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君のために
どこにもいない兄へ
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そう言えばと槇は前にいる直也を見る。
「葉。そろそろ話しても良いかもな」
そう直也を見たまま葉に言う。最初、何か分からなかったのか首を傾げたが、何かわかったのか「えぇ、私もちゃんと前を向かないといけないしね。」と言った。
「直也。俺と葉の息子は直也、それから2歳離れた兄。」
「俺には兄がいたのか・・」
「ええ、でも研究者達が取り上げたの。名前という証をつけてそれ以来会ってないわ。」
「その名前は?」
「・・・槇。」
どこか寂しそうに呟く。
「・・・直木。」
「そう。」
3人の空間に沈黙が起きる。
「ごめんな。」
その沈黙を破ったのは槇。
「え?」
「兄のこと黙ってて」
「うんん。でも兄が取り上げられたのに俺は大丈夫だったの?」
「それはね。私と槇が学校関係者になることを条件に」
「そっか。」
下を向き何かを考えてからまた顔を上げた。
「お母さん、お父さん、俺白斗と話してみる。それから兄のこと話してくれてありがとう。」
兄がいることは少しだけ信じられない。
でも会ってみたい。
会って2人とも兄を心配していたと伝えたい。
どこにいるか分からない兄へ。
「葉。そろそろ話しても良いかもな」
そう直也を見たまま葉に言う。最初、何か分からなかったのか首を傾げたが、何かわかったのか「えぇ、私もちゃんと前を向かないといけないしね。」と言った。
「直也。俺と葉の息子は直也、それから2歳離れた兄。」
「俺には兄がいたのか・・」
「ええ、でも研究者達が取り上げたの。名前という証をつけてそれ以来会ってないわ。」
「その名前は?」
「・・・槇。」
どこか寂しそうに呟く。
「・・・直木。」
「そう。」
3人の空間に沈黙が起きる。
「ごめんな。」
その沈黙を破ったのは槇。
「え?」
「兄のこと黙ってて」
「うんん。でも兄が取り上げられたのに俺は大丈夫だったの?」
「それはね。私と槇が学校関係者になることを条件に」
「そっか。」
下を向き何かを考えてからまた顔を上げた。
「お母さん、お父さん、俺白斗と話してみる。それから兄のこと話してくれてありがとう。」
兄がいることは少しだけ信じられない。
でも会ってみたい。
会って2人とも兄を心配していたと伝えたい。
どこにいるか分からない兄へ。
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