魔王様、天使は経費で落とせません!

冬島六花

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5.初めての、夫婦らしい夜☆

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 新年を迎えパーティがお開きになった深夜。

 私は一人、魔王城の最上階にある部屋へと向かう。

 緊張のあまり足がガクガク震えていた。心臓もバクバクと鳴っている。

 それでも勇気を振り絞って歩を進め、目的地へと到着した。

 

 コンコンコンッ――。

 

「失礼します……」

 恐る恐るドアを開けると、そこにはラフなシャツ姿の魔王がいた。

 椅子に座ってこちらを見つめている。その表情は穏やかで、匂い立つような色気があった。

 思わずドキッとして視線を外す。



 すると魔王が立ち上がり、ゆっくりと近づいてきた。

「マリア、待っていたよ」

 彼はそう言って右手を差し出し、握手を求めてきた。

 

 一瞬躊躇したが、思い切って手を握る。

「私も、魔王様とこうして二人きりになれる時間を、待ち望んでおりました」

 大きなゴツゴツした手に包み込まれるように握られ、指先に彼の体温を感じた瞬間、身体が悦びに震える。

 

(あぁ……なんて素敵な人なんだろう……。ファンタジー映画に出てくる魔王そのものだわ)

 

 マリアの言葉を聞いた魔王は、嬉しそうに微笑んだ。

 そしてもう片方の手を伸ばしてくる。



「ありがとう。君は僕の天使だ。プロポーズの日に軽く拒絶されたから控えていたが……本当はもっと早く、こうしたかった」

「……っ!」

 抱き寄せられ、耳元で囁かれた。

 息遣いや衣擦れの音が、鼓膜に響く。

(え! 待って待って! こんなことされたら、どうにかなっちゃうよぉ~!)



 戸惑いを露わにした次の瞬間、唇を奪われる。

「んむっ! っ、ふぁ、んっ……」

 最初は軽く触れるだけだった、キス。

 だが徐々に深まり、舌が入り込んでくる。



 熱くてドロドロに溶けてしまいそうだった。

 

(だ、だめぇ! 魔王様っ、いきなり刺激が強すぎます~~~~!)

 

 私の心臓はバックンバックンと早鐘を打っている。

 鼓動がうるさすぎて魔王に引かれるんじゃないかと心配になる。



(これっ、一体いつまで続くんですかっ!)



 やがて長い口付けが終わると、魔王はふっと笑みを浮かべた。



「ずいぶんと可愛らしい反応だ……君もまんざらじゃないのだろう? ……続きをしようか?」



 普段の私なら拒絶してしまいそうな台詞だが、恐ろしいほどの魔王の色気には、当然勝てない。



「は、はい! ……喜んで!」



 もう、ヤケクソである。

 

(えーい! もう今夜はイケるところまでイッてやる!!!!)

 

 それから二人はベッドに上がった。

 魔王はマリアを真っ白なシーツに押し倒す。



「緊張してるかな? いいよ、力を抜いて……」

 見下ろしてくる瞳には情欲の炎がメラメラと燃えていた。

 

(ひぃぃぃ~!!! こ、これは夢ですか!? 妄想の世界ですか!? 私は今からどうされてしまうんですか?)



 しかし現実逃避している場合ではない。覚悟を決めなくては……。

 

(でも、どうしたらいいわけ!? ……ドキドキしすぎなんですけど!)

 

 恥ずかしさのあまり顔を両手で覆うと、そっと頬に触れられた。

 そのまま、やんわりと手を外される。

 

「可愛い顔を隠さないでくれ」

「でも……」

「恥ずかしがらなくて大丈夫だよ。今宵の君は、魔界で一番綺麗だ」

「えぇっ!?」

 

 たしかに魔王から支給された天使の衣装は美しいが、それを着ている人間(つまり私)は別に綺麗ではない。

 魔王は明らかに、過大評価しすぎである。

 

「君の全てが欲しいんだ。だから……すべて見せてほしい」

「っ!!」

 耳元で囁かれる言葉の一つ一つが私には心地よく響く。

 知らず知らずのうちに、全身から力が抜けていった。

 

「あぁ……このまま君をペロリと食べ尽くしたい」

 

 そう言うなり、魔王は首筋に唇を押し当ててきた。

 生温かくて、ナメクジが這うような感覚。

 

「ひぁっ! 魔王さまぁっ……!」

 その刺激にピクンと反応すると、彼は喉の奥で小さく笑うような音を漏らす。

 そしてドレスの胸元に手をかけながらこう言った。

 

「怖くないから、安心してくれ」

 

 魔王の言葉に応えるように、私は彼の背中に腕を回した。

 布越しに滑っていく指先が、なんとももどかしい。

 

「あっ、んっ、ああッ!」

 思わず甘い吐息をこぼすと、彼もまた熱い息を吐き出した。

 

「あぁ……すごく可愛いよ」

 そう言いながら、ゆっくりとドレスを脱がせていく。

 露わになった素肌に彼の手が触れた途端、ピリピリと電流のような衝撃が走った。

 それはすぐに快感へと変わっていき、身体中を巡っていく。

 

「はっ……ぁ、んっ」

「ほら、感じるか? もっと感じてみろ」

 魔王は首筋にキスをすると、そのまま鎖骨や胸にも同じように口づけを落としていく。



 そのたびにピクッと震えてしまう自分が恥ずかしかった。

 やがて彼が胸の膨らみに触れた瞬間、ビリビリとした痺れがやってくる。

 

「ひぁっ、やっ、んッ」

「君はここが、好きなのか?」

「ふっ……ぁ」

 優しく揉まれる度に強い刺激を感じているうちに、下半身がきゅっと締まるような感覚に襲われる。



(やだやだやだ~! なんでこんなに気持ちいいの!?)



 初めての経験だった。

 こんな風に気持ちよくなったことなど、人生で一度もないのに――。

 

「あぁ……すごいな。もうこんなに濡れている」

 いつの間にか、捲り上げたドレスの裾から手を入れられていたようで、下着越しに秘部を撫でられる。

 布地にはうっすらと染みができており、そこを中心にじんわりと濡れていた。



「グチョグチョだね」

 あけすけな物言いで指摘され、一気に顔が熱くなる。



「ち、違うんです! これはその、あの……」

 慌てて弁解しようとするも、上手く言葉にならない。

 しかし、そんなマリアの反応を見て、魔王は嬉しそうに笑っていた。



「大丈夫だよ。僕も同じだから」

「え? それってどういう――ひゃあっ!?」

 問い返そうとしたところで、いきなり下着の中へ手を入れられた。

 ぬるりと湿った感覚がある。



 驚いている間にも、魔王の指先が割れ目をなぞるように動き出した。

「あぁっ!」

 敏感になっているせいなのか、それだけでも十分すぎるほどの快楽を感じる。

 

(だ、だめですってば~!)



 さらに奥の方まで入り込んでくる指先に翻弄され、私は必死に耐え続ける。

 だがそれも長くは続かなかった。

「あっ……あっ……だめぇ!!!!」



 一番弱いところを擦られた瞬間、目の前が白で塗り潰される。

 腰が大きく跳ね上がり、身体の奥底から何かが溢れ出すような錯覚を覚えた。

 同時に全身から力が抜けていき、ぐったりとベッドに身を預けることとなった。

「……はぁ、はぁ」

 とうとう、絶頂を迎えてしまったのだ。



(これが、イクっていうこと……?)

 

 呼吸をするだけで精一杯だったが、それでも何とか意識を保つ。

 私の様子を見て、魔王は満足げに微笑む。

「初めてなのに上手にイケたね」

「はぁ、はぁっ……」

 

 何が起こったのか理解できず呆然としている私の頭を、魔王は優しく撫でてくれた。

 そしてゆっくりと抱き起こされる。

「今度は一緒に気持ち良くなろう」
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