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ドレス?…無理
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ボブにしたかったのにマリーの泣き落としに負けて、肩甲骨より少し長めに切ることで妥協した。
だってお尻より長いなんて、排泄した後に拭くとき惨事が起きそうじゃない?
「うっ、ううっ」
「引退するお相撲さんの断髪式じゃないんだから」
「ううっ…何のことですか」
「何でもない。いいから泣かないで。嫌でも伸びてくるじゃない」
「私が毎日心を込めてお手入れをさせていただいている思い入れのある髪ですよ?」
「私が悪かったから、震える手で髪を切ろうとするのは止めて。コワイから」
少しだけ軽くなって気分良く衣装部屋へ入った。
「私、お小遣いあるの?」
「侯爵夫人の予算ということでしょうか」
「どのくらい買い物できるの?」
「例えば…」
物の値段などを教えてもらい、何が買えるのか説明してもらった。
「頭おかしいの?」
「アンジェリーナ様?」
基本的な必需品(化粧品類、下着、家具、寝具)などは除くと大金過ぎた。日本での価値で例えると…ヒィッ!!
「大金過ぎでしょう!」
「ですが、ドレス代のことがありますし宝飾品などもありますから。ドレス1着が高額ですし、侯爵家ともなると1度パーティなどで着て行けばもう着て行きませんから」
「もしかして、ここにあるドレス以外にもあるの?」
「はい。ご実家にもございます」
「売るなりリメイクしようよ」
「ですが、」
「買取業者を呼んで。それまでに仕分けておくから」
「かしこまりました」
3時間後にやってきた業者に山のようなドレスや靴や扇子やアクセサリーを引き取らせた。
「に、荷馬車に乗り切りませんので往復してもよろしいでしょうか」
「もちろんよ。お願いね。すごく助かるわ」
業者を返した後は、この世界の暮らしに必要なことを考えた。
「マリー、乗馬教室に通いたいの」
「乗馬ですか!?」
「そうよ。交通手段が徒歩か馬か馬車しかないんだから、習わないと不便だわ」
「乗馬教室というものは多分ありません。男性親族や私兵などに教わるのだと思います」
「マリーも分からないの?」
「特に高位貴族の女性は乗馬を好みません」
「ふーん。誰でもいいから教えてくれる人を確保してもらえる?
マリー。明日買い物に行くわよ」
「呼ぶのではなく買いに行くのですね?」
「楽な服が欲しいの。ワンピースとか。本当はズボンがいいんだけど、あるかな、女性用」
「ズボンって…」
「乗馬服とか。それにスカート好きじゃないのよね。
それに靴ももっと楽なものがいいんだけど。こんな高いヒールなんて拷問よね」
「…かしこまりました」
翌日、貴族街のお店に見に行ったけど、何処の店もヒラヒラし過ぎていたり装飾が過剰で好みではなかった。
「この身体ってこんなに体力ないのね」
「そうですね。特に運動らしきことはなさっておりませんし、王命が出て以来 社交を避けていらしたので、余計体力は落ちていると思います。
平民街はもっと疲れると思います。今日はここまでにして帰りませんか」
この日、購入できたのは乗馬服だけだった。
翌日は平民街の少しお高めの洋服店に行き、ワンピースなどを購入。そして仕立て屋へ出向き、ワンピース、スカート、ブラウス、ジャケット、ワイドパンツやフレアパンツをオーダーした。デザイン画を十何枚か描いて説明した。
3日目は靴もオーダーしに行った。
ヒールは低く太めと細め、フラットシューズも外用と室内用を注文した。中敷について説明したから疲れ方が少しマシになると願っている。
髪留めやリボンを見に行ってマリーの分も買った。
こんなに買ってもドレス1着分もしない。
ほぼツケにして後で請求書が届いて支払うらしいけど、今度からもっと現金で支給してもらおうと思う。
マリーと外に出てこの世界を楽しみたい。
4日目。
「アンジェリーナ様、こちらは侯爵家の騎士様でラウル様です。乗馬を教えてくださいます」
「あの、本当に馬に?」
「はい。未経験ですのでゆっくり細かく教えてください。よろしくお願いします」
深々と頭を下げるとラウルは慌てた。
「お止めください」
「ラウルは先生なのよ?当たり前よ。
ラウル先生、私、体力もありませんので少しずつ鍛えようと思います」
「かしこまりました。
先ずは馬と仲良くなりましょう。大きな動物ですから力もとても強いです。賢いですが臆病でもありますので背後に回ると驚いて蹴ることがあります。運が悪ければ死にますので絶対に背後に回らないでください」
「はい」
乗馬教室1日目は、撫でたりオヤツをあげたり、手綱を引いて少し歩いたり、鞍などの装着の仕方も教わった。最後はブラッシングなど馬の手入れを教わって終了した。
乗馬教室2日目は馬小屋の掃除を手伝い、馬に餌をあげてから、体を拭いて着替えて朝食を食べた。
昼食前にラウル先生の乗馬の授業を受けて、昼食後はテーブルマナーなど貴族教育が始まった。
王国の歴史なども教えてくれる教師を呼んだ。
この世界に来てから10日ほど経った。
お互い嫌いあっているという夫ローランド・ミュローノが恋人との旅行から帰って来るらしい。
だけど会うのは 用が無ければ月に一度の子作りの日だけ。だから気にしなくていいと言われた。
要望はマリーが執事に伝え、執事が適任者に采配するかローランドに判断を求める流れになっているという。
お金の件も早速執事のウィリアムが対応してくれた。
今日も馬小屋の掃除を手伝った。
朝食後にラウル先生に乗馬を教わろうと外に出ようとしたら、ドアの外に人がいた。黒髪にインディゴブルーのような瞳の美男子が立っていた。
「うわっ…おはようございます」
「……おはよう」
「ウィル~、お客様よ~」
「(アンジェリーナ様っ)」
「ごゆっくりどうぞ」
「……」
ドアを押さえてあげて、彼が入るとドアを閉めた。
「ねえ、マリー。今の人 誰?すっごいカッコいいんだけど」
「アンジェリーナ様の夫のローランド様です」
「は? あんなにカッコいい人と結婚できたのに嫌いなの? ヤバい性癖の持ち主なの?」
「違う…と思います」
「性格が捻じ曲がっているとか?」
「よく分かりません」
「まあ、嫌われているのだから関係ないわね。
あ、ラウル先生、おはようございます」
「おはようございます、リーナ様」
「昨日のシャツ、着てくれたのね。よく似合っているわ。サイズは大丈夫?」
「はい、とても着心地がいいです」
「良かったわ。手のかかる生徒の面倒を見てくれるのだもの。感謝しないとね」
「手のかかるだなんて。リーナ様を教えることが出来て光栄です」
「私の出来ることが増えるごとに臨時ボーナスを出すから頑張って教えてね。最初はお小遣い程度でも、難易度が上がれば増やすわよ。
先ずは1人で馬に跨がれるようになること。頑張るからねら」
「筋トレも必要です。覚悟してください」
「はい、ラウル先生」
だってお尻より長いなんて、排泄した後に拭くとき惨事が起きそうじゃない?
「うっ、ううっ」
「引退するお相撲さんの断髪式じゃないんだから」
「ううっ…何のことですか」
「何でもない。いいから泣かないで。嫌でも伸びてくるじゃない」
「私が毎日心を込めてお手入れをさせていただいている思い入れのある髪ですよ?」
「私が悪かったから、震える手で髪を切ろうとするのは止めて。コワイから」
少しだけ軽くなって気分良く衣装部屋へ入った。
「私、お小遣いあるの?」
「侯爵夫人の予算ということでしょうか」
「どのくらい買い物できるの?」
「例えば…」
物の値段などを教えてもらい、何が買えるのか説明してもらった。
「頭おかしいの?」
「アンジェリーナ様?」
基本的な必需品(化粧品類、下着、家具、寝具)などは除くと大金過ぎた。日本での価値で例えると…ヒィッ!!
「大金過ぎでしょう!」
「ですが、ドレス代のことがありますし宝飾品などもありますから。ドレス1着が高額ですし、侯爵家ともなると1度パーティなどで着て行けばもう着て行きませんから」
「もしかして、ここにあるドレス以外にもあるの?」
「はい。ご実家にもございます」
「売るなりリメイクしようよ」
「ですが、」
「買取業者を呼んで。それまでに仕分けておくから」
「かしこまりました」
3時間後にやってきた業者に山のようなドレスや靴や扇子やアクセサリーを引き取らせた。
「に、荷馬車に乗り切りませんので往復してもよろしいでしょうか」
「もちろんよ。お願いね。すごく助かるわ」
業者を返した後は、この世界の暮らしに必要なことを考えた。
「マリー、乗馬教室に通いたいの」
「乗馬ですか!?」
「そうよ。交通手段が徒歩か馬か馬車しかないんだから、習わないと不便だわ」
「乗馬教室というものは多分ありません。男性親族や私兵などに教わるのだと思います」
「マリーも分からないの?」
「特に高位貴族の女性は乗馬を好みません」
「ふーん。誰でもいいから教えてくれる人を確保してもらえる?
マリー。明日買い物に行くわよ」
「呼ぶのではなく買いに行くのですね?」
「楽な服が欲しいの。ワンピースとか。本当はズボンがいいんだけど、あるかな、女性用」
「ズボンって…」
「乗馬服とか。それにスカート好きじゃないのよね。
それに靴ももっと楽なものがいいんだけど。こんな高いヒールなんて拷問よね」
「…かしこまりました」
翌日、貴族街のお店に見に行ったけど、何処の店もヒラヒラし過ぎていたり装飾が過剰で好みではなかった。
「この身体ってこんなに体力ないのね」
「そうですね。特に運動らしきことはなさっておりませんし、王命が出て以来 社交を避けていらしたので、余計体力は落ちていると思います。
平民街はもっと疲れると思います。今日はここまでにして帰りませんか」
この日、購入できたのは乗馬服だけだった。
翌日は平民街の少しお高めの洋服店に行き、ワンピースなどを購入。そして仕立て屋へ出向き、ワンピース、スカート、ブラウス、ジャケット、ワイドパンツやフレアパンツをオーダーした。デザイン画を十何枚か描いて説明した。
3日目は靴もオーダーしに行った。
ヒールは低く太めと細め、フラットシューズも外用と室内用を注文した。中敷について説明したから疲れ方が少しマシになると願っている。
髪留めやリボンを見に行ってマリーの分も買った。
こんなに買ってもドレス1着分もしない。
ほぼツケにして後で請求書が届いて支払うらしいけど、今度からもっと現金で支給してもらおうと思う。
マリーと外に出てこの世界を楽しみたい。
4日目。
「アンジェリーナ様、こちらは侯爵家の騎士様でラウル様です。乗馬を教えてくださいます」
「あの、本当に馬に?」
「はい。未経験ですのでゆっくり細かく教えてください。よろしくお願いします」
深々と頭を下げるとラウルは慌てた。
「お止めください」
「ラウルは先生なのよ?当たり前よ。
ラウル先生、私、体力もありませんので少しずつ鍛えようと思います」
「かしこまりました。
先ずは馬と仲良くなりましょう。大きな動物ですから力もとても強いです。賢いですが臆病でもありますので背後に回ると驚いて蹴ることがあります。運が悪ければ死にますので絶対に背後に回らないでください」
「はい」
乗馬教室1日目は、撫でたりオヤツをあげたり、手綱を引いて少し歩いたり、鞍などの装着の仕方も教わった。最後はブラッシングなど馬の手入れを教わって終了した。
乗馬教室2日目は馬小屋の掃除を手伝い、馬に餌をあげてから、体を拭いて着替えて朝食を食べた。
昼食前にラウル先生の乗馬の授業を受けて、昼食後はテーブルマナーなど貴族教育が始まった。
王国の歴史なども教えてくれる教師を呼んだ。
この世界に来てから10日ほど経った。
お互い嫌いあっているという夫ローランド・ミュローノが恋人との旅行から帰って来るらしい。
だけど会うのは 用が無ければ月に一度の子作りの日だけ。だから気にしなくていいと言われた。
要望はマリーが執事に伝え、執事が適任者に采配するかローランドに判断を求める流れになっているという。
お金の件も早速執事のウィリアムが対応してくれた。
今日も馬小屋の掃除を手伝った。
朝食後にラウル先生に乗馬を教わろうと外に出ようとしたら、ドアの外に人がいた。黒髪にインディゴブルーのような瞳の美男子が立っていた。
「うわっ…おはようございます」
「……おはよう」
「ウィル~、お客様よ~」
「(アンジェリーナ様っ)」
「ごゆっくりどうぞ」
「……」
ドアを押さえてあげて、彼が入るとドアを閉めた。
「ねえ、マリー。今の人 誰?すっごいカッコいいんだけど」
「アンジェリーナ様の夫のローランド様です」
「は? あんなにカッコいい人と結婚できたのに嫌いなの? ヤバい性癖の持ち主なの?」
「違う…と思います」
「性格が捻じ曲がっているとか?」
「よく分かりません」
「まあ、嫌われているのだから関係ないわね。
あ、ラウル先生、おはようございます」
「おはようございます、リーナ様」
「昨日のシャツ、着てくれたのね。よく似合っているわ。サイズは大丈夫?」
「はい、とても着心地がいいです」
「良かったわ。手のかかる生徒の面倒を見てくれるのだもの。感謝しないとね」
「手のかかるだなんて。リーナ様を教えることが出来て光栄です」
「私の出来ることが増えるごとに臨時ボーナスを出すから頑張って教えてね。最初はお小遣い程度でも、難易度が上がれば増やすわよ。
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「はい、ラウル先生」
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