6 / 18
妻に合わせてもらえぬ夫
しおりを挟む
【 侍従テオの視点 】
ヒヒーン
馬の嘶きが聞こえると、私の主人はスッと立ち上がり執務室を出て行く。
主人は正面玄関辺りが見える場所まで移動すると馬車を確認する。
「……はぁ」
ミュローノ家の馬車ではなかった。
主人はまた執務室に戻って仕事を始めた。
風で書類が飛ばないように少しだけ窓を開けている。主人の妻アンジェリーナ様が 主人の叔母あたる子爵夫人に会いに行って3日ほど経ってから毎日だ。
風が強い日や雨の日は閉めるが、ソワソワと落ち着かず、数十分に一度 身体を解すフリをして部屋を出て外を確認する。
続々と若奥様が注文した品が届き始め、若奥様の長期不在の中で本人から手紙が届いた。
「ウィリアム様、若奥様からお手紙です」
主人の鋭い視線が執事ウィリアムに刺さった。
ウィリアムは封を開け読むと、メイドをつかまえた。
「若奥様宛に届いていた服や靴をヤンヌ邸に送るので開梱して詰め直してください」
「かしこまりました」
主人はプライドからか、何が書いてあるのか聞けないでいた。だから代わりに聞いてみた。
「ウィリアムさん、何と書いてありますか」
「届いた服や靴を送って欲しいということと、まだしばらく帰れそうにないという内容です」
主人へのメッセージはないのかと 見せてもらうことにした。
「みせてもらっても?」
「どうぞ」
「……」
確かにそれしか書いてなかった。
数日後、主人は恋人ヴァイオレット嬢に会い宿に籠ったが、1時間ほどで出てきた。
以前は私を一旦屋敷に帰し2人は宿泊していた。
不倫旅行から戻った後の逢瀬からは泊まることは無くなったので、待機するようになった。
女は不満気な顔をしていた。
すっかり主人は 毎日到着する馬車や手紙を気にして過ごし、恋人とはセックスのためだけに会うようになった。
なかなか戻らない若奥様に使用人達も不安になった。
主人が子爵夫人宛に手紙を送った。
「叔母上のところへ向かう用意をしておいてくれ」
「かしこまりました」
届いた返事は断りの手紙だった。
“マクセルのリハビリが始まったので新たな滞在者は障となるでしょう”
断られてしまった。
その後も到着する馬車を気にする生活を続けていて3ヶ月が過ぎ、もうヤンヌ子爵夫人から再度断られていた。
ある日、外の馬車を見て険しい顔になった。
そして直ぐウィリアムがやってきた。
「ローランド様、バリヤス嬢がいらしております」
約束は無い。
多分不満が溜まって文句を言いに来たのだろう。
主人と一緒にエントランスに行くと、女は微笑んだ。
「ローランド様、全然構ってくれないから寂しくて来てしまいました」
「そうか。お茶を飲むか」
「はい」
居間まで向かう最中、物色するかのように内装や絵画や置物などを見ている。
この女は主人の前と主人以外の相手では態度が違うのが分かった。かなり横柄な女なのだろう。
メイドがお茶を淹れると、女は“退がっていいわ”と言った。
メイドは頭を少し下げて主人の指示を待った。
「退がらなくていい」
「かしこまりました」
女は拳を握りしめたが 直ぐに気を取り直した。
「ローランド様、お屋敷の中と庭園を案内してくださいますか」
「何か用事があって来たのだろう?」
「だから…寂しくて」
「妻がいる家に押しかけてくるのはルール違反じゃないのか」
「最近のローランド様は変です。デートらしきデートもないですし。私はただ確かめたかったのです」
「…妻が不在中でも良くない。帰ってくれないか」
「ローランド様っ」
女を部屋から出すと やはり豹変した。
「チッ なんなのよ」
ローランド様の前だけ猫を被っている女はブツブツ言いながら帰った。
【 ローランドの視点 】
妻アンジェリーナが叔母上のところへ行ってから既に4ヶ月を過ぎていた。
昨日は恥ずかしいところを見られた。
アンジェリーナの部屋に行きベッドに横たわると いい香りがした。これが妻の香りなのかと思った途端に勃ってしまい自分で処理をし そのまま眠ってしまった。
起きた時には拭うのに使ったハンカチが消えていた。メイドが回収して洗濯したのだろう。
記憶を失くした妻とすれ違ったあの日から俺はおかしくなった。たった数秒…
『それで、王女様の輿入れの際は……』
何故だかヴァイオレットとの会話がどうでもよく思えてきてしまった。
あの日すれ違った後、ドアの向こうでメイドと話す妻の言葉に囚われているせいか。
『もう宿に?』
『外を彷徨く気分じゃなくてな』
ヴァイオレットを迎えに行き、宿に直行して交わった。
『来週 レーヴで新作が出るそうです。きっと綺麗なのでしょうね』
つまり買って欲しいと言う意味だ。旅行の時にプレゼントをしたばかりなのに。
『そろそろ帰ろう』
『え?泊まらないのですか?』
『毎回泊まらなくてもいいだろう。仕事も徐々に増えて来ているから難しいんだ』
何故か苛立って宿に入って1時間経たずに帰ることにした。
翌週、レーヴの前を通りかかり店を覗いてみることにした。
パーティに身につけて行くような華やかなネックレスとイヤリングだった。
『いらっしゃいませ』
私の瞳の色にしても仕方ないな。
『赤い石でしか出していないのか』
『赤と青の2種になっております』
『ダイアモンドにして欲しいのだが』
『価格がだいぶ変わってしまいますが』
『構わない。仕上がったら品物と請求書と一緒にミュローノ家に届けてくれ』
『かしこまりました』
その後も、ヴァイオレットから誘いの手紙が届くと 迎えに行き宿で交わり 彼女を送り届けた。
「ローランド、久しぶり」
「招待ありがとう」
彼は学友のエドワード。公爵家で宰相の息子だ。
「奥方は、」
「叔母のところに行っていて、もう4ヶ月になるんだ」
「知ってるよ。奥方は素敵なレディに生まれ変わったのだな」
「え?」
「ヤンヌ子爵家で恩人として滞在してるんだろう?
記憶喪失なんだって?昔のアンジェリーナは跡形もなくなって気さくで優しくて別人だと評判みたいだな。子爵家がパーティに連れて行っていて、話題の人だよ。
昔の彼女なら男爵家の子息子女とは話さないだろう?今じゃ身分関係なく好意的に話してくれるらしいし、記憶が無い分 話題が限られてしまうが、視点が面白くて変わったことに詳しくなっているらしい。
小さな子供の相手もするし年配の方からも受けがいい。最初から今のアンジェリーナだったら どの家門も欲しがっただろうな。忘れたことなんか覚えなおせばいいだけだ。
それに美貌もスタイルも変わっていない。いや、寧ろ表情豊かであの無邪気な笑顔を見たら私でも惚れるよ。
記憶が無いからダンスも踊れなくなったらしいが、身体が覚えているのだろう。練習中と言っていたが筋がいい。アンジェリーナが拙く踊る様子に誰もが目を奪われていた。妻と同伴していなければダンスに誘ったのだが、うちの妻は嫉妬深くてね。話しかけることも叶わなかったよ」
は?
「アンジェリーナに会ったのか」
「親類の婚約パーティに呼ばれて行ったら子爵夫妻と一緒に来ていたよ。子爵、普通に歩いていたぞ。ベッドの住人だと聞いていたが、アンジェリーナが子爵を奮い立たせてサポートしたらしい。“閣下”“リーナ”と呼び合っていた。
泊まりで参加している男数人と男爵家の令嬢1人と一緒に遠乗りに出て楽しんでいた。その日の夜は男達が興奮していたな。私も疲れているなんて言わないで参加すれば良かったよ」
もう限界だ。
ヒヒーン
馬の嘶きが聞こえると、私の主人はスッと立ち上がり執務室を出て行く。
主人は正面玄関辺りが見える場所まで移動すると馬車を確認する。
「……はぁ」
ミュローノ家の馬車ではなかった。
主人はまた執務室に戻って仕事を始めた。
風で書類が飛ばないように少しだけ窓を開けている。主人の妻アンジェリーナ様が 主人の叔母あたる子爵夫人に会いに行って3日ほど経ってから毎日だ。
風が強い日や雨の日は閉めるが、ソワソワと落ち着かず、数十分に一度 身体を解すフリをして部屋を出て外を確認する。
続々と若奥様が注文した品が届き始め、若奥様の長期不在の中で本人から手紙が届いた。
「ウィリアム様、若奥様からお手紙です」
主人の鋭い視線が執事ウィリアムに刺さった。
ウィリアムは封を開け読むと、メイドをつかまえた。
「若奥様宛に届いていた服や靴をヤンヌ邸に送るので開梱して詰め直してください」
「かしこまりました」
主人はプライドからか、何が書いてあるのか聞けないでいた。だから代わりに聞いてみた。
「ウィリアムさん、何と書いてありますか」
「届いた服や靴を送って欲しいということと、まだしばらく帰れそうにないという内容です」
主人へのメッセージはないのかと 見せてもらうことにした。
「みせてもらっても?」
「どうぞ」
「……」
確かにそれしか書いてなかった。
数日後、主人は恋人ヴァイオレット嬢に会い宿に籠ったが、1時間ほどで出てきた。
以前は私を一旦屋敷に帰し2人は宿泊していた。
不倫旅行から戻った後の逢瀬からは泊まることは無くなったので、待機するようになった。
女は不満気な顔をしていた。
すっかり主人は 毎日到着する馬車や手紙を気にして過ごし、恋人とはセックスのためだけに会うようになった。
なかなか戻らない若奥様に使用人達も不安になった。
主人が子爵夫人宛に手紙を送った。
「叔母上のところへ向かう用意をしておいてくれ」
「かしこまりました」
届いた返事は断りの手紙だった。
“マクセルのリハビリが始まったので新たな滞在者は障となるでしょう”
断られてしまった。
その後も到着する馬車を気にする生活を続けていて3ヶ月が過ぎ、もうヤンヌ子爵夫人から再度断られていた。
ある日、外の馬車を見て険しい顔になった。
そして直ぐウィリアムがやってきた。
「ローランド様、バリヤス嬢がいらしております」
約束は無い。
多分不満が溜まって文句を言いに来たのだろう。
主人と一緒にエントランスに行くと、女は微笑んだ。
「ローランド様、全然構ってくれないから寂しくて来てしまいました」
「そうか。お茶を飲むか」
「はい」
居間まで向かう最中、物色するかのように内装や絵画や置物などを見ている。
この女は主人の前と主人以外の相手では態度が違うのが分かった。かなり横柄な女なのだろう。
メイドがお茶を淹れると、女は“退がっていいわ”と言った。
メイドは頭を少し下げて主人の指示を待った。
「退がらなくていい」
「かしこまりました」
女は拳を握りしめたが 直ぐに気を取り直した。
「ローランド様、お屋敷の中と庭園を案内してくださいますか」
「何か用事があって来たのだろう?」
「だから…寂しくて」
「妻がいる家に押しかけてくるのはルール違反じゃないのか」
「最近のローランド様は変です。デートらしきデートもないですし。私はただ確かめたかったのです」
「…妻が不在中でも良くない。帰ってくれないか」
「ローランド様っ」
女を部屋から出すと やはり豹変した。
「チッ なんなのよ」
ローランド様の前だけ猫を被っている女はブツブツ言いながら帰った。
【 ローランドの視点 】
妻アンジェリーナが叔母上のところへ行ってから既に4ヶ月を過ぎていた。
昨日は恥ずかしいところを見られた。
アンジェリーナの部屋に行きベッドに横たわると いい香りがした。これが妻の香りなのかと思った途端に勃ってしまい自分で処理をし そのまま眠ってしまった。
起きた時には拭うのに使ったハンカチが消えていた。メイドが回収して洗濯したのだろう。
記憶を失くした妻とすれ違ったあの日から俺はおかしくなった。たった数秒…
『それで、王女様の輿入れの際は……』
何故だかヴァイオレットとの会話がどうでもよく思えてきてしまった。
あの日すれ違った後、ドアの向こうでメイドと話す妻の言葉に囚われているせいか。
『もう宿に?』
『外を彷徨く気分じゃなくてな』
ヴァイオレットを迎えに行き、宿に直行して交わった。
『来週 レーヴで新作が出るそうです。きっと綺麗なのでしょうね』
つまり買って欲しいと言う意味だ。旅行の時にプレゼントをしたばかりなのに。
『そろそろ帰ろう』
『え?泊まらないのですか?』
『毎回泊まらなくてもいいだろう。仕事も徐々に増えて来ているから難しいんだ』
何故か苛立って宿に入って1時間経たずに帰ることにした。
翌週、レーヴの前を通りかかり店を覗いてみることにした。
パーティに身につけて行くような華やかなネックレスとイヤリングだった。
『いらっしゃいませ』
私の瞳の色にしても仕方ないな。
『赤い石でしか出していないのか』
『赤と青の2種になっております』
『ダイアモンドにして欲しいのだが』
『価格がだいぶ変わってしまいますが』
『構わない。仕上がったら品物と請求書と一緒にミュローノ家に届けてくれ』
『かしこまりました』
その後も、ヴァイオレットから誘いの手紙が届くと 迎えに行き宿で交わり 彼女を送り届けた。
「ローランド、久しぶり」
「招待ありがとう」
彼は学友のエドワード。公爵家で宰相の息子だ。
「奥方は、」
「叔母のところに行っていて、もう4ヶ月になるんだ」
「知ってるよ。奥方は素敵なレディに生まれ変わったのだな」
「え?」
「ヤンヌ子爵家で恩人として滞在してるんだろう?
記憶喪失なんだって?昔のアンジェリーナは跡形もなくなって気さくで優しくて別人だと評判みたいだな。子爵家がパーティに連れて行っていて、話題の人だよ。
昔の彼女なら男爵家の子息子女とは話さないだろう?今じゃ身分関係なく好意的に話してくれるらしいし、記憶が無い分 話題が限られてしまうが、視点が面白くて変わったことに詳しくなっているらしい。
小さな子供の相手もするし年配の方からも受けがいい。最初から今のアンジェリーナだったら どの家門も欲しがっただろうな。忘れたことなんか覚えなおせばいいだけだ。
それに美貌もスタイルも変わっていない。いや、寧ろ表情豊かであの無邪気な笑顔を見たら私でも惚れるよ。
記憶が無いからダンスも踊れなくなったらしいが、身体が覚えているのだろう。練習中と言っていたが筋がいい。アンジェリーナが拙く踊る様子に誰もが目を奪われていた。妻と同伴していなければダンスに誘ったのだが、うちの妻は嫉妬深くてね。話しかけることも叶わなかったよ」
は?
「アンジェリーナに会ったのか」
「親類の婚約パーティに呼ばれて行ったら子爵夫妻と一緒に来ていたよ。子爵、普通に歩いていたぞ。ベッドの住人だと聞いていたが、アンジェリーナが子爵を奮い立たせてサポートしたらしい。“閣下”“リーナ”と呼び合っていた。
泊まりで参加している男数人と男爵家の令嬢1人と一緒に遠乗りに出て楽しんでいた。その日の夜は男達が興奮していたな。私も疲れているなんて言わないで参加すれば良かったよ」
もう限界だ。
2,537
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。
五月ふう
恋愛
「君を愛するつもりも婚約者として扱うつもりもないーー。」
婚約者であるアレックス王子が婚約初日に私にいった言葉だ。
愛されず、婚約者として扱われない。つまり自由ってことですかーー?
それって最高じゃないですか。
【片思いの5年間】婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。
五月ふう
恋愛
「君を愛するつもりも婚約者として扱うつもりもないーー。」
婚約者であるアレックス王子が婚約初日に私にいった言葉だ。
愛されず、婚約者として扱われない。つまり自由ってことですかーー?
それって最高じゃないですか。
ずっとそう思っていた私が、王子様に溺愛されるまでの物語。
この作品は
「婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。」のスピンオフ作品となっています。
どちらの作品から読んでも楽しめるようになっています。気になる方は是非上記の作品も手にとってみてください。
殿下は婚約破棄した私を“横領犯”として追放しましたが、私が“王国の財布”だとご存じなかったのですか?
なかすあき
恋愛
王太子の婚約者であるレティシアは、愛ではなく“王国の財布”に選ばれた内政官だった。
干ばつ救済基金を管理し、徴税と支出の流れを整え、国が崩れないように回してきたはずなのに。
舞踏会の夜。
聖女セシルの涙と王太子の言葉が、レティシアを一瞬で“横領犯”に仕立て上げる。
反論しても届かない。空気が判決を下す場所で、レティシアは追放された。
落とされた先は、干ばつに喘ぐ辺境。
水のない井戸、荒れた配給所、怒りの列。
レティシアは泣く代わりに、配給と水路と記録を整えた。奇跡ではなく、段取りで。
やがて王都は、レティシアがいなくなった穴から静かに壊れ始める。
支払いは止まり、責任は溶け、聖女の“物語”だけが空回りする。
呼び戻しの使者が来ても、レティシアは従わない。戻る条件はひとつ。
――公開監査。
記録水晶が映し出すのは、涙では隠せない日付と署名、そして“誰が何を決めたか”という事実。
この逃げ場のない復讐劇の先に残るのは、王都の再起ではなく、辺境の明日だった。
これは、道具として捨てられた内政官が、二度と道具に戻らず、“責任を固定する”ことで国を救い、自分の居場所を選び直す物語。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
妾を正妃にするから婚約破棄してくれないかと言われました。
五月ふう
恋愛
妾を正妃にしたいから、婚約破棄してくれないか?王は、身を粉にして王のために働いていたウィリにそう言った。ウィリには、もう帰る場所がないのに。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
わたしにはもうこの子がいるので、いまさら愛してもらわなくても結構です。
ふまさ
恋愛
伯爵令嬢のリネットは、婚約者のハワードを、盲目的に愛していた。友人に、他の令嬢と親しげに歩いていたと言われても信じず、暴言を吐かれても、彼は子どものように純粋無垢だから仕方ないと自分を納得させていた。
けれど。
「──なんか、こうして改めて見ると猿みたいだし、不細工だなあ。本当に、ぼくときみの子?」
他でもない。二人の子ども──ルシアンへの暴言をきっかけに、ハワードへの絶対的な愛が、リネットの中で確かに崩れていく音がした。
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件
水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」
結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。
出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。
愛を期待されないのなら、失望させることもない。
契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。
ただ「役に立ちたい」という一心だった。
――その瞬間。
冷酷騎士の情緒が崩壊した。
「君は、自分の価値を分かっていない」
開始一分で愛さない宣言は撤回。
無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。
以後、
寝室は強制統合
常時抱っこ移動
一秒ごとに更新される溺愛
妻を傷つける者には容赦なし宣言
甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。
さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――?
自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。
溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる