裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる

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東京防衛隊

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    軒下に出来た氷柱を棒で落として、昨日作った雪だるまに刺して、手にする。
「あ、日野さん」
    マジックバッグに関して色々細かい注文を説明してくれたり、最近は海人君のポーションを引き取り始めた、アドベンチャーショップの本社の人だ。

「メールの返信がなかったから、突然訪ねてくる事になっちゃったの」
「あ、学校から帰ってきて、そのまま遊んだから。ごめんなさい」

「いいのよ。それより保護者の方はいらっしゃる?」
「お母さんは、亮太が熱出したから、病院に。おじいちゃんとおばあちゃんはいるけど」

「じゃあ、少し待たせてもらうわね」
    何だろう?マジックバッグの仕事が終わったのかな?

   お母さんを待つ間、学校の事やダンジョンの事などを話して、そろそろ27階層に進む事などを話す。

    お母さんが帰ってきた。亮太を抱っこしたまま、話す。


「えっ…美優を新宿ダンジョンに?」
「はい。是非東京防衛隊の臨時メンバーとして異変を解決して欲しいのです」
    ワイバーンには矢が刺さりにくい。勿論、大人の魔法使いにも頼んだが、ワイバーンを抑える事が出来る程の人はいなくて、すぐ魔力切れを起こしてしまう。

「春休みになら行けるけど…私が色々な魔法を使える事は、あんまり言わないで欲しい」
「美優!」

「それは勿論。天井もかなり高いけれど、美優ちゃんは大丈夫だと思う?」
「ドラゴン相手は無理だけど、ワイバーンなら倒せると思う。下にいるアルマジロみたいな魔物は東京防衛隊の人達がやってくれるんでしょう?」

「それは勿論。ドラゴンも、引き付ける秘策があるから大丈夫って」
    確かに、東京でスタンピードが起こったら多くの犠牲者が出そう。

「でも…美優はまだ小学生で。すごく不安だわ」
    東京の危機と、私の危険。それでお母さんは迷ってるみたいだ。
「駄目そうなら、いつでも家に帰れるし、一流の冒険者がどんな風に戦うか、興味ある…いいでしょ?春休み中に終わるようにするから」

「私も、できる限りサポートします。それに東京防衛隊は
我が社がスポンサーしているパーティーなので、人柄も分かっているし、信頼も置けます。勿論、美優ちゃんに無理だと判断したら、無理は一切させません」

    でも私、新宿ダンジョンは入った事ないから1階層からになるんだけど、それは大丈夫なのかな?

    魔法スキルを得た人達は、その魔法だけを使っているのかな?まあ…魔力を効率よく使う為に、魔力操作を毎日やったりしないのかも。
    それに私には魔力自動回復もあるし、マジックベリーを格安で海人君に作ってもらえる。

    東京に行く話しをしたら、凄く羨ましがられたけど、タマ達は連れて行けないし、代わりに海人君の手助けをしてもらう話しをしたら、喜んでいた。現金だな。

    学校を休んでまでは行けないので、春休みに入ったらすぐに向かう事になる。日野さんの運転で、車でだ。

    色々と準備して、接触冷感の皮よりウサギの皮のマジックバッグを選ぶ。

    朝に出たはずなのに、車の中で寝てたら、大都会に着いた。
「すごーい!やっぱり東京って凄く都会だね!」

「ええと、ここは埼玉県よ。パーティーハウスがあるのは埼玉なの」
    寝てたから分からない。いや、起きていても分からなかったと思うけど。
「丁度お昼だし、食べたら行きましょう」

    久しぶりの外食だね!…で、お寿司屋さんに入ってびっくり!新幹線がお寿司を運んでくるんだよ!初めて見たから、子供みたくはしゃいじゃった。

    新幹線が走るお寿司屋さんなんて、隣の市にもあるかどうか。
    駅の反対側の、国道沿いにならあるかもしれないけど、ちょっと遠い。

    パーティーハウスは、一軒家にアパートがくっついたような形をしていた。
    一軒家の方がメンバー達の集まるルームで、アパートの方がメンバー達の個室だと。

    呼び鈴を押して。迎えてくれたのは、綺麗なお姉さんだ。
「お久しぶりです、日野さん。…あの、もしかしなくても小学生?」
「あら?伝わっていなかったかしら?」
「学生だとは聞いた気が…」
    お姉さんは、不安そうに私を見る。

「ごめんなさい、私は弓使いの白猫です」
    勿論本名じゃない。個人を特定されない為に、冒険者は皆、冒険者ネームを名乗っている。

    白猫さんに案内されて広い応接室に入る。
「イエスロリータ!ノータッチ!」
「こらゲン!」

    あ、日野さんの額に怒りのマークが。
「す、すまん!悪い奴じゃないし、後でよく言い聞かせるから!」

    ガタイのいい男の横で、奇声を発したゴツい人が呻く。
「リーダー、頼みますよ?」
「勿論。驚かせてごめんね?俺は東京防衛隊のリーダー、まっちゃんだ。で、この失礼な奴が大盾使いのゲン。玄関まで出たのが弓使いの白猫。髪染めてるのが両手斧使いのマシュー。で、紅一点、槍使いだが魔法も使えるカナタ」

「紅一点て、私も女よ!カナタみたいに可愛くないけど!」
    白猫がリーダーに抗議する。怒らせると怖い美人さんだね。

「魔法っていっても実用に耐える物でもなくて、すぐ魔力切れしちゃうんだけど」

    10代から20代後半位のパーティーで、恐らく関東では最強の実力があるらしい。
    新宿ダンジョンの最下層記録を塗り替えてるのも彼らのようだ。

「で…、日野ちゃん、最終到達階層が26階層ってマジ?」

    まあ、信じられないだろうね。きっと皆さんは潜った事もない田舎のダンジョンだしね。

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