【完結】王命婚により月に一度閨事を受け入れる妻になっていました

ユユ

文字の大きさ
10 / 18

しおりを挟む
ヴァイオレットの顔色がさらに悪くなった。

夫人「第二夫人となる うちの娘が目障りなのは分かりますが、侯爵家なら異例でもありませんし王命婚だとしても第二夫人や妾を迎えてはならないとは書いてないのではありませんか?それに寵愛を受けているこの子を娶るかどうかは侯爵令息が決めることではありませんか?」

ロ「そんな事実は無い!婚約した覚えもないし、寵愛などという関係ではない!」

ヴ「ローランド様っ」

伯「では うちの娘を弄んだと?」

ロ「いつも誘って来ていたのはヴァイオレットです。それが続いたので交際することにした、それだけです」

夫人「だって、婚前旅行に行ったではありませんか」

ロ「彼女が交際1年記念に旅に行きたいと場所も日程も決めたのです。俺は劇でも観に行こうと思っていました。ですが楽しみにしているようだったので、彼女の望む旅行を選んだだけです」

伯「ヴァイオレット、どういうことだ」

ヴ「待って、みんな誤解をしているのです。今日は一旦解散して、」

私「駄目です。全員が揃っていないと真実が分かりません。明らかにたった一人の人物の嘘によって今に至っているのは明白ですけどね。
さあ、一つずつはっきりさせましょう。
貴女がローランドを誘って交際に至ったのは本当なの?ヴァイオレット」

ヴ「……」

ロ「ヴァイオレット!」

ヴ「本当です」

私「婚約をしたのは本当?ヴァイオレット」

ヴ「……」

ロ「ヴァイオレット!」

ヴ「していません」

夫人「ヴァイオレット!」

伯「なんてことだ」

私「生理が終わってから今日までローランドと寝ていないのに 妊娠したと言いに来たのよね、ヴァイオレット」

ヴ「ううっ…」

私「嘘泣きして誤魔化そうとしない!」

ロ「産まれるまで牢屋に監禁してもいいんだぞ!!」

ヴ「妊娠していませんっ!」

ロ「ヴァイオレット!!」

私「まあ、1年以上交際していたのは事実なのだから娶ってあげたら?私は構わないけど。
ただし 子を産ませたいなら一応陛下に許可をもらってね。跡継ぎ問題に発展するかもしれないから、跡継ぎをどう決めるのか明確にしてよね。
ということで、子作りどころじゃないから今回は拒否するわ」

ロ「アンジェリーナ」

私「ヤンヌ邸に移るから報告の手紙を送って」

ロ「待ってくれ!」

私「貴方が今しなくてはならないことは何?
これ以上 私に何かさせるつもりなの?
だとしたらミュローノ侯爵に強く抗議するけど」

ロ「っ!!」

私「じゃあね。荷解きを待ってもらって良かったわ」



王都のヤンヌ邸に先触れを出し、降ろした荷物を馬車に積み直した。
直ぐに返事が届いて“来てください”と書いてあったのでお邪魔することにした。

ヤンヌ邸に到着するとレジーヌ様が出迎えてくれて、応接間でさっきの出来事を全て話した。

「何なの、その愛人は!」

「本当。嘘の妊娠なんてバレるのにね。
少しでもローランドに似た男を探して急いで妊娠して辻褄を合わせるつもりだったのかな」

「最っ低!」

「ごめんね。急に押しかけて」

「いいのいいの。リーナはヤンヌ家の恩人だもの」

すっかりヤンヌ子爵家の跡継ぎパトリックやその妻レジーヌと仲良くなっていた。

「明日にでも叔母様のところへ行くわ」

「そんなことを言わないで此処に居てよ。せっかくだから楽しみましょう」

「楽しむ?」

「パーティとか出て出会いを探すの。お友達作りでもいいしね」

「ドレス、ほとんど売っちゃったの」

「え?」

「今の私には興味無いものだったし、ほとんどのパーティにローランドは恋人を連れて行っていたみたいだし、売ったお金で今着ているような服を買ったの」

「ドレスは何着残したの?」

「3着」

「ミュローノ邸にあるの?」

「そう」

「マリーにうちの使用人とドレスや靴などを取りに行ってもらいましょう」

「本気?」

「本気よ。
今回子作りしなかったのだから1か月ほど避妊薬を使えるのよ?夫が楽しんでいるのだからリーナも楽しむ権利があるわ」

「そうね。王太子以外で物色してみる」



4日後、パトリックとレジーヌと一緒にレジーヌの実家で開かれたパーティに出席して、パーティで知り合った方から招待状をもらった。

男爵家から伯爵家までいくつかあったけど、興味があったのは商会のパーティだ。
話題に上がっただけだったけど、この世界を知る機会だと思った。でも招待されようがない。


ヤンヌ子爵邸に戻ると、またローランドからの手紙が届いていた。

「ローランドからの手紙じゃなくてマルトー商会の招待状が欲しかったな」

「マルトーですか?多分ミュローノ家に届いていたと思います」

「え!? 本当!?マリー」

「はい。偶然郵便を受け取りました。執事のウィリアムさんに渡しました」

「その後はどうなったの」

「さあ」

「明日ミュローノ邸に行くわよ」



翌日。

ミュローノ邸に到着するとローランドが走って出迎えてくれた。

「はぁっ はぁっ お帰り」

「運動不足よ」

「3階から馬車を見かけて」

「…危ないから止めた方がいいと思う」

「申し訳なかった。本当に。俺が馬鹿だった。
君がいなければ、あいつに騙されて大変なことになっていたはずだ」

「まあ、それだけ貴方を好きだという可能性もあるじゃない」

「とにかく中に入ろう」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

顔も知らない旦那様に間違えて手紙を送ったら、溺愛が返ってきました

ラム猫
恋愛
 セシリアは、政略結婚でアシュレイ・ハンベルク侯爵に嫁いで三年になる。しかし夫であるアシュレイは稀代の軍略家として戦争で前線に立ち続けており、二人は一度も顔を合わせたことがなかった。セシリアは孤独な日々を送り、周囲からは「忘れられた花嫁」として扱われていた。  ある日、セシリアは親友宛てに夫への不満と愚痴を書き連ねた手紙を、誤ってアシュレイ侯爵本人宛てで送ってしまう。とんでもない過ちを犯したと震えるセシリアの元へ、数週間後、夫から返信が届いた。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。 ※全部で四話になります。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【片思いの5年間】婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。

五月ふう
恋愛
「君を愛するつもりも婚約者として扱うつもりもないーー。」 婚約者であるアレックス王子が婚約初日に私にいった言葉だ。 愛されず、婚約者として扱われない。つまり自由ってことですかーー? それって最高じゃないですか。 ずっとそう思っていた私が、王子様に溺愛されるまでの物語。 この作品は 「婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。」のスピンオフ作品となっています。 どちらの作品から読んでも楽しめるようになっています。気になる方は是非上記の作品も手にとってみてください。

別れ話をしましょうか。

ふまさ
恋愛
 大好きな婚約者であるアールとのデート。けれど、デージーは楽しめない。そんな心の余裕などない。今日、アールから別れを告げられることを、知っていたから。  お芝居を見て、昼食もすませた。でも、アールはまだ別れ話を口にしない。  ──あなたは優しい。だからきっと、言えないのですね。わたしを哀しませてしまうから。わたしがあなたを愛していることを、知っているから。  でも。その優しさが、いまは辛い。  だからいっそ、わたしから告げてしまおう。 「お別れしましょう、アール様」  デージーの声は、少しだけ、震えていた。  この作品は、小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

わたしにはもうこの子がいるので、いまさら愛してもらわなくても結構です。

ふまさ
恋愛
 伯爵令嬢のリネットは、婚約者のハワードを、盲目的に愛していた。友人に、他の令嬢と親しげに歩いていたと言われても信じず、暴言を吐かれても、彼は子どものように純粋無垢だから仕方ないと自分を納得させていた。  けれど。 「──なんか、こうして改めて見ると猿みたいだし、不細工だなあ。本当に、ぼくときみの子?」  他でもない。二人の子ども──ルシアンへの暴言をきっかけに、ハワードへの絶対的な愛が、リネットの中で確かに崩れていく音がした。

処理中です...