【完結】一夜の過ちで、社長の子を妊娠しました〜妊娠がバレたら、社長の溺愛が限界突破しました〜

来栖れいな

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番外編7・家族旅行ー前編ー

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「……これで、全部入れました!」

詩織は胸を張って、リビングに並んだ荷物を指さした。

スーツケース、おむつバッグ、おやつ袋、タオル、蒼生がお気に入りの白いくまのぬいぐるみ……
準備万端――のはずだった。

「よし、じゃあ出発――」

「……詩織」

荷物をチェックしていた怜司が、ふと眉をひそめた。

「蒼生の帽子がない」

「……えっ?」

詩織はきょとんとし、慌ててスーツケースを開けようとする。

「あっ、わ、わすれた……!」

「……やっぱりな」

怜司は無言でクローゼットに向かい、
用意してあったふわふわの防寒用の帽子を取り出した。

「防寒グッズはまとめたって言ってたろ」

「ご、ごめんなさい……」

小さく肩をすぼめる詩織に、怜司はため息をつきながら、
そっと帽子を蒼生のリュックに押し込んだ。

「焦らなくていい。時間は十分ある」

「……はい」


車に乗り込むとき、怜司はまず蒼生をチャイルドシートに固定し、
その隣に詩織が乗った。

「ちゃんと締めたか?」

「はい、大丈夫です!」

念入りに確認しながら、詩織はにっこり笑った。

怜司は一つ頷き、運転席に乗り込む。

「じゃ、行くぞ」

「いこうー!」

蒼生が後ろから元気に叫ぶ。


車は静かに発進した。

後部座席では、蒼生が窓の外を見ながらはしゃいでいる。

「パパー! みずー! みず、いっぱいー!」

「それは川だな」

ハンドルを握りながら、怜司が落ち着いた声で答える。

隣では、詩織が小さなお菓子を取り出して、
「おやついる?」と蒼生にそっと声をかけていた。

その様子に、怜司は自然と表情を和らげる。

(君は本当に……放っておけない)


詩織はリュックを探りながら、ふと焦った顔になった。

「えっと、蒼生のおやつは……ある、タオルもある……あれ? 私の飲み物……?」

怜司はチラリとバックミラー越しに詩織を見て、
ため息をついた。

「……自分のだけ忘れたか」

「うぅ……たぶん、家に置きっぱなしです……」

項垂れる詩織。

「サービスエリアに着いたら、温かいのでも買おう」

「……うぅ……ありがとうございます……」


車は順調に高速道路を走っていた。

後部座席では、蒼生が窓の外を眺めたり、
小さな声で鼻歌を歌ったり、ころころ表情を変えていた。

詩織も隣で時折絵本をめくったり、おやつを渡したりしながら、蒼生の相手をしている。

バックミラー越しにちらりと見ると、
詩織が蒼生に小さく話しかけながら微笑んでいる。
怜司の口元にも、自然と小さな笑みが浮かんだ。


しばらくして。

「そろそろ休憩しようか」

怜司は穏やかに声をかけ、
次のサービスエリアに車を滑り込ませた。

駐車場に車を止めると、
蒼生が「おりるー!」と元気に叫んだ。

「はいはい、慌てるな」

詩織もシートベルトを外し、蒼生のチャイルドシートから降ろす手伝いをする。

外に出た途端、冬の冷たい空気が頬を撫でた。

「わぁ、さむい……!」

詩織が小さく肩をすくめた。

怜司は無言で、自分のジャケットを詩織の肩にそっと掛ける。

「ありがとう、怜司さん……」

頬を赤らめながら、詩織は嬉しそうに微笑んだ。


「俺は蒼生と軽く歩いてくる。詩織、飲み物でも買ってこい」

「……はっ!」

思い出したように、詩織がぴょんと跳ねた。

「私、自分の飲み物忘れたんでした!」

「ああ、知ってる」

怜司は淡々と答える。

詩織は蒼生に「すぐ戻るからね」と言い、
慌ててサービスエリアの売店へと駆けていった。

怜司はその小さな背中を目で追いながら、
(……本当に放っておけない)
と、心の中でため息をついた。


「ぱぱー!」

蒼生が手を引っ張る。

「あっちー! いくー!」

「はいはい」

怜司は蒼生の手を握り、小さな広場へ向かった。

そこには、小さな遊具スペースがあり、
何人かの子どもたちが楽しそうに遊んでいる。

蒼生も負けじと、
「すべりだいー!」
と駆け出していった。

怜司は後を追いながら、
滑り台に向かって一生懸命よじ登る小さな背中を見守る。

(こうして少しずつ、できることが増えていくんだな)

成長を嬉しく思いながらも、
心の奥では、
(でも、まだまだ……目を離しちゃいけない)
と、静かに引き締めた。


しばらくして、
「ただいまー!」と詩織が戻ってきた。

手には、温かい飲み物が2本。

「怜司さんの分も、買ってきました!」

差し出されたホットコーヒーを受け取りながら、怜司は小さく笑った。

「……ありがとな」

「えへへ……!」

詩織は嬉しそうに笑う。

(まったく。俺の方こそ、君に感謝してるんだがな)

心の中で、誰にも聞こえない言葉を呟いた。


「そろそろ行こうか」

怜司の声に、詩織も蒼生も頷く。

再び車に乗り込み、
家族3人、旅の続きを走り出した。

冬の陽射しは、柔らかく車内を照らしていた。
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