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初の上目遣い
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居間に連れてこられ、ローランドは私の正面に座った。
「昨日はありがとう、アンジェリーナ」
「余計な口を挟んでごめんなさい。私達は干渉しない約束だったんでしょう?」
「そんなことはない。危うくありもしない事で責任を取らされるところだった」
「仲直りしたの?」
「別れたよ。
そもそも俺はヴァイオレットと恋愛をしていたわけじゃない。
話が合うなと思っていたら飲み過ぎて、気が付いたらベッドの上だった。
それ以降も声をかけられ、会話の最後には誘われていた。それが何度も続いたし、話が合うならいいかと思って交際しようと言った。旅行も彼女の希望だった。
ヴァイオレットはミュローノ家に嫁ぎたかったんだ。話しが合ったのではなくて、私に合わせていたようだ。
特にタイプでも体の相性が良かったわけでもない。
異性の話し相手が出来たと思って油断していた。こうなると、最初の関係も仕組まれたのかもしれない。途中から全く記憶が無かったんだ。
知らなかったとはいえ、記憶を失くした君を置いてヴァイオレットと旅行に行ったことを後悔している。謝らなくてはならないことがまだあるんだ。聞いてくれ」
ローランドは一つ一つ、悪かったと思うことを説明して謝ってくれた。
「記憶が失くてごめんね。特に貴族の妻としては難しいかもしれない」
「前のアンジェリーナには申し訳ないが、今のアンジェリーナの方がいい。区別をつけたいから“リーナ”と呼んでもいいか」
「うん」
その後、以前のローランドとアンジェリーナの話を詳しく聞いて、遅くなったからレジーヌ宛に“ミュローノ邸に泊まる”と連絡を入れて夕食を食べた。
ちょっと飲み過ぎて、ローランドが部屋に連れて行ってくれた。
「今日はどうして帰って来てくれたんだ」
「マルトー商会から招待状が届いていたって聞いたんだけど」
「何故か届いていたが、侯爵家が行くようなパーティじゃないから欠席の返事を出したよ」
「え~っ」
「行きたかったのか」
「うん」
「でもなぁ」
「お願い」
「っ! 上目遣いなんか何処で覚えて来たんだ」
「ローランド」
「多分出席者はほとんど平民だと思うぞ」
「行きたいな~」
ローランドに抱き付いてみた。
「そうか」
「えっ? なにっ!?」
「妻の誘いは有り難く受けないとな」
「なんで!ちょっと!」
「暴れるな」
【 ローランドの視点 】
「プスー プスー」
疲れ果てて うつ伏せに寝ている妻から寝息が聞こえる。
「プスー プスー」
「ククッ」
寝息が可愛過ぎる。
彼女の短くなった柔らかい髪を指に絡ませながら、細い肩や寝顔を見ていた。
上目遣いを使ったり 抱き付いてパーティに行きたいと強請ったりする その可愛さに釣られてリーナを抱き上げてベッドに降ろした。
何度か子作りをしているのに処女のような反応をした。どこに唇を付けても舐めても吸っても触れても恥ずかしがって抵抗した。
愛撫で達したのは初めてのようで悶えながら戸惑っていた。
勃ち上がったモノを見て“ムリムリ”と怯えていた。
何度か受け入れているのに…本当に記憶がないんだと改めて実感した。
以前アンジェリーナはうつ伏せになっているだけで反応しなかった。最初の4回は少し痛そうだった。
アンジェリーナは処女だった。
潤滑油を使って馴染ませた程度で挿入していたのだから痛かったのだろう。
いくらアンジェリーナも望んだとはいえ、自分の子を産んでくれる妻にすることではない。俺が悪かったんだ。
今夜、記憶を失くしたリーナにとって、受け入れた雄も 快楽も初めての経験になったようだ。余裕無く快楽に抗おうとする彼女が可愛かった。丁寧に解したから たっぷり蜜を出しながら包んでくれた。
リーナの反応に興奮して つい強く求めてしまった。
こんなことは初めてだった。
やり直したい…
いや、リーナとスタートさせたい。
1時間ほどリーナの側にいた後、マルトー商会に“やはり出席させてほしい”と手紙を書いて 届けさせ、返事を受け取ってこさせた。
ドレス店に、マルトー紹介のパーティに来ていくドレスの依頼をした。商会のパーティなら華美なドレスでなくていいらしい。規正ドレス用に作成中のものを使って急いで作ると返事をもらえた。
リーナが起きたのは5時間後だった。
夕食は自室でとりたいと言うので様子を見に行くと、寝具の中に入って出てこない。
「リーナ?具合が悪いのか?」
「ううん」
「どこか痛いのか?」
「ううん」
「顔を見せてくれないか」
「ムリ」
「なんでムリなんだ?」
「……」
「リーナ?」
「だって あんなこと…」
「ん?」
「……」
「リーナ?」
「……」
「捲るぞ」
「恥ずかしいの!!」
「…したのが?」
「……」
「そう思うかも知れないけど、可愛くて綺麗で 俺は嬉しかった」
「……」
「じゃあ、此処で一緒に食べよう」
「ひとりで食べる」
「それは不満だったという意味になってしまうぞ」
「……」
「そうか。今夜リベンジしよう」
そんなやり取りをした結果、リーナと夕食を食べることができた。
就寝時間になって一緒に寝たいと言ってみたが嫌がられたので、夜中にこっそりリーナのベッドに忍び込んだ。
「昨日はありがとう、アンジェリーナ」
「余計な口を挟んでごめんなさい。私達は干渉しない約束だったんでしょう?」
「そんなことはない。危うくありもしない事で責任を取らされるところだった」
「仲直りしたの?」
「別れたよ。
そもそも俺はヴァイオレットと恋愛をしていたわけじゃない。
話が合うなと思っていたら飲み過ぎて、気が付いたらベッドの上だった。
それ以降も声をかけられ、会話の最後には誘われていた。それが何度も続いたし、話が合うならいいかと思って交際しようと言った。旅行も彼女の希望だった。
ヴァイオレットはミュローノ家に嫁ぎたかったんだ。話しが合ったのではなくて、私に合わせていたようだ。
特にタイプでも体の相性が良かったわけでもない。
異性の話し相手が出来たと思って油断していた。こうなると、最初の関係も仕組まれたのかもしれない。途中から全く記憶が無かったんだ。
知らなかったとはいえ、記憶を失くした君を置いてヴァイオレットと旅行に行ったことを後悔している。謝らなくてはならないことがまだあるんだ。聞いてくれ」
ローランドは一つ一つ、悪かったと思うことを説明して謝ってくれた。
「記憶が失くてごめんね。特に貴族の妻としては難しいかもしれない」
「前のアンジェリーナには申し訳ないが、今のアンジェリーナの方がいい。区別をつけたいから“リーナ”と呼んでもいいか」
「うん」
その後、以前のローランドとアンジェリーナの話を詳しく聞いて、遅くなったからレジーヌ宛に“ミュローノ邸に泊まる”と連絡を入れて夕食を食べた。
ちょっと飲み過ぎて、ローランドが部屋に連れて行ってくれた。
「今日はどうして帰って来てくれたんだ」
「マルトー商会から招待状が届いていたって聞いたんだけど」
「何故か届いていたが、侯爵家が行くようなパーティじゃないから欠席の返事を出したよ」
「え~っ」
「行きたかったのか」
「うん」
「でもなぁ」
「お願い」
「っ! 上目遣いなんか何処で覚えて来たんだ」
「ローランド」
「多分出席者はほとんど平民だと思うぞ」
「行きたいな~」
ローランドに抱き付いてみた。
「そうか」
「えっ? なにっ!?」
「妻の誘いは有り難く受けないとな」
「なんで!ちょっと!」
「暴れるな」
【 ローランドの視点 】
「プスー プスー」
疲れ果てて うつ伏せに寝ている妻から寝息が聞こえる。
「プスー プスー」
「ククッ」
寝息が可愛過ぎる。
彼女の短くなった柔らかい髪を指に絡ませながら、細い肩や寝顔を見ていた。
上目遣いを使ったり 抱き付いてパーティに行きたいと強請ったりする その可愛さに釣られてリーナを抱き上げてベッドに降ろした。
何度か子作りをしているのに処女のような反応をした。どこに唇を付けても舐めても吸っても触れても恥ずかしがって抵抗した。
愛撫で達したのは初めてのようで悶えながら戸惑っていた。
勃ち上がったモノを見て“ムリムリ”と怯えていた。
何度か受け入れているのに…本当に記憶がないんだと改めて実感した。
以前アンジェリーナはうつ伏せになっているだけで反応しなかった。最初の4回は少し痛そうだった。
アンジェリーナは処女だった。
潤滑油を使って馴染ませた程度で挿入していたのだから痛かったのだろう。
いくらアンジェリーナも望んだとはいえ、自分の子を産んでくれる妻にすることではない。俺が悪かったんだ。
今夜、記憶を失くしたリーナにとって、受け入れた雄も 快楽も初めての経験になったようだ。余裕無く快楽に抗おうとする彼女が可愛かった。丁寧に解したから たっぷり蜜を出しながら包んでくれた。
リーナの反応に興奮して つい強く求めてしまった。
こんなことは初めてだった。
やり直したい…
いや、リーナとスタートさせたい。
1時間ほどリーナの側にいた後、マルトー商会に“やはり出席させてほしい”と手紙を書いて 届けさせ、返事を受け取ってこさせた。
ドレス店に、マルトー紹介のパーティに来ていくドレスの依頼をした。商会のパーティなら華美なドレスでなくていいらしい。規正ドレス用に作成中のものを使って急いで作ると返事をもらえた。
リーナが起きたのは5時間後だった。
夕食は自室でとりたいと言うので様子を見に行くと、寝具の中に入って出てこない。
「リーナ?具合が悪いのか?」
「ううん」
「どこか痛いのか?」
「ううん」
「顔を見せてくれないか」
「ムリ」
「なんでムリなんだ?」
「……」
「リーナ?」
「だって あんなこと…」
「ん?」
「……」
「リーナ?」
「……」
「捲るぞ」
「恥ずかしいの!!」
「…したのが?」
「……」
「そう思うかも知れないけど、可愛くて綺麗で 俺は嬉しかった」
「……」
「じゃあ、此処で一緒に食べよう」
「ひとりで食べる」
「それは不満だったという意味になってしまうぞ」
「……」
「そうか。今夜リベンジしよう」
そんなやり取りをした結果、リーナと夕食を食べることができた。
就寝時間になって一緒に寝たいと言ってみたが嫌がられたので、夜中にこっそりリーナのベッドに忍び込んだ。
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