて収納庫へ。家族が喜ぶ顔が目に浮かぶ。
海人君が心配だから1階層に戻ってみると、スライム叩きしてた。
「何か嬉しそう?」
「えへへ…お魚いっぱいなんだ」
「…は?」
「海人君は何かスキル取れそう?」
「ああ。槌術ってのが…ハンマーじゃないんだな」
「木製だから?というか、その武器のチョイスはどんな理由から?」
「これは…鍛冶のスキルが取れないかと思って…い、色々調べたんだよ。取れれば家の役に立つかな…って」
「そんな珍しいスキル、持ってる人いるのかな?冒険者の書にも載ってないよね?」
「アドベンチャーショップの本社にはいるらしい。ネットに載せないのは…まあ、色々あるんだろ」
商売敵との差をつける為…とか?
「美優の魔法は前世からのスキルなんだよな?」
「そうだね。新しく取れたのは…棒術って事にしてるけど…本当は鑑定」
「!な…凄いレアスキルじゃん魔法って、前世は魔術師だったのか?」
「魔法の先生だった。海人君は錬金術師?」
「ああ…ミュウランって、知って…まさか」
私の表情を見て、何かを察した海人君が、目を見開く。
「カイ…なの?」
私の前世での夫。錬金術師のカイ。
まさか…会えるなんて。
嬉しくて抱きついてしまったけど、今の私はミュウランじゃなくて、藤林美優だ。
「ミュウラン…無事…じゃないな。会えて良かった」
「そうだね…カイ。小さくなったね」
「それはお互い様だ。当たり前だけど、昔の面影は全くないな」
「運動神経が微妙な所は一緒だけど…色々と同じ所もあるよ」
「それは僕も思ったよ…残念ながら薬の調合は難しいけどな」
「同じ草はないけど、似た効果がある物なら見つけられるかもよ?」
「!そうか…鑑定」
「そう。鑑定には魔力が要らないから、外でも使える」
「それに、魔鉄もあるから…」
「ふふっ…色々作れるね!」
前世でのカイは強かった…錬金術師は自分で素材を集める人と、採取者に頼る人がいたけど、カイは自分で集めに行く人だった。
私も負けてなかったよ?次の試験が行われていたら、魔道師の資格だって取れてたかもしれない。
でも、もっと鑑定のレベルを上げて詳しい説明が見られないと効果のあるなしは厳しいかも。
同じ物を鑑定してもレベルは上がらないんだったよね…確か。 色々鑑定してみるしかない。
家に戻って魚を出して、少し驚いた。捌き済みというか…切り身状態の物もある。
「凄い量ね…みんな美優が狩ったの?」
「魔力を糸にして、引き上げて一辺に魔法で倒したから楽だったよ?暫く魚には困らないね」
「そうね…何故海の魚と川の魚が混ざっているかは疑問だけど、追及出来ないものね。どうでもいいし。仕分けが大変ね…」
「手伝う?」
「でも、どれが何の魚とか分からないでしょう?」
鑑定は家族でもあまり言いたくないな…魔法だけで随分心配かけちゃってるもんね。
刺身にする魚も結構ある。おじいちゃんが張り切って捌くのを手伝っている。
サンマ、アジ、フグなんてものもいて、それは危険だから食べるのは止めるそうだ。
残念。マグロはいなさそう。一番大型でもブリかな。一匹分はないけど、身や皮の感じで見分けるおじいちゃんも凄い。
勿論、焼き魚にする物も分けて冷凍するみたいだ。
お刺身美味しい!鑑定しながら食べていたけど、途中から面倒になって、そのまま食べていた。
鑑定したら殆ど全部生食可能だったから、大丈夫。
ふと視線を感じて、あっと思った。
「おじいちゃん、タマ達にもあげないと!」
「う…そうだったな」
サーモンの端っこをちょっと貰えたタマ。残念ながらポチとピヨちゃんには今日の所はお預けだ。
「今日の刺身は旨いな!」
「美優のお陰よ。魔法って凄いわ…あなたのお腹も美優の魔法にかかったのかしらね?」
「俺も、美優に敗けないように頑張らないとな!最近、体の調子もいいし」
あんまり疲れなくなったのはレベルのお陰かもしれないけど、お父さんのお腹が引っ込んでから2人は更にラブラブになった。
私とカイのこれからは…どうなるのかな?家族だったから親愛の情はあるけど、お互いにパートナーって感覚が強いかな。
子供もいなかったし、お互いに忙しかった。
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